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速さで勝る フォード・フォーカス ST 楽しさで勝る トヨタGR86 比較試乗 前編

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速さで勝る フォード・フォーカス ST 楽しさで勝る トヨタGR86 比較試乗 前編

周回を重ねるほど引き離されるGR86

2速でも3速でも構わない。グレートブリテン島の西、アングルシー・サーキットでトヨタGR86のエンジンをレブリミットまで回す快感は、かえがたいものがある。

【画像】速さで勝るフォード・フォーカス ST 楽しさで勝るトヨタGR86 競合ホットハッチも 全130枚

優れたシャシーとは、短時間で親しくなれた。2速へシフトダウンし、180度向きが変わるヘアピンカーブへ突っ込んでみる。だが、先をゆくフォード・フォーカス STトラックパックとの差は縮まらない。

同僚のリチャード・レーンは、グリーンのホットハッチを攻め立てる。間違いなく向こうが速い。周回を重ねるほど、GR86との距離は長くなる。タイトコーナーでは距離が縮まったように感じられるが、実際は徐々に引き離されていく。

今回の試乗は、現実的な英国価格で近似する2台による比較。サーキットを中心としたが、公道にも時間を割いた。

自動車メディアでは珍しくない内容といえる。だが、どちらも新鮮な驚きを与えてくれる貴重な存在だ。本来なら、GR86の方が約1万ポンド(約161万円)お手頃なのだが、現在の英国では事実上、4万ポンド(約644万円)近く準備しなければ入手が難しい。

フォーカス STトラックパックの英国価格は、3万9950ポンド(約643万円)。最高出力280psを発揮する、通常のフォーカス STは約3万7000ポンド(約595万円)からなのだが、特別なパッケージが装備され、そのぶんお高い。

労働者階級のための高性能モデル

フェイスリフトを受ける前までは、フォーカス STエディションという名で、これと近い構成のパッケージが提供されていた。シリアスな走りとは裏腹に、名称はかなり控えめといえた。

最新のSTトラックパックの場合、選べるのは6速MTが組まれた5ドア・ハッチバックのみ。通常より10%軽量化されたアルミホイールを履き、専用コンパウンドのピレリPゼロ・タイヤが路面を掴む。外観では、縁がブラックに塗られたSTのロゴが目印になる。

目玉となるのが、フロント・ブレーキディスクが約10%大きくなり、車高が10mm落ちるKW社製の車高調サスペンションが装備されること。減衰力は収縮で12段階、伸長で16段階から選べる。ジャッキアップや、内装トリムの取り外しが必要ではあるけれど。

それにしても、ホットハッチの値段は高くなったものだ。残価設定金額も高いため、毎月の支払額はそこまで上昇していないとしても。

インフレは進んでいるし、半導体は供給が追いついていない。排気ガスに含まれるCO2規制に伴い、販売台数も限られている。理由はいくつも存在する。

ハッチバックのキング、最新のホンダ・シビック・タイプRは、英国では約4万7000ポンド(約756万円)で売られている。そのおかげで、フォードはお手頃なホットハッチだと主張できている。労働者階級の高性能モデルではあるだろう。

金額を上乗せし転売されるGR86

一方、フォーカス STトラックパック以上に供給台数が限られているのが、トヨタGR86。本来ならずっと安く購入できるクーペなのだが、英国への2年間ぶんの割り当て台数が約90分で売り切れてしまったため、状況は大きく違ってしまった。

2022年4月14日の発表時点では、6速MT仕様で2万9995ポンド(約482万円)、6速AT仕様で3万2085ポンド(約516万円)に英国では設定されていた。ところが欧州の安全規制に対応できないことが理由で、販売期間は短く制限されていた。

トヨタの価格設定や台数の読みは、少し低すぎたのかもしれない。注文に成功した幸運な人のなかには、資本主義社会に生きる者らしいことをした。金額を上乗せし、転売するようになったのだ。

英国の中古車市場を確認してみると、納車後に殆ど運転されていないであろう走行距離のGR86が、執筆時点でも3台が売られている。そのいずれにも、4万ポンド(約644万円)近い値段が付けられている。

納車後に約3000km走った例も、別に発見した。多少は運転を楽しもうという意識があったのかもしれない。値段は3万7000ポンド(約595万円)だ。筆者が選ぶなら、こちらにするだろう。売り手にも、比べれば少しだけ好感を抱ける。

英国には、GR86に乗りたくても叶わない若者が沢山いる。トヨタは英国へ追加導入する可能性をほのめかしているが、同様な結果を招く可能性は高い。

42.7kg-mの太いトルクを3000rpmから発生

筆者は、GR86がフォーカス STトラックパックに近い速さなら面白いと考えていた。最高出力は234ps対280psで後者の方が勝るが、車重は1276kg対1437kgで前者の方が軽い。パワーウエイトレシオでは、最高出力の差ほどの違いはない。

GR86が搭載するエンジンは、2.4Lの自然吸気・水平対向4気筒。1t当たりの馬力は183psで、フォードの1t当たり194psへ接近する。滑らかなクーペボディで前面投影面積は小さく、後輪駆動だから加速時のトラクションも得やすい。

これらの事実から、フォーカス STトラックパックに劣らない速さを期待していた。そうすれば、価格にも納得しやすいだろう。だが、実際は違った。

数字として確かめるため、ラップタイムを計測した。やや路面が湿ったコンディションで、GR86はアングルシー・サーキットを1分52.5秒で周回。フォーカス STトラックパックは、1分50.3秒でこなした。

0-100km/h加速の時間は、GR86が6.3秒で、フォーカス STトラックパックが5.7秒。後者が積む2.3L 4気筒ターボエンジンはロングストローク型で、42.7kg-mという太いトルクを3000rpmから発生する。最高出力も5500rpmで達し、引き出しやすい。

タイヤは性能重視のピレリで、サイズは235/35 R19とワイド。電子制御のリミテッドスリップ・デフが組まれ、巧妙なサスペンションと相まって確実に素早い。

この続きは後編にて。

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