11月3日、バーレーン・インターナショナル・サーキットで行われたWEC世界耐久選手権のルーキーテストで、バレンティーノ・ロッシは初めてBMWのLMDh車両『Mハイブリッド V8』をドライブした。ロッシは、この車両が自分の運転スタイルにより自然にフィットすると信じている。
2輪のロード世界選手権で9度の世界チャンピオンに輝いたロッシは、待望のLMDh初テストを迎えた。ロッシはBMW Mチーム WRTの20号車で69周を走破し、午後のセッションの終わりに1分50秒577というタイムを記録。出走したルーキーのなかでは、フェラーリ499Pのアーサー・ルクレールに次ぐ2番手で、テストを終えた。
新人最速はフェラーリのアーサー・ルクレール。BMWのロッシは“2番手デビュー”/WECルーキーテスト
■GT3にはない、2輪とハイパーカーの共通点
テスト後、ロッシは「クルマとの感触は良い」と語り、MハイブリッドV8を「本格的なレースカー」と表現した。
「このクルマは馬力が大きいので感触は良いが、運転したときのフィードバックが良いね」とロッシは語った。
「クルマを理解することができる。とてもセンシティブだ。また、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)なしのブレーキングも、とても気に入っている。(ABS付きのGT3車両よりも)ずっといい」
「もちろん、ときにはミスをすることもあるけど、自分のスタイルにより適応できるものだ。なぜならABSがあると、ある時点以降はABS(による制御)になるからだ」
「だから、このクルマはより良く、本格的なレースカーだ。より正確で、より剛性が高く、エアロの効果も高いので、高速コーナーやブレーキングも印象的だった」
昨年のルーキーテストでチームWRTのオレカ07・ギブソン(LMP2)を運転したロッシは、2022年にスポーツカーレースにフルタイムで転向して以来レースをしてきたGT3マシンよりも、ハイパーカーの方が自分のドライビングスタイルに自然に適合していると述べている。
「まず第一に、ハイパーカーのラインは、通常は(縁石をまたがずに)コース内にとどまるため、オートバイのラインにより似ている」と彼は説明した。
「GTは僕にとって、最初はとても難しかった。すべてをカットしなければならなかった。アウトサイドをカットし、とくにインサイド(の縁石)はカットする。だから、これとは別の運転方法だ」
「これ(ハイパーカー)はバイクに似ている。スピードも速いが、同時にグリップも高い」
「だからとても良かったし、今日はリアルなテストの日でもある。クルマに乗っているのは僕ひとりだったが、みんなが一緒にいた。レネ・ラストもいて、今日一日のなかで改善できるようたくさんのアドバイスをくれた。良かったし、楽しかったよ」
ロッシが記録した1分50秒577は、2回目のセッションで同じくBMWから出走したルーキーのマックス・ヘッセとダン・ハーパーを上回ったが、これはテストの最後に2セットのフレッシュなミディアムタイヤが利用可能だったおかげでもあると明かした。
「2セットあったんだけど、少し運が悪かった。通常は、2セット目があれば改善できるものだと思う」と彼は語った。
「でも最初のセットで赤旗が出てしまい、2セット目でプッシュした際にはGT3のトラフィックに巻き込まれ、追い越そうとしたらスピンしてしまった」
「それでピットからは『終わりだ』と言われたんだ。普通はタイヤがダメになったり、タイヤがパンクしたり、タイヤが傷ついたりするからね。でも幸運にも(タイヤは)大丈夫だったから再スタートしてもう1周走り、(1分)50秒5を記録したんだ」
■2025年はWECかGTWC、どちらかに“集中”
ロッシはまた、来年のレース計画についてはまだ決定を下していないと語ったが、2年連続でWECとGTワールドチャレンジ・ヨーロッパのプログラムを組み合わせる可能性は低いと指摘した。
その代わり、来年も世界選手権に残る可能性が高いと示唆し、その理由としてBMWの意向を挙げた。
「彼らにとっては、それがより重要だ」とロッシ。
「まだ決めていない。こっちの方がいいこともあるし、あっちの方がいいこともあるから。いまは、WECの方だ」
「とにかく、2~3 週間後にはジェッダでGTワールドチャレンジの最終戦に出場する。その後すぐに決定して、発表する。いずれにせよ、どちらか一方のシリーズにに出場することになるだろう」
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