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「無駄ではなかった」成長したチームがHOPPY GR Supraの修復を完了。これまで以上の仕上がりに

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「無駄ではなかった」成長したチームがHOPPY GR Supraの修復を完了。これまで以上の仕上がりに

 4月15日、岡山県の岡山国際サーキットで開幕戦を迎える2023年のスーパーGT。各チームともこのレースに向けて準備を整えてきたが、なかでもタイトなスケジュールとなったのが、菅波冬悟/野中誠太のコンビで参戦するHOPPY Schatz GR Supra GTだ。3月25日に富士スピードウェイで行われた公式テストでクラッシュを喫し、チームは19日間の日程でカラーリングまで終え、岡山に修復されたHOPPY Schatz GR Supra GTを持ち込んだ。

 2022年、若き職人たちを育てるべく自社製作のGRスープラを仕立てシーズンに臨んだつちやエンジニアリングにとって、この年は波乱に富んだ一年となった。鈴鹿で行われたタイヤメーカーテストでHOPPY Schatz GR Supra GTがクラッシュし1戦を欠場したほか、同じくつちやエンジニアリングでメンテナンスするHACHI-ICHI GR Supra GTも複数回のクラッシュに見舞われるシーズンとなっていた。

いよいよ開幕戦! 2023スーパーGT第1戦岡山 4月14日搬入日の様子

 そんな波乱ばかりだったシーズンを乗り越えて臨んでいた2023年。しかし、その開幕前の公式テストでHOPPY Schatz GR Supra GTがまたもクラッシュしてしまった。「正直、個人的な気持ちで言うと、今まででいちばん心が折れた瞬間でした」と土屋武士監督は振り返った。ただ、そんな土屋監督が気持ちを立て直す前に、スタッフたちが開幕戦岡山の積み込みまでの19日間での修復作業をスタートさせていった。

「立ち直るのに数日かかりましたが、みんなが『ぜんぜん大丈夫ですよ』と言ってくれましたし、サプライヤーの皆さんが協力してくれて、時間がかかるパーツを早く作ってくれたり、いろんな方が支援してくれたり、差し入れを持ってきてくれたりしました」

 こうしたサポートを得て、HOPPY Schatz GR Supra GTはふたたび形になっていくのだが、土屋監督は驚きながら復旧作業を見ていくことになる。「作っているモノを見ると、最初よりキレイだし早いんです」

「数年に一度の大クラッシュが、8ヶ月の間に2台あわせて5回もあって、ぜんぶつちやエンジニアリングのスタッフで直したのですが、その経験がすごく活きていると感じたんです」と土屋監督。苦難を乗り越えてきた若き職人たちが、苦難の数だけの成長を見せてきたのだ。

 クラッシュ自体は辛く、それこそ心を折られるもの。しかし、土屋監督は「無駄ではなかった」という。

「こんな職人たちは今いません。『次はこんなものを作ろう』と、創意工夫と技術で前よりも良いものにしてきたんです。それに、あんな経験がなければ間違いなく職人は育たない。彼らの様子を見ていたら、苦しかったですけど、報われた気持ちになりました。みんなに助けられました」と土屋監督自身が、成長したつちやエンジニアリングのメンバーに救われた気持ちになったという。

 そして、土屋監督を勇気づけた人物がもうひとりいたという。修復作業真っ只中の4月7日、全日本スーパーフォーミュラ選手権第1戦の前日に、富士スピードウェイホテルで行われたパーティーに解説者として参加していた土屋監督に、ドンと身体を寄せ声をかけてきた人物がいた。トヨタ自動車の豊田章男会長だった。──この場合はひとりのレース好きのモリゾウというべきか。

「“親方”は泣き言を言っちゃダメ。どんなときでも笑っていなきゃ。僕なんてどれだけ泣きたかったことか」

 土屋監督は、世界的な大企業を社長として率いてきた人物が、富士公式テストでの出来事を把握していたことにも驚いたというが、モリゾウはさらに「レース界にはつちやエンジニアリングみたいなプライベーターがいなきゃダメ。だから頑張れ!」と声をかけたという。

「モリゾウさんに言われたら、これは頑張るしかないな」と土屋監督はさらに気持ちを奮い立たせた。

「とてつもなく救われたし、とてつもなく励まされました。土屋武士は人に恵まれていると思いましたね。今回いちばんハードでしたが、みんなとともに、自分自身もいちばん成長できたと思います。この出来事を乗り越えて、次のステージに行きなさい……ということだと受け止めています」

 真新しいカラーリングと相まってか、土屋監督の言うとおり、HOPPY Schatz GR Supra GTは美しい仕上がりをみせている。苦難を乗り越え、たくさんの人たちの期待を背負う25号車が、第1戦でどんな戦いをみせるだろうか。

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