■パジェロ、サーフ…、SUVとアウトドアには密接な関係が存在
最近は道を走ればSUVを見ない時はない、それくらいここ数年増えているのが、このカテゴリーです。なんと2015年には、世界の自動車販売の25%がSUVになっています(IHIオーティブ調べ)。なぜこれほどまでSUVブームになっているのでしょうか?
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このムーブメントはアメリカから始まりましたが、原油価格の低下と景気向上がSUVの購買欲を誘ったというのが要因と言われています。そして潮流はヨーロッパやアジアにも広がり、我が国にも入ってきました。
日本自動車販売協会連合会の調べによれば、日本国内での2017年度のSUV販売台数は、2013年度の5倍。メーカー別に販売台数の前年度比を見てみると、トヨタは63.1%増、マツダが53.6%増、スバルが35.6%増と、まさに成長市場であることが裏付けされています。
実は過去にも、同じようなブームがありました。それは「RVブーム(4駆ブーム)」。80年代から90年代にかけて、好景気にのって四輪駆動車(RV車)が爆発的に売れました。
人々のライフスタイルは多様化していきましたが、アウトドアで豊かな時間を過ごすというスタイルが、特にもてはやされました。その結果、スキーやキャンプが大ブームとなり、オフロード4WDはその生活のアイコン的存在となりました。当時の道には、「三菱・パジェロ」や「いすゞ・ビッグホーン」、「トヨタ・ランドクルーザー」「トヨタ・サーフ」という車種が溢れていたものです。
実はこの時のRVブームと現在のSUVブームには、共通した要因があると多くの市場関係者は見ています。
全国に直営店を展開する某アウトドアブランドの幹部は、「SUVとアウトドアには密接な関係が存在する」と言います。この幹部は、「ここ数年、弊社の商品の販売は好調ですが、他の市場を見回した時にSUVの好調さと比例している気がします。アウトドアレジャーを楽しみたい人にとって、SUVは冒険的で夢のある存在。アウトドア派は自分のライフスタイルを主張したい傾向が強いので、そういう意味でSUVはうってつけのアイテムなのではないでしょうか」と語っています。
民間の市場調査会社がネット上で行ったアンケートでは、約4割の人が「最近、キャンプやBBQをやっている」と答え、そのほとんどが50代だったということです。そして、この50代こそがかつてのRVブームを支えた層でもあるのです。
■かつての思い出が今のSUVブームを牽引?
ミニバン市場から撤退してSUVにラインナップを変えるという大英断を行い、2017年12月に発表した「CX-8」も絶好調なマツダ。
「CX-8」の購買層を広報部に聞いたところ、「かつてのRVブーム&アウトドアブームで楽しい思い出を作った人々が、いまSUVを購入しているという実感はあります。その表れとして、『CX-8』の購買層は過去のブームを牽引していた50代、60代に加えて、そのジュニアである20代、30代が非常に多くなっています」といいます。
とはいえ、SUVユーザーのすべてがアウトドア好きとは限りません。SUV好調は、別の要因も考えられると、前出のマツダ広報部は言います。「それはミニバンからの乗り換えです。ミニバンは現在も好調なカテゴリーですが、特に若い人の中にはスタイリングが好みではないという人が多くいます。そういう方が3列シートの『CX-8』を積極的に選んでいただいているようです」
昨年、SUVの4WD部門で販売台数No.1を記録したのが、「日産 エクストレイル」。日産広報部に話を聞くと、「弊社ではセレナなどのミニバンは相変わらず好調ですが、より高い走行性能やスタイリッシュなデザインを好む方もいらっしゃいます。そういうユーザーが『エクストレイル』などのSUVを選んでいただいているのではないでしょうか」と語ってくれました。
そして昨年もっとも売れたSUVはトヨタ「C-HR」。2017年度の販売台数は11万7299台でしたが、その内の9万6680台はハイブリッド車だったという結果が出ています。これについて、都内に拠点を置くトヨタカローラ東京の営業企画部は、このように分析しています。
「『C-HR』はライバルの『ホンダ・ヴェゼル』と比べると、お客様の年齢層が高い傾向にあります。それは価格が高いためですが、それでも売れているのが上位グレードのハイブリッド車。実は『C-HR』の最大の競合車は『ヴェゼル』ではなく、プリウスなのです。プリウスのデザインや居住性に満足できないお客様が、『C-HR』のハイブリッドを選んでいただいていると感じています」
様々な要因があって成長し続けるSUV市場ですが、今年はさらにトピックが多くあります。すでに北米でデビューしている「トヨタ RAV4」や「ホンダ CR-V」、「レクサス UX」といった話題のクロスオーバーSUVが日本でデビューする予定になっているほか、コンパクトSUVの「スズキ・ジムニー」や「三菱 パジェロミニ」が久しぶりにモデルチェンジを行います。今年はSUVの当たり年、ますます目が離せなくなりそうです。
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