はじめに
たしかに、しかし粛々と、メルセデス・ベンツはライバルたちに対する大きなアドバンテージを確立してきた。
これは、現在のメルセデスのカタログモデルに多く設定されているPHEV、すなわちプラグインハイブリッドによるものにほかならない。BMWやアウディではPHEVのラインナップが4車種にとどまっているのに対し、その倍に達している。しかも、ディーゼルとガソリンの両方で用意しているのはメルセデスだけだ。
メルセデスは、これらのPHEVファミリーをEQパワーと呼ぶ。今回のロードテストで取り上げるのは、その最新作にして、おそらくは最重要モデルだ。
このハッチバックのA 250eは、兄弟分のセダンモデルやコンパクトMPVのB 250eとあわせて、電動化メルセデスへの敷居を下げることが期待される。しかも、BMWやアウディには直接的な競合モデルがない。
ハッチバックのPHEVとしても、マーケットが重なるのはフォルクスワーゲンのゴルフVIIに設定されるGTEくらい。プレミアムブランドとしては今のところ市場独占状態で、シュトゥットガルトの経営陣は成功を確信しているに違いない。
こうして同郷の競争相手には先行したものの、だからといって無条件にクラストップを奪取できるとは限らない。プラグインによる経済性や税制優遇は大きな魅力だが、それだけではユーザーの期待を満足させることはないのだ。
このプラグイン版Aクラスが成功するためには、シルキーなまでの洗練性や贅沢にも思える快適性、そして一級のメルセデスが示してきた直感的なドライバビリティといったものが必要となる。われわれも、容赦無く評価していきたいところだ。
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
4代目となる現行Aクラスはもはや見慣れた存在になりつつあるので、エクステリアについてくどくどと語るのはやめておこう。ただ、2018年のデビュー当時と変わらない魅力は、2020年になっても変わらず感じられるとだけ言っておこう。
プラグイン化されても、ルックスにデザイン的な変更はまったく加えられなかった。唯一、充電ポートが加わっただけだ。
それよりずっと重要な変更は、メカニズムに施された。フロントに搭載される1.3Lの4気筒ガソリンターボは、ルノー・日産アライアンスと共同開発したユニットで、これに小型の電気モーターを追加。双方とも8速DCTを介して前輪へ駆動力を送り込む。
ふたつのパワーソースは、出力が合わせて218ps。トルクは、エンジンが1620~4000rpmで23.5kgm、モーターが回りはじめから33.6kgmを発生する。
永久磁石励起同期モーターに電力を供給するリチウムイオンバッテリーは、グロスで15.6kWh。搭載位置はリアシートの下だ。この積載スペースを確保するため、他のアイテムはレイアウトを手直しする必要があった。
燃料タンクは35Lへ縮小し、後方へ移動。排気系は、リアバンパーまで伸ばされることなく、車体中央付近でカットされた。サイレンサーは、トランスミッショントンネル内に設置される。
バッテリーは、このクラスとしては大きめで、ゴルフGTEに比べるとじつに2倍ほどあり、容量が増えたことで航続距離も延びた。WLTPサイクルでの公称スペックでは71kmのEV走行が可能とされる。
標準装備される7.4kW車載チャージャーでは、通常の7ピンAC充電器なら2時間以内でフル充電可能。DC急速充電器を用いれば、残量10%から25分で80%まで電力を補充できる。
サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット、リアは下位グレードのAクラスに用いられるトーションビームとしてスペースを節約。スプリングとパッシブダンパーは、スポーティさより快適さを重視したセッティングだ。
車両重量の公称値は1680kgで、このうちの150kgをバッテリーが占める。テスト車の実測値は1665kg、前後重量配分は58:42だった。
内装 ★★★★★★★★★☆
A 250eのインテリアは、そのほかのAクラスのそれとほとんど変わらない。バッテリーなどの電力システムを積んだことで、荷室フロアは低くならないものの、少なくとも開口部から分割可倒式の後席シートバックの根元まではフラット。重たい荷物を積み込む際にも、引っかかるような突起はない。また、このクラスのクルマとしては容量な容量が確保されている。
キャビンはおおむね実用的で心地よい空間だが、Aクラスに共通するいくつかの注意点もそのまま残されている。前席のスポーツシートは、ヘッドレストがシートバック一体型なので、独立調整ができない。もっとも、最近はAクラス以外にも、この手のデザインの採用例は散見されるのだが。
もうひとつは、後席のオーバーサイズなドアハンドル。膝まわりのスペースを無駄に食ってしまううえに、不用意にドアを閉めると外側の膝にぶつかることもある。
しかしそれを除けば、称賛に値するインテリアだ。モダンラグジュアリーなデザインで、高い質感、かなりリッチで豪華なマテリアル、贅沢なテクノロジーの数々を備え、しかも手頃な価格で手に入る。
艶のあるブラックのプラスティックやサテンクロームのトリムが多用されることは、誰もが歓迎するものではないだろう。また、室内の低い部分のクオリティがほかの5ドアハッチバックの多くと大差ないことを指摘する声があるかもしれない。だが、多くのドライバーは上質感に感心すること請け合いだ。
A 250eのグレードはAMGライン以上のみが設定されるので、装備内容は比較的充実している。とはいえ、メーターパネルとインフォテインメントの2面に10.3インチディスプレイを設置し、発光色を調整できるアンビエントライトを装着したいならば、より上位のAMGライン・プレミアムを選ばなければならない。
走り ★★★★★★★☆☆☆
PHEVにはよくあることだが、A 250eのパワートレインは、クルマ付きの好奇心を刺激する。ハイブリッドモードでは、かなりパワフルで、容易に引き出せるトルクもかなりのもの。
使いやすいパワーとトルクを発生する電気モーターは8速ギアボックスよりも上流に設置される。そのため、より高い速度ではこのクルマのギアリングの恩恵を得ることができる。
これにより、エレクトリックモードでも優れたパフォーマンスを発揮。法定速度に達する程度までのスピード域で使えるそれは、とくにパワー不足を感じさせず、ドライバーが意図的な操作をしなければエンジンが回ることはない。
しかしながら、クルマがどう動いているかなどお構いなしのドライバーにとっては話が異なる。単にうまく機能してほしいだけなら、A 250eには少なからぬ失望を覚えるかもしれない。
ときとして、ギアボックスは変速がスローで、バックでの駐車や切り返しの際には、リバースへの切り替えの遅さにイライラすることもある。
また、エンジンが停止しているときの洗練性が際立つ作動ぶりと、突発的にエンジン始動が必要となった際に発するノイズとがあまりにも対照的。高級感のある静けさを叩き壊し、クルマがまったくの別物になったように感じるほどだ。
残念なことに、メルセデスがこの1.3L直4をAクラスのPHEVに積んだ選択は大正解ではなかった。クルージング中はそれなりに静かで経済的だが、アグレッシブに回すとノイジーで粗さが目立つ。
少なくとも、経済的なクルマであるのはたしかだ。電力走行の航続距離は公称71kmだが、実際には使い方次第で48~56kmほどになるだろう。
日々の移動距離がその範囲に収まるなら、レンジエクステンダー的な使い方で20km/L近い燃費を出せるはずだ。数あるPHEVのなかでも、悪い数字ではない。
ドライバビリティにおける最大の欠点は、ブレーキが残念なほど予測不可能なことだ。制動エネルギーのマネージメントシステムは、ナビゲーションシステムと前方センサーの情報に基づいて、スロットルを引きずっている際のエネルギー回生セッティングを自動的に調整する。
これは、適切なペースでスローダウンしたり、接近するラウンドアバウトやジャンクションに備えたりすると同時に、ひどい渋滞のなかでエネルギー回収することを狙った制御ではある。にもかかわらず、スロットルを抜いてブレーキペダルへと足を移すたびにやや不安を感じる。
というのも、エンジンブレーキの遅れと、その後のペダルの食いつき感がどの程度なのか正確に把握することができないから。それが、あるべきスムースなドライビングを難しくしている原因だ。
使い勝手 ★★★★★★★★★☆
インフォテインメント
テスト車のグレードはAMGライン・プレミアムで、多くのユーザーが選ぶと思われる仕様だ。というのも、計器盤とインフォテインメントディスプレイのいずれもに10.3インチのワイド画面が標準装備されるからだ。
また、拡張現実ナビゲーション機能も採用。はじめはただのにぎやかしで、気が散ることもあるギミックだと思ったが、慣れるに従って少しばかり気に入った。メルセデス・アドヴァンストサウンドシステムも標準装着。出力は225Wで、理性的な大人ならまず満足できるパワーだ。
インフォテインメントシステムのナビゲーションのロジックは、すぐに慣れることができるものだ。ディスプレイとは独立したタッチパッド式の入力デバイスは、いろいろ試してみるとやはり直観性に不足を感じる。
だが、ステアリングスポークのサムパッドスクローラーはいい働きをみせる。音声認識の反応もよく、目的地入力は、指示の仕方に慣れればこれが使いやすい。スマートフォンのミラーリングは、A 250e全車ともAndroidとAppleの双方に対応する。
燈火類
ハイパフォーマンスヘッドライトの機能は上々で、照射の距離も範囲も十分。ただし、メルセデスのマトリックスヘッドライトに備わるインテリジェントアクティブビーム機能は持ち合わせていない。
ステアリングとペダル
ドライビングポジションは真っ直ぐで、ステアリングホイールとシートのオフセットはない。ベダルの感覚は十分に広い。
操舵/安定性 ★★★★★☆☆☆☆☆
A 250e以外のAクラスを購入するなら、ローダウンしたスポーツサスペンションか4WD、もしくはその両方を装備するだろう。
この重たい218psバージョンはいずれも装備しておらず、決してメルセデスのハッチバックで最良のダイナミクスを体現するモデルではない。しかもタイヤは、グリップよりも、ころがり抵抗の軽減を重視したチョイスだ。
たかがハッチバックに3万5000ポンド(約490万円)も支払うというのは驚きだが、A 250eの価格はそれ以上になる。
少なくともハンドリングは十分に穏やかで安定しており、限りなく自制が効いたものだ。しかし、タイトコーナーでは車体の重さに気づかされ、シャシーの横方向の動きが収まるまでには常にかなりの時間を要する。
横方向のボディコントロールは、ずば抜けてひどいというほどではない。というのも、メルセデスはサスペンションに過剰な負担をかけないようなタイヤを選んでいるからだ。
だが、上下方向の落ち着きはかなりプア。大きな突き上げではフラットな走りがひどく乱される。路面の隆起や反りを乗り越えると、均衡を取り戻すのには長くかかる。
メカニカルグリップがかなり足りないこともあって、急発進や速度を上げてのコーナー脱出の際には、ややハンドリングがとっ散らかったものになる。しかもそれは、パワートレインのレスポンスが精密にコントロールされていないので、当然ながら悪化する。
ただし、一定速でのコーナリング時にアンダーステアが発生するのは、あえて制御デバイスをオフにするか、ちょっとばかり無理をしたときくらいだ。
快適性/静粛性 ★★★★★★☆☆☆☆
快適性と静粛性。A 250eは、そのいっぽうでは申し分ないが、もういっぽうは十分とはいえないものだった。
このPHEVモデルのサスペンションは、コンフォート仕様のみが設定される。メルセデスがそう判断したことにより、少なくともこのクルマの快適さは、低速域でも高速域でもかなり優れている。高速道路では穏やかにくつろいで巡航でき、市街地の大きな隆起や段差での追従性もかなりのものだ。
しかしながら、音環境は残念なことになっている。騒々しいうえに反響し、それがときおり突如として起きるのだ。
アスファルト舗装が荒れていると、キャビンにはかなりのロードノイズが響く。これもまた、コンパウンドが硬い燃費志向のタイヤを履いたことの望ましくない副作用だろう。また、きつい隆起や露出した鉄板などではたしかに打撃音が室内へ侵入してくる。
このクルマのシャシーが、その車重によって快適な領域をギリギリ保っていることを知らなくても、どのみちこのさまざまな外的ノイズがそれを思い知らせてくれるはずだ。
ドライビングポジションは、ヘッドレストがシートバック一体型なのを除けば良好。シート自体は座り心地がよく、長さ調整可能な太もも裏のサポートを備える。運転席のレッグルームは、広いスペースがある。
購入と維持 ★★★★★★★★★☆
A 250eはこの手のクルマにありがちな、大きいバッテリーパックを積む。しかし、その割には軽量だ。ハッチバックということもあるが、多くのセダンやSUVのPHEVより軽く仕上がっている。
EV航続距離は公称70kmほどとなるが、これは重量が抑えられていることの恩恵もあるだろう。日常的な移動距離が50km程度に収まるユーザーならかなり魅力的な数字だろう。自宅や職場で駐車中に充電できる環境にあれば、きわめて少ない燃料費で、一般的なハッチバックと変わらずに走らせることができる。
プラグイン技術のもうひとつのアドバンテージは、CO2排出量の少なさによる税制優遇だ。英国なら、カンパニーカー税率が6%にとどまる。
さらに、ゴルフとA3のPHEV版が生産終了となった今、このAクラスは残価予想でも競合車種を寄せ付けない。3年・5.8万km走行後の残価率は44%で、ミニ・カントリーマン・クーパーS Eスポーツの35%に小からぬ差をつけ、それ以外の大衆ブランド製PHEVを大きく引き離す。当然ながら、残価設定ローンでも有利だ。
使い勝手の点で、非ハイブリッドモデルに対して劣るのは荷室容量のみだが、フロアの下にバッテリーなどを積む以上は仕方ないところ。7.4kWウォールボックスでは1時間45分でフル充電できるが、PHEVとしては十分に使いやすい速さだ。10~80%なら、充電スタンドなどの急速チャージャーで25分しかかからない。
スペック
レイアウト
非ハイブリッド車と同じく、A 250eのエンジンはフロントアクスル直前にマウントされ、前輪のみを駆動する。バッテリーパックはリアシートの下へ配置され、その直後に小ぶりな燃料タンク、そして荷室部分のフロアパンへと続くレイアウトだ。
リアサスペンションは、上位グレードに与えられるマルチリンクではなく、下位グレードと同じトーションビームを採用。これは、ハイブリッド用バッテリーの追加などに対応したスペースを稼ぐためだ。
エンジン
駆動方式:フロント横置き前輪駆動
形式:直列4気筒1332ccターボ、ガソリン、電気モーター(ギアボックス内)
ブロック/ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ72.2×81.4mm
圧縮比:10.6:1
バルブ配置:4バルブDOHC
システム総合出力:218ps/5500rpm
システム総合トルク:45.9kg-m/1620rpm
許容回転数:6200rpm
馬力荷重比:130ps/t(システム総合)
トルク荷重比:27.4kg-m/t(システム総合)
エンジン比出力:121ps/L(エンジンのみ)
ボディ/シャシー
全長:4419mm
ホイールベース:2729mm
オーバーハング(前):914mm
オーバーハング(後):776mm
全幅(ミラー含む):2000mm
全幅(両ドア開き):3700mm
全高:1440mm
全高:(テールゲート開き):1970mm
足元長さ(前):最大1100mm
足元長さ(後):最大720mm
座面~天井(前):最大1000mm
座面~天井(後):最大920mm
積載容量:310-1125L
構造:スティールモノコック
車両重量:1380kg(公称値)/1330kg(実測値)
抗力係数:0.28
ホイール前・後:7.5Jx18
タイヤ前・後:225/40 R18 92Y
ブリヂストン・トランザT005
スペアタイヤ:スペースセーバー
変速機
形式:8速DCT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:-/-
2速:-/-
3速:-/-
4速:-/-
5速:-/-
6速:-/-
7速:-/-
8速:-/-
最終減速比:-
燃料消費率
AUTOCAR実測値:消費率
総平均:19.4km/L
ツーリング:20.5km/L
動力性能計測時:8.9km/L
メーカー公表値:消費率
低速(市街地):10.5km/L
中速(郊外):17.2km/L
高速(高速道路):18.2km/L
超高速:14.9km/L
混合:100.0km/L
燃料タンク容量:35L
現実的な航続距離:678km
CO2排出量:26g/km
サスペンション
前:マクファーソンストラット/コイルスプリング、スタビライザー
後:トーションビーム/コイルスプリング、スタビライザー
ステアリング
形式:電動、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:3.0回転
最小回転直径:11.0m
ブレーキ
前:330mm通気冷却式ディスク
後:320mmディスク
制御装置:ABS、ブレーキアシスト
ハンドブレーキ:電気式、スイッチ(ダッシュボード配置)
静粛性
アイドリング:43dB
全開時:78dB(3速)
48km/h走行時:62dB
80km/h走行時:64dB
113km/h走行時:68dB
安全装備
ABS/カーブダイナミックアシスト付きESP/ASR/EBD/AEB
Euro N CAP:5つ星
乗員保護性能:成人96%/子供91%
交通弱者保護性能:92%
安全補助装置性能:75%
発進加速
テスト条件:乾燥路面/気温26℃
0-30マイル/時(48km/h):3.0秒
0-40(64):4.0秒
0-50(80):5.3秒
0-60(97):6.7秒
0-70(113):8.4秒
0-80(129):11.1秒
0-90(145):13.3秒
0-100(161):16.8秒
0-110(177):20.4秒
0-120(193):25.5秒
0-402m発進加速:15.4秒(到達速度:154.3km/h)
0-1000m発進加速:27.5秒(到達速度:198.3km/h)
ライバルの発進加速ライバルの発進加速
フォルクスワーゲン・ゴルフGTE(2015年)
テスト条件:乾燥路面/気温16℃
0-30マイル/時(48km/h):3.4秒
0-40(64):4.6秒
0-50(80):5.9秒
0-60(97):7.7秒
0-70(113):9.5秒
0-80(129):11.8秒
0-90(145):14.7秒
0-100(161):18.2秒
0-110(177):23.4秒
0-120(193):31.1秒
0-402m発進加速:15.9秒(到達速度:151.3km/h)
0-1000m発進加速:28.46秒(到達速度:188.0km/h)
中間加速
20-40mph(32-64km/h):2.1秒(2速)/2.2秒(3速)
30-50(48-80):2.4秒(3速)/3.1秒(4速)/3.9秒(5速)
40-60(64-97):3.0秒(3速)/3.2秒(4速)/3.9秒(5速)/5.0秒(6速)
50-70(80-113):3.6秒(4速)/4.1秒(5速)/5.1秒(6速)/6.8秒(7速)
60-80(97-129):4.1秒(4速)/4.5秒(5速)/5.4秒(6速)/7.3秒(7速)
70-90(113-145):4.8秒(4速)/5.0秒(5速)
80-100(129-161):5.7秒(5速)
90-110(145-177):6.8秒(5速)
制動距離
テスト条件:乾燥路面/気温26℃
30-0マイル/時(48km/h):8.9m
50-0マイル/時(64km/h):24.7m
70-0マイル/時(80km/h):48.1m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.84秒
ライバルの制動距離フォルクスワーゲン・ゴルフGTE(2015年)
テスト条件:乾燥路面/気温16℃
30-0マイル/時(48km/h):8.4m
50-0マイル/時(64km/h):23.2m
70-0マイル/時(80km/h):45.0m
結論 ★★★★★★☆☆☆☆
A 250eのパフォーマンスは、たくましくスポーティだといえるレベルにあった。けれども、おそらくAクラスのラインナップのなかでは、もっとも走りの劣るモデルだと思える部分も見受けられる。
ボディコントロールはルーズで、ドライバビリティにはうんざりするようなクセがみられる。また、ノイジーなところをしばしば感じさせるからだ。
そうはいっても、大ぶりなバッテリーパックを採用したことによる70km強のEV走行距離と、環境性能に基づく税制優遇の恩恵で、ほかのAクラスにはない魅力を手に入れた。カンパニーカー市場全体をみても、これに代わるものはおそらくないだろう。
そのうえ、日々の移動手段における電動化の進行に敏感なユーザーなら、A 250eはそのステップにおける選択肢として、ほかの多くのPHEVより実用的だ。
EV走行では、現実的な航続距離が50km前後はあり、パフォーマンスも良好で使いやすい。充電の所要時間は短く、おまけに、電動走行の特性がユーザーの好みに合うようアジャストできる。
電動モビリティの世界へ足を踏み入れる機会をいまだうかがっているのなら、まずはA 250eを試してみるのが得策だ。ただし、ひとつだけ覚悟しておいてほしい。このクルマのダイナミクスが、すくなくとも3万5000ポンドのメルセデスに期待される水準には達していない。
担当テスターのアドバイス
マット・ソーンダースこのA 250e、自分で手に入れて乗り回すことはまずない。だが、仕事用のクルマとして検討しそうな友人は多い。おそらくこのクルマに乗れば、次のカンパニーカーがオール電化されることへの不安は軽減されるだろう。
リチャード・レーンこのクルマが標準装備する7.4kWチャージャーの重要性は、軽視しない方がいい。スーパーマーケットで買い物している間に50%ほど充電できる性能には、PHEVを所有したことがあるユーザーほどありがたみを感じるはずだ。
オプション追加のアドバイス
テスト車のAMGライン・プレミアムは、4グレードのうち上から2番目なので、不足はほとんどなかった。グラスルーフや多機能ヘッドライトが必要でなければ、プレミアムプラスへのアップグレードは考えなくてもいい。
改善してほしいポイント
・始動時のエンジン音は抑えてほしい。ハードウェアの一部はルノー・日産との共同開発かもしれないが、作動ぶりはまぎれもないメルセデスのものでなくてはならない。
・ブレーキフィールには改善の余地あり。現状では、ドライバーが完全に満足できるものではない。クルマの基本的なコントロールにおいて、まずまずのコンフィデンスを与えてくれるにすぎないのだ。
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国内の忖度ライター・ジャーナリスト連中とは大違いですね。