スマートは2015年の東京モーターショーで発表され、これまで1.0L自然吸気エンジン搭載モデルが販売され、これまで4000台を販売している。今回試乗したのは、新たに0.9L+ターボエンジンを搭載したスポーティなモデルがラインアップに加わり、試乗してきた。<レポート:高橋 明/Akira Takahashi>
スマートはご存知のように2人乗りのfor twoと4人乗りのfor fourがある。0.9Lターボエンジンはその両方に搭載され、ラインアップした。2016年8月から注文受付を開始し、納車はモデルによって異なるが、9月、10月あたりなので、ようやく納車が開始され始めたタイミングということになる。
フォーツーは外板色が4色でラリーレッド、イエロー、クリスタルホワイト、ディープブラックの4色でいずれもカブリオレモデルの50台ずつ、合計200台の限定モデルとなっている。また、マットリミテッドという限定モデルも同時に発売され、こちらは通常のルーフでムーンホワイトマットとチタニアグレーマットの2色で各40台の限定になっている。マット外板色はかわいらしさと渋さの同居で注目度も高いだろう。
■フォーツーは限定200台
さて、試乗車はフォーツーカブリオターボモデル。出力は90ps/135Nmで1.0L自然吸気モデルより+19ps、44Nm増大していて、小さいボディで小気味良く走れる。RRレイアウトのためフロントにはドライブシャフトがない。そのため、ハンドルの切れ角を大きく取ることができる。最小回転半径は軽自動車の平均より遥かに小さい3.3m。一般的な軽自動車はおよそ4.3mから4.7m程度であり、1m近く小回りが効くことになる。実際のUターン場面では未体験の驚きの小回り感覚を体験するだろう。
さらに、全長は先代と同じく2760mm、全幅1665mm、全高1540mmで立体駐車場も問題なく、マイクロサイズのシティコンパクトカーになっている。ちなみにホイールベースは1875mmだ。欧州では「スマート停め」なる言葉もあるように、縦列駐車のスペースにヘッドインで停められるほど、全長が短くコンパクトだ。
後退するとき、運転席から後方を振り向くとすぐリヤタイヤがあるから、その都度ボディの短さに驚く。反対に正面を向いて運転しているときは、全長の短さを感じさせない安定感があり、普通のクルマのように感じるから不思議だ。試乗したモデルはオープンモデルなので、さらにクルマの小ささを感じる場面があった。手を伸ばせばリヤタイヤに手が届きそうな錯覚すら覚えるからだ。
ターボエンジンに不満はなくNAモデルよりは確かにスポーティに走ることができる。燃費もNAと同等レベルでJC08モード燃費は22.0km/Lという省燃費性も維持している。エンジン音はそれなりに室内に入り、静粛性も取り立てて静かということはないが、高級なインテリアがそのあたりを紛らわしているかもしれない。
シートはレザーシートで、ダッシュボード上にはタコメーターが追加されるなど、高級かつスポーティなインテリアだ。レザーステアリングにもACCのセットボタンなどが付いている。
コンパクトなボディとは言えシートサイズはゆったりだ。ドイツブランドだから?なのか、日本人としては大きい部類に入る筆者(180cm)でも十分に大きさを感じるサイズで、シートスライド量も十分にある。もっともゲルマン系なら2mの身長も珍しくないわけだから、日本人には余裕の2シーターと言えるだろう。ちなみに製造工場はフランス・ハンバッハ工場で製造される。
カブリオモデルは電動式で、リヤのウインドウを残した状態までは走行中でも開閉が可能。サンルーフの大型版とも言える状況だ。そこからリヤトランクを開けてサイドルーフレールを格納すればフルオープンになる。サイドルーフレールはA、Cピラーに直結するパーツなのだが、それを取り外しても剛性感の違いはほとんど感じない。もちろん、ボディやフロントウインドウが振動したりもしない。スカットルシェイクとは無縁だ。
■フォーフォーはいつでも買えるカタログモデル
4人乗りのフォーフォーにも0.9Lターボエンジンが搭載された。こちらはルノー・トゥインゴと共通のエンジン、プラットフォームでボディデザインが異なっている。また、ルノーの量販グレードに対してフォーフォーはメルセデスブランドの付加価値という違いもあるだろう。ちなみに製造はルノーのスロベニアにあるノボメスト工場でトゥインゴと同じラインで製造される。
エンジンはフォーツー同様にリヤに搭載するRRレイアウトで、居住スペースを広く取る工夫がされている。またリヤドアは80度の角度まで開くので乗降性にもいい。インテリアはフォーツーと同様にレザーが主体のインテリアでステアリングやシートにはレザーが使われている。また、時計を内蔵するタコメーターもAピラー付け根にレイアウトされ、かわいらしさとスポーティさが同居する。
フォーツー、フォーフォーともにオプションのインダッシュタイプ・ナビを装着していたが、さすがに、個性的なデザインをしているインテリアには汎用のナビデザインはマッチせず、バランスは悪い。まさに機能のためだけに装着した印象は否めない。できれば欧州の多くの人がそうするように、PND、ポータブルでイージーに脱着可能なナビのほうが似合う。
パドルシフトも装備する6速DCTは滑らかで、クイックシフト感もいい。乗り心地や振動などはフォーツーとは全く異なり、しっとりとした印象だ。フォーツーのインパクトが強烈なだけに、フォーフォーは「クルマっぽい」という表現か。そのためライバルも存在してくるだろう。フォーツーは特徴があり過ぎてライバル不在の唯一無二の存在と言えるだろう。
フォーフォーのグレードは3種類。「パッション」「プライム」「ターボ」のラインアップで、ターボ以外は1.0Lの3気筒自然吸気エンジンを搭載する。ミッションは全グレード共通の6速DCTという組み合わせだ。ちなみに、フォーフォーのボディサイズは全長3550mm×全幅1665mm×全高1445mm、ホイールベース2495mmだ。軽自動車のセダンタイプは全長3395mm×全幅1475mm×全高1500mm、ホイールベース2460mmというのが平均的な大きさだ。全幅を除けば軽乗用サイズと言うことができる。
しかしながら、ブランド、価格からしても軽自動車との比較はナンセンスで、やはり輸入Aセグメントがライバルということになるのだろう。そしてフォーフォーは限定モデルではなくカタログモデルとなっている。
■価格(税込み)
フォーツーカブリオレターボリミテッド(200台限定):248万円
フォーツーターボマットリミテッド(80台限定):241万円
フォーフォーパッション:213万円
フォーフォープライム:234万円
フォーフォーターボ:256万円
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