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【エントリーグレードを拡充】キアe-ニロ 39kWh 航続距離289km 純EVの競争は加速中

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【エントリーグレードを拡充】キアe-ニロ 39kWh 航続距離289km 純EVの競争は加速中

39kWhのエントリーグレードを追加

text:Richard Lane(リチャード・レーン)

【画像】キアe-ニロ 競争は加速中 増える純EVの小型クロスオーバー 全134枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


キアは純EVのリリースを、他ブランドより効果的に成功させたといえる。2018年には、一足先にクロスオーバーのe-ニロをリリースした。

航続距離は約450kmもあり、運転環境の人間工学にも優れ、驚くほど活発な動的性能を備えていた。そこへ手に届きやすい価格が付いていたから、現実的な使い勝手の良い純EVとして多くの人からの支持を欧州で集めた。

洗練性という点では、ベストではなかった。だが、キアのブランドをリードするモデルとしては、不足ない内容だったといえる。

数年が過ぎ、メルセデス・ベンツやポールスターなど、多くの自動車メーカーがクロスオーバーの純EVを次々に投入している。キアが対抗策として選んだ方法は、高級志向を選ばないこと。

キアがe-ニロに与えたのは、小さなリチウムイオン・バッテリー。従来まで64kWhあった容量を39kWhに抑えることで、価格帯を引き下げている。同時に航続距離は約160kmほど短くなり、289kmになっている。

英国政府は最近、電気自動車などに付与される補助金が適用される車両価格を、5万ポンド(750万円)から3万5000ポンド(525万円)以下へ狭めた。現在のニロのモデルレンジで唯一補助金の対象となるのが、追加となった39kWhのe-ニロとなる。

このエントリーグレードを、キアはe-ニロ 2と呼んでいる。補助金を引いた後で、e-ニロ 2の英国価格は2万9845ポンド(447万円)。一方、バッテリーの大きいe-ニロ 3の場合、3万7100ポンド(556万円)が購入者の負担額になる。

航続距離と一緒に所有する喜びも減少

e-ニロ 2は、価格が安くなり、高速距離が短くなっただけではない。最高出力も203psから134psへと低くなる。そのかわり、最大トルクは40.1kg-mと不足ないほど太い。最新のフォルクスワーゲン・ゴルフRと同等、といえばたくましさがわかる。

といっても、見た目はコンパクトながら車重は1700kgもあり、0-100km/h加速は9.8秒もかかる。走りには、ちょっと重々しさを感じてしまう。

さらに64kWhのバッテリーを積むほかのe-ニロと比較して、装備面でも多少の我慢が必要。インフォテインメント・システムのタッチモニターは8.0インチへ小さくなり、スマートフォンのワイヤレス充電機能が省かれる。

アダプティブ・クルーズコントロールや2ゾーン・エアコン、オートヘッドライト、バックカメラなどは標準装備のまま。e−ニロ 2でも、装備は充分と感じる人も多いだろう。さらに豪華な内容を得たいなら、64kWhの3や4+といった上級グレードを選べば良い。

筆者がe−ニロ 2から省かれたと強く感じたことは、所有する喜び。453kmの航続距離をe-ニロから取ってしまうと、残るのは普通の純EVのクロスオーバー。硬いプラスティックが溢れる車内と、少ししっくりこない運転姿勢が付いてくる。

2018年であれば、純EVの選択肢は限られ、多くの人は気にせずにいたかもしれない。でも2021年の今、選択肢はたいぶ増えてしまった。

39kWhでも充分検討の価値はある

しかし競争力もまだある。e−ニロのステアリングはこのクラスとしては感触に優れ、操縦性やロードホールディング性も良好。アクセルレスポンスもほどよく軽快で、車内は広々としている。

回生ブレーキの強さは幅広く変更でき、惰性走行できる設定も効果的だと思う。だが39kWhのバッテリーでは、ゲームチェンジャーと思えたe−ニロの強みが薄まってしまう。100kWの急速充電器に対応していても、充分な補完とはいえないだろう。

まだ純EVは過渡期ではある。289kmの航続距離でも困らず、補助金範囲の安価な価格に惹かれるのなら、39kWhのe−ニロ 2は充分検討の価値はあると思う。

ただし、プジョーe−2008とフォルクスワーゲンID.3は同様の価格で、より強い訴求力を備えている。間もなく登場するスコダ・エンヤックは、3万5000ポンド(525万円)以下のモデルで台風の目になるだろう。競争は加速する一方だ。

キアe-ニロ 39kWh 2(英国仕様)のスペック

英国価格:2万9845ポンド(447万円/英国政府補助金適用後)
全長:4355mm
全幅:1805mm
全高:1545mm
最高速度:154km/h
0-100km/h加速:9.8秒
航続距離:289km
CO2排出量:−
車両重量:1667kg
パワートレイン:AC同期モーター
バッテリー:39.2kWhリチウムイオン
最高出力:134ps
最大トルク:40.5kg-m
ギアボックス:−

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みんなのコメント

4件
  • KIAは、いつも、デザイン良いですねぇ。でも、日本では、乗れない事情が大ありです。米国のレンタカーで乗ります。
  • キア?聞いたことないメーカーだが、今EV界で人気上昇中の車みたいだ。日本上陸待ったなし。日本は、とよだを始め未だにEVにクッソだらしねぇメーカーばかりだからね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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