遡ること約7年前の2017年に、フランスの独立系チームとして初めてWorldRX世界ラリークロス選手権にフル参戦したDAレーシングが、新たに“バトル・オブ・テクノロジーズ”の方針を掲げたシリーズへの本格復帰を表明。アンソニー・ペルフレーネを擁して内燃機関(ICE)搭載のプジョー208を走らせる。
電動最高峰クラスのRX1eに加え内燃機関モデルの混走を認め、サステナブル・フューエル採用のICEモデルを再登用することで参戦台数確保へ舵を切ったFIA国際自動車連盟だが、早速その方針が実るかたちでDAレーシングがトップカテゴリーへのカムバックを決断。かつて、この老舗はジャン・バティスト“JB”デュブールやグレゴワール・ドゥームスティエ、そしてWRC世界ラリー選手権優勝ドライバーのフランソワ・デュバルらをWorldRXに送り込んできた。
内燃機関とEV混走の“バトル・オブ・テクノロジーズ”初年度カレンダー確定。豪州にも初上陸/WorldRX
フランス南西部に位置する本土最大の面積を誇るジロンドに拠点を置くチームは、新たにペルフレーネのためにマシンを走らせることになるが、この個体は同じく元WorldRX経験者のロラン・ブリオが使用した車両となり、現在はチームのワークショップで持続可能な燃料を使用するエンジンを中心に、リビルドとアップデートの作業が続けられている。
世界的に有名なボルドーワインの一大産地でチームを創設したドミニク・デュブールは「世界選手権にふたたび参加できることは本当にうれしい」と、最高峰復帰への決意を語った。
「2017年は素晴らしい国やサーキットを訪れる機会に恵まれ、最高のシーズンだった。その思い出が忘れられないね。だが言うまでもなくWorldRXのプログラムには綿密な計画と準備が必要だ」と続けたドミニク代表。
「これは必ずしも昨シーズンの終わりに予見していたことではないが、内燃機関搭載車両の復帰を許可する技術規定の変更により、アンソニー(・ペルフレーヌ)はこれを世界選手権のリングに投げ込む決意を固めた」
「我々が最後に出場したときの世界選手権レベルは非常に……明らかに高かった。2024年の『技術の戦い』では、おそらくさらに厳しいものになるだろう。しかし、それこそが我々が楽しみにしている挑戦なんだ!」
■ジュリアン・フェブローや、ヤン・エルラシェールらが太鼓判
比較的遅い時期にモータースポーツのキャリアをスタートさせ、すぐにこの競技に足を踏み入れたポントワーズ出身の37歳だが、その才能に関しては同じ南フランス出身で同国を代表するF1解説者兼ラリークロス競技者のジュリアン・フェブローや、アイスレースとツーリングカーの世界的ファミリー出身であり、自身はWTCR世界ツーリングカー・カップ“2冠”を誇るヤン・エルラシェールらが「最高峰の大会で世界を驚かせる可能性を秘めている」と太鼓判を押す。
「WorldRXに出場するチャンスがきたとき、それを断ったり見逃したりすることはできなかった」と認めたペルフレーネ。「ラリークロスにおいてこれ以上に素晴らしい舞台はないし、WorldRXはこのスポーツの絶対的な頂点であり『技術の戦い』は僕を本当に興奮させる。素晴らしい光景が生まれると思うよ」
こうして30代でこの世界に飛び込んだペルフレーネは、昨季のフランス国内選手権でセバスチャン・ローブらとも対峙し、競争力のあるドライビングとタイムを披露している。
「彼らの隣で自分自身を計測することができて良かったし、自分の相対的なペースにとても勇気づけらた。トップ選手とのレースは学び、上達するための最良の方法だからね」と続けたペルフレーネ。
「サーキットのほとんどが僕にとって初めてのものであることは承知しているが、僕自身は何にでもすぐに適応する傾向がある。このプジョーは過去2年間のユーロRX1でヤニス・バウマニスがドライブして総合2位になったものと実質的に同じだから、その点は何の心配もしていない。目標はできるだけ多く決勝に進出し、可能な限り表彰台を目指して戦うことだ」
同じくDAレーシングを率いる前出のドミニク代表も「彼は非常に速く、ここ数年は国内シーンのトップランナーであり続け、この国のラリークロスがどれほど競争力があるかを我々もよく知っている」と応じた。
「たとえ彼が世界最高の選手と対戦するとしても、我々は彼の能力が非常に強力な結果を確保できると確信している。彼は2年間の計画を立てており、2024年にできるだけ多くの経験を積み、2025年にはそれをすべて有効に活用することを目標としている。彼はこの新しい挑戦に取り組むことに非常に意欲的だよ」
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