1951年、警察予備隊(現在の自衛隊)への納入を目的に開発されたトヨタBJ型ジープは、1954年にランドクルーザーへと改称され、今年でちょうど70年を迎える。
ランドクルーザーは、流行りのSUVとは一線を画す存在。それにも関わらず、最新の販売台数(2021年2月)は登録車中22位の2715台。しかも前年比133.9%と昨年よりも販売を大幅に増やしている。
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流行に乗らずとも、ランクルが売れ続ける理由とはいったい何なのか。元トヨタディーラー営業マンの筆者が、ランクルの存在を紐解いていく。
文/佐々木亘 写真/TOYOTA
【画像ギャラリー】本物は流行に左右されない 道無き道を走り続けるランドクルーザーの魅力
■時代に左右されず売れ続けるランクルの驚異
2020年はシリーズ累計2万6296台を販売したランドクルーザー。モデルチェンジから時間が経過しても、安定して売れ続けているのが特徴だ
2020年の『乗用車ブランド通称名別順位』でSUVは、2位にライズ(12万6038台)、13位にハリアー(6万6067台)、15位にRAV4(5万4848台)、21位にC-HR(3万3676台)が入る。SUVカテゴリーの販売台数上位は、トヨタSUVが独占している状態だ。
クルマの販売台数は、時代の流行を色濃く反映してきた。セダン、ワゴン、ミニバンと繋がり、現在はアーバンスタイルSUVが市場の中心にいる。トレンドのSUVとは毛色の違うランドクルーザーは、人気のSUVに押され、細々と生きながらえているのだろうか。
ランドクルーザーの年間販売台数を遡ると、2020年は2万6296台を記録している。2019年には2万8475台、2018年は2万9416台、2017年は2万2576台と、波がなく安定しているのがわかる。時代に左右されずに安定して売れるのが、ランドクルーザーの特徴だ。
モデルチェンジ期に、爆発的に売れるクルマよりも、長い間、一定の台数が売れ続けるクルマの方が、販売店にとってはありがたい。販売店にとってランドクルーザーは、販売台数を計算でき、高価格で販売できることから、安定した収益確保につながる存在だ。
トヨタ販売店のなかでも、特にトヨタ店の屋台骨を支えてきたランドクルーザーの功績は大きい。流行りのSUVに負けることなく、ランドクルーザーは、常にトヨタの中心にいるクルマだろう。
■走りを極限まで磨き上げ、築き上げられたランクルブランド
それまでの40系に代わって1984年に登場した70系。日本でも再販されたが、「必ず帰ってこられるクルマ」として、世界で絶大な信頼を得ている
ランドクルーザーは、世界約170の国や地域で販売されており、グローバル販売台数は1001万台を超える。世界中で愛され、確固たる地位を築いてきた。
ランドクルーザーのコンセプトは70年間変わらない。快適性や上質感を目玉にした高級SUVとは違い、クルマの基本性能である「走り」を、極限まで磨き上げている。
砂漠や沼地、岩場などのいかなる路面状況でも、確実に走破でき、故障しない安心感は、世界一だろう。移動手段がクルマに限られ、広大な砂漠地帯が広がる、中東やオーストラリアの中央部では、特に欠かせない存在である。
陸の王者ともいわれるランドクルーザーは、時代とともに洗練され、プレミアムSUVとしての側面も備わった。しかし、人と荷物を乗せ、安全に目的地まで行き、無事に帰ってくることができるという、ブランドコンセプトを変えずに、世界の最前線で戦い続けているのだ。
■ランドクルーザーは営業マンの能力を試すクルマ
ランドクルーザープラド。日本での販売台数ではプラドが大半を占めるなど、その貢献度は高い
トヨタ販売店でランドクルーザーを販売していると、他車種とは明らかに違う部分がある。それは、目立った「ライバル車」や「競合車」が存在しないということだ。顧客はランドクルーザーだけを目当てに来店し、ランドクルーザーの話だけで帰っていく。
この存在は、営業マンを販売の基本に立ち返らせてくれるものだったと筆者は感じる。
近年の各メーカーのラインナップは、売れ筋のカテゴリーにクルマを集中し、流行から離れたクルマは、販売不振を理由に淘汰されていく。売り手が苦労しなくても、オートマチックに売れていくクルマが多くなっているわけだ。
しかし、ランドクルーザーは、簡単には販売できない。筆者は、新人時代に何度かランドクルーザーの商談をしたが、入社して数か月では、注文を取ることはできなかった。
ランドクルーザーを買いに来る人は、基本情報をしっかりと押さえており、ランドクルーザーというクルマが大好きだ。顧客は営業マンに対し、値引きなどの目に見えるサービス以上に、自身が知らないランドクルーザーの情報や知識を求める。
筆者が初めてランドクルーザーの契約をとれたのは、入社から半年が経過したころだ。基本情報はもちろん、カタログを見るだけではわからない、ランクルの魅力を自然に話していた。何よりも、筆者自身がランドクルーザーを好きになっていたのである。
買いに来る人はカタログ数値以外の情報を欲してディーラーに足を運び、営業マンのランクル愛を推し量り、この営業マンからなら買ってもいいと思って購入するのだ
プリウスやハリアーといった、売れ筋のクルマは、商談の数をこなせば売れていく。それは営業マンの実力もあるが、「当たり」の商談を引く運の要素も高い。
対してランドクルーザーは、営業マンの能力を試す。契約が成立したとき、ランドクルーザー自身が「この人になら、買われてもいい、売られてもいい」と承認してくれているような感覚さえある。
売り手側が「絶対に買って損はしない、最高のものだ」と思い、お客さんに、その商品を届けたいと思う。これは物売りの原点だ。この原点に立ち返らせてくれるランドクルーザーの販売は、一朝一夕には身に付かない。しかし、販売できたとき、達成感と充実感をこれ以上に得られるクルマもないだろう。
販売店の中でも、ランクルを安定して販売できるスタッフは、一目置かれる。クルマとして別格の魅力を放つだけでなく、販売現場のレベルアップにも貢献するランドクルーザーは、トヨタ営業マンにとっても特別な存在である。
70年の歴史の中で、トヨタを育て、トヨタ販売店を育て続けているランドクルーザー。変わらないブランドと変わらない魅力は、変化の多い現代でも、変わらずに輝き続けている。
これからも原点に忠実なランドクルーザーの存在は、関わる全ての人を、原点回帰させてくれる存在であろう。次期型のランドクルーザーでも、原点を磨き、さらなるランドクルーザーの魅力を提供してほしい。
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みんなのコメント
長く乗ってても陳腐化しにくい。
ある意味、経済的なクルマと言えるだろう。
それ以上の情報ってなんだろう?
ランクルの200とかならオプション全部付けてが当たり前なんだろうが、昔あった70なんかユーザー1人ひとりが使用目的が違ったからそれぞれに合わせて見積もらなければならなかった。
それはトラックを売るときと全く同じだったな。
いや、トラックの方がもっと大変だったな。
知識と経験が試される車。