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プロはサーキットより公道を恐れる! レーシングドライバーが実践している「先読み」安全運転の極意

掲載 更新 12
プロはサーキットより公道を恐れる! レーシングドライバーが実践している「先読み」安全運転の極意

 この記事をまとめると

■サーキットよりも一般道のほうが運転時に気にしなければならないことが多い

「アウト・イン・アウト」は過去のテクニック? レーシングドライバーが解説する本当の意味とイマドキの走り方とは

■一般道で安全確保のために役に立つのが「先を読む」ことだ

■「先を読む」ことを習慣化しておけば避けられるトラブルも多い

「先を読む」ことを習慣化すれば避けられる事故もある

 運転する時はさまざまな注意義務がある。道路歩行者や自転車の視認、道路表示や交通標識の確認、自車の走行速度確認やバックミラー、側方確認など、それこそきりがないほどに。

 レーシングドライバーとしては、サーキットを走るより一般道を運転するほうがよほど怖く慎重になる。サーキット走行は絶対速度は高いものの、対向車もいなければ歩行者が飛びしてくる心配もない。交差点や信号も無く、コース上ならどんなラインで走ることも自由で自分の判断であらゆることに対処できる。

 しかし、一般道ではそうはいかない。それだけに神経は常に全方位に配り、情報処理の多さに脳も神経も疲れる。

 すべてに優先されるのは安全第一で、安全確保のために何が重要かを状況に応じて判断し実践していかなくてはならないのだ。そこで役に立つのが「先を読む」という行為だ。

 たとえば高速道路を走行しているとしよう。前後に他車が走行していなく、見通しのいい直線道路ならなるべく遠くに視線を向けておけば、路面の状況変化や標識・表示を早期に視認しておける。

 だが、交通量が多くなると先読みがし辛くなってくる。結果として直前を走るクルマのテールに視線が集中してしまうことが多くなっていないだろうか。

 プロドライバーはどんな状況でも「先を読む」努力を怠らない。時速100kmで走行していれば1秒で27.7mも進んでいる。前車との車間を十分に取っていないときに急ブレーキを踏まれたら追突してしまうだろう。ETCのゲートなどがトラブルで開かずに追突してしまう事故が多発する背景には「先読み」の習慣が身に付いていないことも一因となっている。

「先読み」とは、前車のさらに前方に視線を向け、はるか先の状況に注意を払うことだ。一定の間隔で走行しているなら2~3台前方の車両の走りに注意を向ける。そのクルマのブレーキランプが点灯したら自分もすぐにブレーキペダルに足を乗せ換えるくらいに。

 道路上に何か落ちていたら3~4台先の車両が避ける動作を見せる。それを確認したら速度を落とし、落下物などに備えるよう道路左右の状況や空きスペースなども確認するのだ。

 十分に停止できる距離を置きながら先を見て運転することが重要

 そうはいっても前車が大型トラックだったら先読みなんて不可能では? と言われそうだがさにあらず。大型トラックであれば大抵車高が高い。少し距離を保てば車体の下を通して前方の状況をうかがい知ることができる。大型トラックの前車がブレーキランプを踏めば、その光が路面に反射しているのが見えるはずだ。とくに夜間や雨天には反射光が見えやすいだろう。道路周辺建物のガラスに反射した光で確認できることもある。それでも確認しづらければ大幅に車間を取り、トラックが急停止しても対処できる距離を置くことだ。

 路上の異物などは大型トラックでは避けることが難しい場合も多く、そのまま直進して通過してしまうこともある。そこを乗用車で無意識に踏んでしまうとタイヤがバーストを引き起こしたり、異物が急に舞い上がって視界を遮ってしまったりすることもあるので危険だ。どんな状況にも余裕で対処できるくらいの車間を保ち、注意力を最大現に発揮し続けているべきなのだ。

 ワインディングなどコーナーの多い山道を走行する場合は、前車だけでなく、コーナーの先の先を注視する必要がある。手前のコーナーアプローチだけでなく、コーナー出口から次のコーナーのアプローチまで、見える先を最大限に見ておく。そこでスピンしていたり、停止していたりする車両はないか、路面の異常はないかなど、あらゆる情報を先取りして対処する準備をしておかなければならない。

 のんびり景色を眺めている余裕などないのである。

「先読み」を完璧にこなすには習慣化することが重要で、先を読めば読むほど情報量が増え疲労も増す。疲れたら休む。ドライバーの仕事は大変なのだ。

 こうしたドライバーの負担を軽減する意味でも「Car to Car(カーツーカー)」の情報通信が必要だと考えている。2台、3台前方のクルマが、その先の情報を先取りして航続車両にデータを送信してくれるシステムだ。

 路上の変化や異物、渋滞停止などを自動で後続車に伝達してくれたら、運転アシストとして大きな負担軽減になる。現在の多くの運転アシストは自車のカメラやソナーで確認できる範囲をドライバーに知らせてくれるが、前述のように前車が大型トラックだったら、その先は知ることができない。人間が見ることができない範囲を機械が見てくれてこそ価値があるといえるが、現状のものは人間が見える以下のレベルでしか認識できない。霧や夜間の降雪などでカメラが機能できなくなるとドライバー任せになる。これでは意味がない。

 まずはすべてのドライバーが「先読み」する運転を理解して実践し、その有効性を認知することでメーカーにはさらにその「先を読む」機能の開発を求めることができる。

 トラックやワンボックス車の直後に位置して信号が視認できずに交差点に進入し、交通違反として検挙されたら馬鹿らしい。そうした状況は予見可能なのに対処しない信号管理者にも責任はある。信号から自動車への通信も不可能ではないのだから。

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みんなのコメント

12件
  • 本当に怖いのは公道じゃなくて
    全く信用に足らない周りのドライバー
  • 一般道を運転していて驚くのが、他のドライバーが他者(歩行者含め)を信頼して運転している事だな。

    「こっちが先だから来るわけがないだろう」
    「住宅街だけど飛び出してくるわけがないだろう」
    「相手が避けてくれるだろう」
    「こんな夜更けに人がいるわけないだろう」etc

※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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