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【あなたにもチャンスあり?】フォーミュラ1 eスポーツ・シリーズを体験 リアルとバーチャル、垣根は小さく

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【あなたにもチャンスあり?】フォーミュラ1 eスポーツ・シリーズを体験 リアルとバーチャル、垣根は小さく

F1の未来?

F1の未来はサーキットだけでなく、オックスフォード郊外にある巨大なコンクリート製建物の奥深くでも見つけ出すことが出来る。

【画像】フォーミュラ1 eスポーツ 全5枚

ルノーF1チームが保有するオペレーションセンターの一角では、新世代のドライバーたちが本物のサーキットの替わりに、バーチャルのコースを舞台にトレーニングに励んでいる。

彼らが使用しているのは、数百万ポンドもする本格的なシミュレーターではなくソニーのプレイステーションであり、F1公認の最新ゲームソフトがあれば誰でも参加することが出来る。

若年層のファン獲得に向け、F1を所有するリバティ・メディアも後押しするeスポーツの世界へようこそ。

ルノースポーツでコマーシャルディレクターを務めるアントニー・マニャンは、eスポーツ拡大の背景について、「F1視聴者の平均年齢は39歳ですが、eスポーツの視聴者の80%はそれよりも若いひとびとです。こうしたひとびとを惹きつけることが出来れば、F1やモータースポーツ全体のファン層拡大に繋がります」と、説明する。

昨年、こうした視聴者の数は580万人だったが、その多くがこれまでのTV中継ではなく、ユーチューブやライブストリーミング専用のウェブサイト、Twitchからの視聴へと移行している。

F1のeスポーツ・シリーズでは、1シーズンで4つのイベントが開催されており、各イベントでは3つのレースが行われ、その走行距離は実際のレースの1/3に設定されている。

各チームではそれぞれカラーリングは異なるものの、実質的に同じバーチャルマシンを使用しており、白熱したレースが展開される。

ドライバーは独自のセットアップとタイヤ戦略を選択することが出来るが、どのチームも圧倒的な強さを発揮することは出来ていない。

2018年は最下位に沈んだルノーだったが、昨シーズンは4位でシーズンを終えており、2019年シーズン、実際のレースとは異なり、メルセデスは一度も表彰台に上がることが出来なかった。

競争は厳しく

実際のF1に参戦しているチームはすべてeスポーツにも参加する必要があるが、ルノーの取り組みは単にプレイヤーにブランドロゴが付いたユニフォームを提供しているだけには留まらない。

eスポーツのプレイヤーにも、1日8時間をバケットシートで過ごしても、ダメージを受けることのない姿勢を保てるよう、ルノー・アカデミーのドライバーと同じフィットネスプログラムを提供している。

「もしこれが上手く行けば、eスポーツ全般に取り入れたいと考えています」と、ルノーのヒューマン・パフォーマンス・センターで責任者を務めるデビッド・トンプソンは話す。

「肉体的な要求レベルは異なるかも知れませんが、トレーニングは必要です」

だが、目的はプレイヤーたちが実際のレースに参加出来るようになることではなく、eスポーツで最高のパフォーマンスを発揮できるレベルを維持することにある。

フォーミュラ・ルノー・ユーロカップに参戦するなど、実際のサーキット経験を持つルノーのスタープレイヤー、ヤルノ・オプメールは、「お陰で他のプレイヤーに対する優位性があると考えています」と、話している。

「何人かは本当に素晴らしいドライバーがいます。ですが、彼らには本物のドライビングから得られる実際のレースマシンやサーキットに関する知見が足りないのです」

オプメールはエプストーンにあるルノーの拠点近くに住んでおり、毎日8時間近くを練習に費やしているという。

実際のF1同様、ドライバーたちは自らのシートを維持するためにパフォーマンスを発揮し続ける必要があるのだ。

毎年予選には数万人ものプレイヤーが参加しており、そのなかでも最高のドライバーだけがシリーズのプロ・ドラフトへと進むのであり、さらにそこから実際のF1チームからプロ・シリーズに出場するドライバーが選抜されている。

本物のスキル

オプメールはeスポーツが大きなチャンスをもたらすものであり、F1こそが取り組むべきシリーズだと考えている。

「現時点ではこのシリーズが世界最大のレーシングゲームの大会です。これほど多くの自動車メーカーが関与しているというだけで、実際のレース参戦へと繋がるチャンスがあるのです」

一方でeスポーツはモータースポーツの入り口として、カートの代わりにはならないという意見もある。

「モータースポーツに必ず付き物の危険がないからです」と、フォーミュラ3のドライバーであり、ルノー・アカデミーに参加しているマックス・フュートレルは言う。

「クラッシュしてもその結果は同じではありません。カートではまったく事情が異なります。ダウンフォースを頼りにグリップを感じつつ、コーナーではどういったドライビングが必要かを考える必要があるのです」

いまのところルノーF1におけるダニエル・ルカルドのシートが脅かされることはないだろう。

それでも、本物のF1も2030年までを目標に「ネット・ゼロ・エミッション」を達成するという野心的な持続可能性のゴールを掲げており、eスポーツでは運営に掛かるコストや環境負荷がはるかに少ないことを考えれば、このバーチャルのF1がすぐに無くなることはないだろう。

だが、ファンにとって重要なのは、レースが観て楽しめるものであるかどうかだ。

スクリーン上で展開されるバーチャルのF1レースは、実際のレースほどの興奮を呼び起こすことができるだろうか?

「ほとんどがTV中継でF1を観戦していることを忘れないでください」と、ルノーF1のリザーブドライバー、ジャック・エイトケンは言う。

「先入観に囚われなければ、eスポーツのレースも非常に見応えがあります。マシンはイコールコンディションであり、ドライバーたちも非常に優れています。そこには本物のスキルが存在するのです」

番外編:バーチャルマシンとテレメトリー

F1ゲームは完全なシミュレーションというわけではないが、それでもその作り込みは驚異的なレベルに達している。

プレイヤーが試すことの出来るセッティングは1兆通り以上であり、すべてのマシンで200以上のデータ測定が行われ、ルノーF1のITスタッフによって分析されている。

1回のレースにおける現場スタッフの数が制限される現代のF1では必須のオペレーションセンターは、グランプリの週末には多忙を極めるに違いないが、いまはeスポーツのリプレイ画像を分析するというもうひとつの任務をこなしている。

「eスポーツはチームのシーズン中の活動に影響を与えることなく、われわれの持つテクノロジーを活用する機会を与えてくれます」と、ルノーF1でITマネージャーを務めるベン・ハンプシャーは話す。

「実際のF1マシンと同じように、スロットルやブレーキの調整を行うためテレメトリーを活用しています」

いまのところ分析が行われるのはレース終了後だが、来年からプレイヤーは無線を通じてリアルタイムの情報を得ることが出来るようになる。

「2020年に向けて、エンジニアたちには実際のレースと同じようにeスポーツにも取り組んで欲しいと話しています」と、ハンプシャーは言う。

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