現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > 電動新時代キックオフ、歴史的初勝利を“失格”剥奪のダールグレンが復讐の日曜快勝劇/STCC開幕戦

ここから本文です

電動新時代キックオフ、歴史的初勝利を“失格”剥奪のダールグレンが復讐の日曜快勝劇/STCC開幕戦

掲載
電動新時代キックオフ、歴史的初勝利を“失格”剥奪のダールグレンが復讐の日曜快勝劇/STCC開幕戦

 総勢12台の新型BEV(バッテリーEV)ツーリングカーが集結したヨーテボリ市街地特設トラックにて、新時代の幕開けを告げたSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権開幕戦は、オープニングのFPや予選こそフォルクスワーゲンID.3やテスラ・モデル3らが先行するなか、土砂降りの雨のなかで奮起した盟主ロバート・ダールグレン(PWR・クプラ・スウェーデン/クプラ・ボーン)が電動化時代最初の勝利を獲得。

 しかし歴史的な初勝利はチーム側の車両組み立てミスにより再車検不合格からの剥奪という残酷な事態となり、栄誉はジミー・エリクソン(ブリンク・モータースポーツ/テスラ・モデル3)の手に渡ることに。そんな失意の展開にもめげず、明けた日曜も豪雨ディレイのなかリベンジのときを待ったダールグレンが、そのエリクソンを撃破しての初勝利を手にしている。

EV新時代の公式テストは初日0.001秒差、テスラが全体最速。16歳の新鋭がBMWで参戦へ/STCC

 まったく新しい625mのオリンピック公園臨時トラックにて、有名なRoCレース・オブ・チャンピオンズ方式の“Head 2 Head”フォーマットを採用した電動ツーリングカー新時代の幕開けは、ヨコハマタイヤが供給する量産ロードカー用タイヤを装着した4車種各3台の後輪駆動BEVが、最初の公式セッションへと臨んだ。

 その歴史的オープニングのフリープラクティス1(FP1)では、当初計画のBMW i4に加え新たにフォルクスワーゲンID.3の3台も引き受けてグリッドの半分、異車種6台体制へと拡大したエクシオン・レーシングが先手を取り、2022年KZカート世界チャンピオンの20歳、ヴィクトル・グスタフソン(フォルクスワーゲンID.3)が最速を計時。続くFP2ではオフテストで好調だったミカエル・カールソン(ブリンク・モータースポーツ/テスラ・モデル3)が激しい雨が降る直前のドライ路面でトップタイムをマークしていく。

 迎えたデュエル形式の土曜QFでは、すでに相当の雨量が路面を濡らすコンディションのなか、TCR規定時代に4度のSTCC王座を経験したダールグレンや、鳴り物入りでSTCC挑戦を決めたラリークロスの欧州選手権2冠のEuroRX1王者アントン・マルクランド(PWR・クプラ・スウェーデン/クプラ・ボーン)らを抑え切り、現ポルシェ・カレラ・カップ・スカンジナビア王者のオラ・ニルソン(エクシオン・レーシング/フォルクスワーゲンID.3)が、EV時代初のポールポジションを奪ってみせた。

 しかし、ここからふたつのヒートを含むファイナルまでの道筋を勝ち上がったのはジミー・エリクソン(ブリンク・モータースポーツ/テスラ・モデル3)とダールグレンのクプラで、シリーズ4冠のチャンピオンは4周合計で1.6秒近いマージンを構築する。

 一方のエリクソンも後半戦で盛り返しギャップを詰めたものの、0.059秒届かず。これにより、ダールグレンがEV時代の歴史的な初勝利を収めた。

■チームのミスで優勝剥奪

 だが、レース後の再車検にて、スチュワードはクプラ・ボーンのサポートアームブラケットが誤って取り付けられていることを発見し、ダールグレンに対し即座に準決勝、決勝での失格処分を言い渡した。

「僕が言えるのは、PWRの全員にとってこのような事態が起きたことは残念だということだけだ。残念ながら、ここでの主要因は人的要素だ。今は明日に集中したいだけさ」とダールグレン。

 そのPWRレーシングのチームマネージャーを務めるマーカス・エクストロームも、この失格裁定を受け入れ「我々のミスだった」と説明した。

「後方のサポートアームを組み直す際、間違った位置に取り付けられた」と続けたエクストローム。

「サポートアームを取り付ける位置は3箇所あるが、中央にしか取り付けられないことが決定した。我々はこれを下側の位置に設定していたんだ。明らかに間違っていたし、我々はこれを受け入れる」

「これは我々の不注意によるものだ。ミスはいつだって起こりえるが、我々はチームとしてそれを行う。そして残念ながら、今回はロバートに当たってしまったということだ……」

 明けた日曜は、そのダールグレンから勝利を譲られたエリクソンが、ニルソンのID.3をわずか0.028秒差で撃破し初ポールを獲得。しかし前日と同様に濡れたトラックは溜まった水量を排除するため決勝がディレイされると、こちらも土曜と同じ顔ぶれとなるダールグレンとエリクソンが決勝へと勝ち上がる。

 ここでファイナル双方のヒートでそれぞれ1.4秒と0.131秒の差で勝利したダールグレンが、正真正銘リベンジを果たす電動STCC初優勝を飾ってみせた。

「今日はリベンジの日だと決めていたし、ヒートは2回ともうまく行ったね」と、喜びと同時に安堵の表情を浮かべたダールグレン。

「我々はつねに強くあるべく、ここまで積み上げていかなければならなかった。エンジニアが無線で静かにしているとき、ドライバーはそれが厳しい状況であることを知る。最後に回生ブレーキのバランスを調整をしたが、それが決め手になったようだ。この週末はジェットコースターのようだったね」

 これで紆余曲折を経て無事に開幕戦を終えたSTCCは、従来のサーキットで開催される第2戦以降は通常のヒート制スプリントレースのフォーマットに戻り、次戦は6月28~29日にユンビヘッド・パークことユンビヘッド・モートルバナで開催される。

こんな記事も読まれています

スター選手の饗宴。TC2000王者とSCBタイトル候補が快勝。バリチェロもテスト参加/TCR南米第3戦
スター選手の饗宴。TC2000王者とSCBタイトル候補が快勝。バリチェロもテスト参加/TCR南米第3戦
AUTOSPORT web
次世代王者候補ブロック・フィーニーが逆襲。僚友ウィル・ブラウンを降し連勝を達成/RSC第5戦
次世代王者候補ブロック・フィーニーが逆襲。僚友ウィル・ブラウンを降し連勝を達成/RSC第5戦
AUTOSPORT web
新開発のスリックタイヤとともに必勝体制で臨んだ TOYO TIRESニュル24時間耐久レース、5年目の戦い
新開発のスリックタイヤとともに必勝体制で臨んだ TOYO TIRESニュル24時間耐久レース、5年目の戦い
AUTOSPORT web
大雨で終盤に赤旗中断。波乱のワトキンス・グレン6時間をポルシェ7号車が制し今季2勝目/IMSA第6戦
大雨で終盤に赤旗中断。波乱のワトキンス・グレン6時間をポルシェ7号車が制し今季2勝目/IMSA第6戦
AUTOSPORT web
高速走行中に目が合った可夢偉とフォコ/SC出動記録を更新/動員は昨年比微増etc.【ル・マン24時間決勝後Topics 2】
高速走行中に目が合った可夢偉とフォコ/SC出動記録を更新/動員は昨年比微増etc.【ル・マン24時間決勝後Topics 2】
AUTOSPORT web
主導権を握り続けたオリバー・ソルベルグが、父ペター、王者パッドンらを退け大会連覇/ERC第3戦
主導権を握り続けたオリバー・ソルベルグが、父ペター、王者パッドンらを退け大会連覇/ERC第3戦
AUTOSPORT web
ル・マン決勝前日に完成。シャシー交換で蘇ったJOTAポルシェが8位入賞「完走できると思ってなかった」
ル・マン決勝前日に完成。シャシー交換で蘇ったJOTAポルシェが8位入賞「完走できると思ってなかった」
AUTOSPORT web
宮田莉朋、2番手チェッカーもペナルティで後退。マルタンスが今季初優勝/FIA F2第6戦レース1
宮田莉朋、2番手チェッカーもペナルティで後退。マルタンスが今季初優勝/FIA F2第6戦レース1
AUTOSPORT web
【宮田莉朋F2密着】前日の好走から一転。スピードを失った車両で苦戦した日曜日/第6戦レビュー後編
【宮田莉朋F2密着】前日の好走から一転。スピードを失った車両で苦戦した日曜日/第6戦レビュー後編
AUTOSPORT web
BMW、前戦ノーポイントからル・マンで2位表彰台。ペース劣るも「最後は笑顔になれた」とファーフス
BMW、前戦ノーポイントからル・マンで2位表彰台。ペース劣るも「最後は笑顔になれた」とファーフス
AUTOSPORT web
早期スタートに終盤遅延。雨対策で6時間超のウエットタイヤ戦をトヨタのベルが制覇/NASCAR第18戦
早期スタートに終盤遅延。雨対策で6時間超のウエットタイヤ戦をトヨタのベルが制覇/NASCAR第18戦
AUTOSPORT web
WorldRX“6冠”の絶対王者が電動での王座防衛を捨て、持続可能燃料採用の“内燃機関”モデルに回帰
WorldRX“6冠”の絶対王者が電動での王座防衛を捨て、持続可能燃料採用の“内燃機関”モデルに回帰
AUTOSPORT web
【宮田莉朋F2密着】無線で黒白旗を伝えられず。ペナルティで表彰台を逃した土曜日/第6戦レビュー前編
【宮田莉朋F2密着】無線で黒白旗を伝えられず。ペナルティで表彰台を逃した土曜日/第6戦レビュー前編
AUTOSPORT web
アストンマーティン育成クロフォードが今季初優勝。宮田莉朋は入賞ならず/FIA F2第6戦レース2
アストンマーティン育成クロフォードが今季初優勝。宮田莉朋は入賞ならず/FIA F2第6戦レース2
AUTOSPORT web
フェラーリF1のバスール代表、ライバルに対する遅れを認めるも深刻視せず「今は誰もが改善している」
フェラーリF1のバスール代表、ライバルに対する遅れを認めるも深刻視せず「今は誰もが改善している」
AUTOSPORT web
10年ぶりの勝利を目指すチームWRT、スパ24時間で使用するBMWのマシンカラーリングを公開
10年ぶりの勝利を目指すチームWRT、スパ24時間で使用するBMWのマシンカラーリングを公開
AUTOSPORT web
最終コーナーでクラッシュ続出。ドライバーたちの不満と“危機意識”「もうちょっと耳を傾けて欲しい」/SF第3戦SUGO
最終コーナーでクラッシュ続出。ドライバーたちの不満と“危機意識”「もうちょっと耳を傾けて欲しい」/SF第3戦SUGO
AUTOSPORT web
フロントロウ独占の裏に“共闘”アリ。TEAM MUGEN陣営が振り返るそれぞれのアジャスト/第3戦予選
フロントロウ独占の裏に“共闘”アリ。TEAM MUGEN陣営が振り返るそれぞれのアジャスト/第3戦予選
AUTOSPORT web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村