ジャガーのEV、I-PACEで鹿児島から東京まで1,800km、桜前線を追いかけながら5日間かけて行う充電旅。3日目の朝、広島を出発した我々は13時、岡山県高梁市の「高梁市図書館」に到着した。広島から大阪に向かう旅で、高梁市に立ち寄るのは結構な寄り道なのだが、さらに内陸にある「吹屋ふるさと村」という場所を以前から訪れてみたかったので、桜情報と合わせて高梁市図書館で情報収集をしようというわけである。
天空の城「備中松山城」でお馴染み高梁
高梁市図書館の観光エキスパートに聞く
ジャガーI-PACEで充電旅。EV充電器付きの高級温泉旅館「星野リゾート 界 アンジン」に宿泊 桜前線は追えるのか!? ジャガーのEV「I-PACE」で行く「早春、大人の充電旅。最終回」
出迎えていただいたのは、併設している蔦屋書店の観光コンシェルジュである西森さん。あらかじめ「桜が咲いている場所があれば教えていただけませんか?」とお願いしていたのだが、なんとこの日、高梁の桜の名所で一本だけ咲いている木があるので、連れて行っていただけるとのこと。高梁市といえば、国指定重要文化財で雲海に浮かぶ姿から天空の城と呼ばれている「備中松山城」で知られるほか、古い商家や武家屋敷などなど見どころ満載の城下町だ。
JR伯備線の備中高梁駅とつながる高梁市図書館には、高梁地元のおみやげも揃っているため、時間のない我々には本当に助かる。西森さんにおすすめいただいた柚子風味の「ゆべし」や「神楽面最中」、地元デザイナーが手掛けたパッケージが可愛い「紅だるま」という柚子胡椒などを購入し、早速一本だけ咲いているという桜の木に案内していただくことになった。
「デザインと色が素敵、静かで落ち着く!」
桜の名所までI-PACEに試乗していただくことに
西森さんは普段クルマを運転することが多く、I-PACEを見るなり「デザインも色も素敵ですねー」などかなり気に入られた様子。少しの距離ではあるが桜のおすすめ名所まで、I-PACEを試乗していただけないかお願いすると、快く引き受けてくださった。
「とても静かですね。インテリアも落ち着いていて、運転していて安心できます」 ジャガーの最新電気自動車というと、何か操作が特別なのかな、などと思う方もいらっしゃるかもしれないが、スタートボタンに続いてDボタンを押し、アクセルを踏めばスルスルと発進。西森さんも、まるでいつも運転しているかのように慣れた感じでドライブし、5分ほどであっけなく目的地に到着した。
一本だけ咲き誇る奇跡のソメイヨシノ
日本の道百選の道や武家屋敷など見どころ満載
訪れたのは日本の道百選にもなっている紺屋川沿いの道。小さな橋が印象的で、両サイドに桜の木が並んでいる。狭い道、そして小さな踏切をパスして進んでいくと「ここです、あの一本だけ咲いてるんです」と西森さんがI-PACEを停車させた。なんと、川沿いに数多ある桜の中で、一本だけ見事に花が咲いていたのである。地元商店街のピンクの提灯が並んでおり、毎年春になるとここが高梁市のお花見スポットになると見受けた。
午前中に見た野生見あふれる白い山桜もいいが、高梁の一番桜はほんのりピンク色の、いわゆる私たちがイメージするソメイヨシノで、周囲のノスタルジックな景観にとても似合っている。停車いただいた場所はカメラアングル的にもベストポジションで、I-PACEの後ろから桜がおおいかぶさり、I-PACEが桜の花に包まれた感じで撮影することができた。
この紺屋川周辺には、江戸時代中期から後期に建てられた武家屋敷があり、書院造、数寄屋など日本家屋の素晴らしさを堪能できそうだが、こちらは先を急ぐ充電旅。西森さんにお礼をし、かつてから訪れて見たかった吹屋ふるさと村に向かうことにした。
高梁市図書館から吹屋ふるさと村まではおよそ40分、25kmの距離、15時には目的地に到着しそうだが、19時に大阪のホテルにチェックインしなくてはならないので、ゆっくり過ごす時間はない。道中はクルマ1台幅の狭い峠道で、地元の軽トラと道を譲り合う場面もあったが、大き過ぎないI-PACEの車幅は狭い道でも特に困ることはなかった。
最盛期には5,000人が暮らした
景観美しい歴史的名所「吹屋」
目論見どおり15時に着いた吹屋ふるさと村は、そこ一帯だけが江戸時代のままという、タイムスリップ感を味わえる赤い街並みが広がっていた。3連休の中日ではあるが、観光客もあまりおらずとても静かだったほか、いわゆる客寄せの看板やのぼりもないため、映画のセットの中にいるようだった。
この赤い街並みは古来の顔料であるベンガラによるもの。この吹屋という地域は江戸後期から大正期にかけて銅山とベンガラの生産で栄え、最盛期には5,000人もの人々が暮らしていたということだ。当時、ベンガラや銅の取引で財をなした豪商はそれぞれの屋敷の豪華さを競うのではなく、皆で話し合って今の島根県から宮大工を招き、ベンガラ色の統一された街並みを作ったのだそうだ。景観保全や景観デザインコントロールは世界各国で今でも重要な課題となっているが、こうした山奥に今でも美しく残る街並みを見ると、吹屋に当時住んでいた人々の意識の高さに敬服してしまう。
ベンガラ色の電気自動車I-PACEで
向かうは大阪、240kmの旅
ゆるやかなカーブに連なる赤胴色の石州瓦、ベンガラ格子、赤土壁。ベンガラ色の古屋にベンガラ色のI-PACEはなんともフォトジェニックだ。吹屋ではベンガラ焼きの陶芸体験教室も行っているそうだが、ベンガラの釉薬の写真をみると、まさにI-PACEのフォトンレッドに近い色合いを見せていた。有田や久谷の赤絵にもこのベンガラが使われているのだという。この吹屋の景観にI-PACEが似合うのは自明だ。
吹屋ふるさと村の滞在時間は残念ながら15分。ベンガラ色の電気自動車、I-PACEで向かうはここから240km離れた大阪で、出発時点での航続可能距離は260km。無充電で果たして到着できるのか? そのレポートはまた次回。
ジャガー I-PACEのお問い合わせ
https://www.jaguar.co.jp/jaguar-range/i-pace/special-site/index.html
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