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400万円で始める泥沼フェラーリ生活! オープン4座モデルの魅力と購入の注意点

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400万円で始める泥沼フェラーリ生活! オープン4座モデルの魅力と購入の注意点

■購入後のメンテナンス費用も抑えることがポイント

 クラシックカー/コレクターズカーのオークション業界大手のボナムズ(Bonhams)社が、2020年9月20日午後(現地時刻)の入札締め切りで開催した「The Bonmont Sale 2020」は、新型コロナウイルス禍に見舞われた現況において、久しぶりにおこなわれたオンラインオークション/対面型オークションの併催イベントとなった。

バブル景気に躍った「テスタロッサ」「F40」「959」が残したものは何だったのか?

 開催地であるスイス・ジュネーヴ近郊の小さな村、チェセレックスでは、主にスイス国内から出品車両が集められたが、ここでもやはり主役の一端を担ったのはフェラーリ。

 しかも、先般VAGUEでもオークションレビューをお届けした、599シリーズのスペチアーレ版のようなハイエンド級モデルだけでなく、頑張れば手の届くような4シーター・オープンモデルたちの出品もあった。

 今回はそのなかから、注目すべき2台をピックアック。現在のマーケットはこの2台にどんな評価を下すのか、オークションレビューをひも解くことにしよう。

●1986 フェラーリ「モンディアル3.2カブリオレ」

 まず紹介したい1台は、現在のマーケットにあってもっとも手の届きやすいオープン・フェラーリとして知られる「モンディアル・カブリオレ」の第三世代にあたる「3.2カブリオレ」である。

 モンディアル・シリーズは、「ディーノ」/「フェラーリ308GT4」の後継車として、1980年に登場した「モンディアル8」に端を発する、2+2ミドシップV8モデル。

 その後1982年には、気筒あたり4バルブのヘッドを持つエンジンを搭載した「モンディアル・クワトロヴァルヴォレ(QV)」に移行した。

 さらに1985年には、エンジンを3185ccに拡大した「モンディアル3.2」に進化。1989年には3.4リッターV8エンジンを縦置き化した「モンディアルt」へと最終進化を遂げるまで生産された。

 一方、モンディアル8のデビュー当初のボディタイプは2+2クーペのみだったが、QV時代の1983年には、ソフトトップを折りたためる「カブリオレ(Cabriolet)」が登場。この時代のフェラーリにおける、唯一のフルオープン・モデルだったこともあって、とくに北米マーケットを中心に高い人気を博した。

 モンディアル3.2時代には、810台のクーペが作られたのに対して、カブリオレは987台がマラネッロ工場からラインオフしたといわれている。

 今回「The Bonmont Sale 2020」に出品された個体は、1986年4月1日にラインオフし、スイスの1stオーナーに納車されたと伝えられる「3.2カブリオレ」である。1999年に2番目のオーナーに譲渡され、現オーナーが入手する2017年まで過ごしたという来歴も判明している。

 また、白いボディとバーガンディ・レザーのインテリアは、新車時からのオリジナルである。スポーツマフラーと「328GTB/GTS」用の大径ホイールに換装されているものの、純正パーツも付属するという。

 現状の走行距離は約5万5000km。メンテナンス履歴を記したサービスファイルや、メーカー純正のサービスマニュアルなどのドキュメントも添付されるという好条件の1台ながら、ボナムズ社の設定したエスティメートは3万5000-4万5000スイスフラン。日本円に換算すれば約410万円-530万円という、非常にリーズナブルなものであった。

 そして9月20日におこなわれた競売では、手数料込みで3万6800スイスフラン、つまり約418万円で落札されることになったのだ。

 もちろん、この価格はスイスにおける一期一会のオークション結果ではあるのだが、日本国内でこれに近い条件のモンディアル3.2カブリオレが入手できる可能性も、まれにはあるかもしれない。そして、これからクラシック・フェラーリの世界に足を踏み入れたいと切望している熱心なファンには、モンディアル3.2にも目を向けることをお勧めしたい理由がある。

 308シリーズから360シリーズに至るフェラーリV8ユニットは、バルブ駆動をタイミングベルトでおこなっていた。そのため一定の頻度でベルト交換を要していたのだが、「t」以降の縦置きミドシップ車では、交換のためにエンジンをいったん降ろす必要があった。

 一方「3.2」までの横置きV8エンジンは、車体に搭載したままベルト交換が可能だったためにメンテナンス費用が安く抑えられることも、この時代のV8モデルがクラシック・フェラーリの世界に足を踏み入れるのに絶好のパートナーになってくれる、大きな要因のひとつとされているのだ。

 とはいえ34年も前に生産されたクルマ、しかも正真正銘のフェラーリである以上、当然ながら維持のための労力と費用について、然るべき覚悟を要するのは間違いないだろう。

■「F40」より難物の希少フェラーリとは?

 モンディアル3.2カブリオレが、クラシック・フェラーリ入門に好適ともいえるリーズナブルなモデルであるのに対して、こちらはある意味かなりの上級エンスー向きと思われる物件。1980年代初頭におけるフェラーリのフラッグシップ「400i」をベースに社外コーチビルダーがオープンボディを架装した、少数製作のスペシャルカーである。

●1982 フェラーリ「400i カブリオレ by パヴェージ」

 フェラーリ400iの起源は、1972年のパリ・サロンにて本格的4シーターGTとして誕生した「365GT4 2+2」まで遡ることができる。

 365GT4 2+2から400i、あるいはテールに小変更を加えた「412」まで継承されたピニンファリーナ製クーペボディは、名デザイナー、レオナルド・フィオラヴァンティが今なお自身の傑作と称するもの。

 それ以前のフェラーリ2+2モデルでは定石だった2600mmから、2700mmまで延長されたホイールベースを生かした上に、フォーマル感も兼ね備えたノッチバックスタイルとされ、類まれなエレガンツァと高い実用性を両立していた。

 パワーユニットは365GTC/4譲りの4.4リッターV型12気筒・4カムシャフトにキャブレターを組み合わせ、340psを発生した。

 1976年になると、365GT4 2+2はエンジンを4.8リッターに拡大した「400GT」に発展。フェラーリとしては初めてGM社製3速オートマティックも選択可能となった。この3速ATモデルは「フェラーリ400AT」と呼ばれる。

 さらに1978年には、エンジンが燃料噴射化された「400i」に取って代わられた。V12ユニットはメイン市場であるアメリカの排ガス規制を意識して、310psまでドロップしてしまったのだが、ドライバビリティは格段に向上することになった。

 さて、今回の「The Bonmont Sale 2020」に出品された400iは、ミラノ近郊に拠点を置き、現在ではスーパーカー/高級クラシックカー専門ディーラーとして活動を続けている「パヴェージ(Pavesi)」がカスタマイズした、4シーターのカブリオレである。

 パヴェージ社は「スクーデリア・フェラーリ」と同じ1929年の創業当初から、「カロッツェリア(Carrozzeria:ボディ架装工房)」を名乗っていたが、完全なオリジナルボディを製作することはほとんどなく、自動車メーカー製の既成ボディをベースに改装を加えることが主な生業だった。

 アルファロメオ製ベルリーナ(セダン)をベースとするワゴンボディや、デ・トマゾ各モデルのオープン版など、メーカーの準カタログモデルの少量製作を引き受ける一方で、フェラーリについては「365GTB/4デイトナ」をベースとする「タルガトップ」風スパイダーモデルを独自に少数製作したことでも知られる。

 今回紹介する400iカブリオレは、マラネッロ本社からの公認を受けた数少ないパヴェージ製フェラーリのひとつ。ほかのスペシャルショップ製カブリオレたちが、単にルーフを切り落とした「チョップトップ」に過ぎないのに対して、パヴェージは剛性を確保するためにシャシを強化し、電動のコンバーチブルフードを設計・施工したという。

 それゆえ販売価格はスタンダード400iの2倍近いものとなってしまったことから、製作台数は18台に終わってしまったものの、そのうちの12台はマラネッロ本社工場からオーナーに直接デリバリーされたといわれている。

 そんな超レア物のフェラーリながら、ボナムズ社と現オーナーが設定したエスティメートは7万5000-9万5000スイスフラン、日本円に換算して約880万円-1100万円という比較的リーズナブルなものとなった。

 そして9月20日の競売では予想どおりのビッド展開を見せ、手数料込みでの落札価格は8万3950スイスフラン、日本円換算にして約954万円で、新しいオーナーのもとに譲られることになったのだ。

 365GT4 2+2から最終型「412」に至る、一連のフェラーリ12気筒2+2クーペは、かつて筆者がコーンズ&カンパニー・リミテッドの営業現場に在籍していた時代のオーナーたちから「F40よりも難物では?」ともいわれていた、かなりのクセモノ。

 しかも今回の出品車両は、小さなカロッツェリアで改装されたものゆえに、新しいオーナーには様々な波乱が待ち受けているだろうが、それでもヨーロッパでコンクール・デレガンスなどに参加すれば、きっとスターのごとく扱われるに違いないと思うのである。

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