現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > レクサスとトヨタの差は大きい──新型LX&ランドクルーザーの違いを考える

ここから本文です

レクサスとトヨタの差は大きい──新型LX&ランドクルーザーの違いを考える

掲載 23
レクサスとトヨタの差は大きい──新型LX&ランドクルーザーの違いを考える

トヨタの新型「ランドクルーザー」と、それをベースに高級に仕立てられたレクサスの新型「LX」の違いはいかに?

異なる構造の強化

2桁ナンバー物語 特別編 横浜33の日産シーマと俳優・伊藤かずえさん第2弾(後編)

トヨタ「ランドクルーザー」もレクサス「LX」も、メーカーの公式ホームページを開くと「ご注文停止に関するお詫び」の告知文が表示される。両モデル、「日本のみならず世界各国でもご好評いただいており、生産能力を大幅に上回るご注文をいただいているため、現在ご注文を停止させていただいております」とのこと。

この告知文が表示される前でさえ、納車まで約4年待ちという話が出まわっており、大変な人気ぶりであることが伝わってくる。

そもそも注文できないし、注文してもすぐ手元に届かないということは、裏を返せば、悩む時間がたくさんあるということだ。

ご存知の人も多いが、LXはランドクルーザーとプラットフォームを共有している。「ボディ・オン・フレーム」と呼ぶ構造だ。ラダーフレームにボディを被せる構造で、トラックを含め、過酷な使われ方をするクルマに一般的な構造である。

ボディ・オン・フレームは頑丈にできる半面、乗用車で一般的なモノコック構造と比べると重くなりがちだ。そこで、先にデビューしたランドクルーザーでボンネットフードとフロントフェンダー、前後左右4枚のドア、バックドア、それにルーフもスチールではなくアルミニウムとし、大幅な軽量化を図った。頑丈だけども軽量化に気を配った構造を採用しているのは、後からデビューしたLXもおなじだ。

異なるのは、構造の強化である。車体骨格を作るとき、主に溶接でスチールのパネルを接合していくが、LXではスポット溶接の打点増し打ちにくわえ、ドア開口部やフロアに構造接着剤をランドクルーザーに対し追加している。ねじり変形を抑えてボディ剛性を向上させるためだ。ボディ剛性を高めると、ボディは変形しにくくなる。

たとえば、タイヤに大きな入力があったとき、その入力を受け止めるボディが変形してしまうと、ダンパーやスプリングといったサスペンションが本来の仕事をできなくなり、不快なショックを乗員に伝えてしまう。

また、ボディ剛性が低いと、クルマの向きを変えようとステアリングを切ったとき、タイヤが向きを変え、それに連動してクルマが向きを変える前に、ボディが変形してしまい、ドライバーの操作に対するクルマの反応がワンテンポずれてしまう。その動きが日常だと、ドライバーはストレスを感じるようになる。

オフロード性能はもちろんのこと、オンロードでの操舵応答性や手応え、リアタイヤのグリップ感、それに優れた乗り心地など、走行性能に関して高級車たる“レクサスらしさ”を実現するため、LXに対してはスポット溶接の打点打ち増しや構造用接着剤の追加をおこなったのだ。つまり、見えないところにそれなりのコストがかかっており、乗って初めてわかる質の向上が図られている。それだけが理由ではないものの、そこに、ランドクルーザーとLXの価格差の理由が隠れている。

パワーステアリングのアシスト機構も違う!

ランドクルーザーのガソリン・エンジン仕様の価格は510万~770万円。ランドクルーザーは3.5リッターV6ガソリンツインターボ・エンジンのほかに、3.3リッターV6ディーゼルターボ・エンジン搭載車も設定する(両エンジンとも10速ATとの組み合わせ)。

対するLXはガソリンターボ・エンジンのみの設定だ。価格帯は1250万~1800万円で、2倍以上の開きがある。ボディの補強だけでは、大きな価格差のすべては説明出来ない。

ほかにもランドクルーザーとLXはコンセプトの違いから、パワーステアリングのアシスト機構が異なる。「どこへでも行き、生きて帰ってこられること」を使命に開発されたのがランドクルーザーで、信頼性から、パワーアシスト機構は油圧式を採用。

一方、LXは制御性の高さを考え電動アシスト式を選択した。LXとてタフな使われ方を想定していないわけではないが、「生きて帰ってこられる」覚悟までは求められていないのか、どちらかといえば、オンロードでの快適性を重視したのだろう。

ボディの補強やステアリングのアシスト方式に関する違いを知るだけでもLXはランドクルーザーのバッジを付け替えただけでないことはわかるはずだ。

雰囲気は大きく異なる

あとは、ブランドの違いだ。レクサスとトヨタ、いずれのブランドの違いが車両本体価格に反映されている。

目に見えない部分にくわえ、目に見える部分でもLXのほうがランドクルーザーよりもクオリティの高いレザーを使っているのが一目瞭然だし、エアコンも「レクサスクライメイトコンシェルジュ」なる室内環境をトータルでコントロールする高度な空調システムを備える。

さらに、LXにはリアシートが電動調整式のセパレートタイプとなるショーファー仕様(4人乗り)も設定されている。ランドクルーザーも快適装備は豊富であるものの、LXには及ばない。

今回の試乗車は、前出の4人乗り仕様であるLX600エグゼクティブ(車両本体価格1800万円)だった。実際乗ると、今のレクサスの世界観を体感出来る、ラグジュアリーなムードで満ちあふれていた。5人乗りないしは7人乗りしか選べないランドクルーザーとは明らかに雰囲気が異なる。

しかもステアリングを握ると、その操作フィールは“上質”という言葉が似合う。ランドクルーザーでは得られない優雅な移動体験を提供してくれる。

“体験価値”の違いが、ランドクルーザーとLXの価格差に反映されていると言っていいのではないだろうか? 2倍近い価格差を高いと思う人はいると思うが、目に見えない部分の違いを考えれば、決して不当ではないはずだ。

文・世良耕太 写真・田村翔

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

トヨタの「“2階建て”ハイエース!?」公開! 5人寝られる&「立って歩ける」内装が超スゴイ! ファンルーチェ「セレンゲレティ/ウラルエイジア」お台場で実車展示
トヨタの「“2階建て”ハイエース!?」公開! 5人寝られる&「立って歩ける」内装が超スゴイ! ファンルーチェ「セレンゲレティ/ウラルエイジア」お台場で実車展示
くるまのニュース
トーヨータイヤ「OPEN COUNTRY」装着車両がメキシコ開催の「スコア・バハ1000」3位入賞で、最上位クラス年間チャンピオン獲得
トーヨータイヤ「OPEN COUNTRY」装着車両がメキシコ開催の「スコア・バハ1000」3位入賞で、最上位クラス年間チャンピオン獲得
レスポンス
地上を転がって移動できるドローン!? DICが「CES 2025」で発表へ
地上を転がって移動できるドローン!? DICが「CES 2025」で発表へ
レスポンス
FIA/WRCがラリージャパンのSS12キャンセル理由を説明「許可されていない車両が進入し、スタートラインを塞いだ」
FIA/WRCがラリージャパンのSS12キャンセル理由を説明「許可されていない車両が進入し、スタートラインを塞いだ」
AUTOSPORT web
ついにトヨタ「新型セリカ」復活!? 次期8代目登場か… 中嶋副社長「セリカ、やっちゃいます。」宣言! 会長も後押し!? ラリージャパンで語られたコトとは
ついにトヨタ「新型セリカ」復活!? 次期8代目登場か… 中嶋副社長「セリカ、やっちゃいます。」宣言! 会長も後押し!? ラリージャパンで語られたコトとは
くるまのニュース
F1ラスベガスGP決勝速報|フェルスタッペンがドライバーズタイトル4連覇! 優勝は盤石ラッセルでメルセデス1-2。角田は9位入賞
F1ラスベガスGP決勝速報|フェルスタッペンがドライバーズタイトル4連覇! 優勝は盤石ラッセルでメルセデス1-2。角田は9位入賞
motorsport.com 日本版
[F40]だって夢じゃねぇ! [中古車]バブルが崩壊したらあなたは何を買う
[F40]だって夢じゃねぇ! [中古車]バブルが崩壊したらあなたは何を買う
ベストカーWeb
突如裏切る日本の路面。「あちこちでスライド」「一体どこでパンクしたのか」/ラリージャパン デイ2コメント
突如裏切る日本の路面。「あちこちでスライド」「一体どこでパンクしたのか」/ラリージャパン デイ2コメント
AUTOSPORT web
フェルスタッペンが2024年チャンピオンに輝く。これで4連覇! 優勝はラッセルでメルセデス1-2。角田も耐えのレースを凌ぎ9位入賞|F1ラスベガスGP決勝
フェルスタッペンが2024年チャンピオンに輝く。これで4連覇! 優勝はラッセルでメルセデス1-2。角田も耐えのレースを凌ぎ9位入賞|F1ラスベガスGP決勝
motorsport.com 日本版
勝田貴元、3度目のWRCラリージャパンは総合4位。トヨタのメーカータイトルに安堵も「来年は表彰台の一番上で」
勝田貴元、3度目のWRCラリージャパンは総合4位。トヨタのメーカータイトルに安堵も「来年は表彰台の一番上で」
motorsport.com 日本版
災害時&過疎地の新ヒーロー? 「移動ATM車」をご存じか
災害時&過疎地の新ヒーロー? 「移動ATM車」をご存じか
Merkmal
[Pro Shop インストール・レビュー]メルセデスベンツ GLC(根本俊哉さん)by イングラフ 後編
[Pro Shop インストール・レビュー]メルセデスベンツ GLC(根本俊哉さん)by イングラフ 後編
レスポンス
東北道「浦和ICの大改造」ついに“最後のランプ”建設へ 並行ランプを通行止め 側道利用者は注意!
東北道「浦和ICの大改造」ついに“最後のランプ”建設へ 並行ランプを通行止め 側道利用者は注意!
乗りものニュース
トヨタWRCマニュファクチャラーズ王者に豊田章男会が破顔「苦労して獲ったタイトル」ライバルのヌービル初王者にも祝意
トヨタWRCマニュファクチャラーズ王者に豊田章男会が破顔「苦労して獲ったタイトル」ライバルのヌービル初王者にも祝意
motorsport.com 日本版
波乱だらけのラリージャパン! ニッポンの勝田が意地をみせSS連続ステージ優勝で総合4位につける
波乱だらけのラリージャパン! ニッポンの勝田が意地をみせSS連続ステージ優勝で総合4位につける
WEB CARTOP
最新「サファリ」がスゴイ! 「ハリアー」と兄弟車で登場! 「3列7人乗り」&英国風の“超精悍顔”がカッコイイ! 便利機能モリモリのタタ「最上級SUV」とは?
最新「サファリ」がスゴイ! 「ハリアー」と兄弟車で登場! 「3列7人乗り」&英国風の“超精悍顔”がカッコイイ! 便利機能モリモリのタタ「最上級SUV」とは?
くるまのニュース
1000万円以下で買えるV12搭載ランボルギーニ!…世界に4台しかない「ハラマ 400GTS」のAT仕様の出来は当時どうだった?
1000万円以下で買えるV12搭載ランボルギーニ!…世界に4台しかない「ハラマ 400GTS」のAT仕様の出来は当時どうだった?
Auto Messe Web
【この190SLなんぼ?】走行距離わずか4,753kmでこの値段!なんで?このメルセデス300 SLの弟分190SLは掘り出し物?
【この190SLなんぼ?】走行距離わずか4,753kmでこの値段!なんで?このメルセデス300 SLの弟分190SLは掘り出し物?
AutoBild Japan

みんなのコメント

23件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1250.01800.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

519.82188.0万円

中古車を検索
LXの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1250.01800.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

519.82188.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村