Q:2017年の車名別新車販売、トップに立ったのはホンダN-BOX。ホンダ車の年間首位は何年ぶり?
text:Naojiro Onuki(大貫直次郎)A:2002年のホンダ・フィット以来、実に15年ぶり。
モデル末期になっても月販1万台以上を継続し、フルモデルチェンジした9月以降は、月販2万台前後を記録した。ちなみに、軽自動車が年間首位になるのは、2014年のダイハツ・タント以来3年ぶり。
12月単月では、3カ月連続マイナス
日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会がまとめた2017年12月の全体での国内新車販売台数は、前年同月比0.8%減の39万4249台と3カ月連続で前年実績を下回った。カテゴリー別では、
・登録車:同1.0%減の26万2345台(3カ月連続のマイナス)
・軽自動車:同0.5%減の13万1904台(9カ月ぶりの前年割れ)
となった。
これで2017年(1月~12月)の成績は、登録車が前年比4.5%増の339万824台と2年連続でのプラス、軽自動車が同6.8%増の184万3272台と3年ぶりのプラス。トータルで「同5.3%増の523万4096台」と3年ぶりに前年実績を上回り、しかも2年ぶりに500万台の大台を突破した。
新車販売 2年ぶりの500万台超
市場動向について業界団体の関係者は、「12月の新車販売は日産自動車とSUBARUの完成検査不正問題の影響が長引いて、3カ月連続での前年割れとなった。日産は登録車が前年同月比22.8%の大幅減。外部に生産を委託している軽自動車も同9.3%減と落ち込んだ。また、SUBARUは登録車が同6.7%減、外部に生産を委託する軽自動車は同21.0%減とマイナスを記録した」「一方で2017年通しての新車販売は好調に推移し、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要があった2014年以来、3年ぶりにプラスを記録。また、2年ぶりに大台の500万台を超えた。好成績の要因は、登録車が新型車を中心に販売台数を伸ばして2年連続で前年超えを達成したのに加え、軽自動車が3年ぶりにプラスに転じたことにある。昨年の軽自動車は増税による影響が長引いたこと、さらに燃費データの不正問題で三菱自動車のeKシリーズや日産自動車のデイズ・シリーズが一時出荷停止となったことなどで販売成績が低迷したが、今年はそれらが払拭された」と解説。
今後の展開については、「日産とSUBARUともに検査体制を見直して生産と出荷を行っているものの、ブランドイメージの悪化は予想以上に長引いているようだ。一方、日産とSUBARUを除くメーカー各社の受注は新型車を中心に堅調で、また春に向かって販売を伸ばしそうなモデルが各メーカーから発売される予定なので、これらがどれくらいマイナス面をカバーできるかが注目点」と指摘した。
2017年12月 車名別 販売台数ランキング
(日本自動車販売協会連合会/全国軽自動車協会連合会)1位 ホンダN-BOX 1万8458台
2位 トヨタ・プリウス 1万2291台
3位 トヨタ・アクア 1万1660台
4位 ダイハツ・ムーブ 1万73台
5位 日産デイズ 9288台
6位 スズキ・スペーシア 8757台
7位 ダイハツ・タント 8741台
8位 スズキ・ワゴンR 8284台
9位 トヨタ・ヴォクシー 7545台
10位 日産ノート 7475台
フルチェンのスペーシア、マイチェンのデミオ 4割増
12月単月の車名別ランキングでは、9月に全面改良を実施したホンダN-BOXが前年同月比23.3%増の1万8458台の販売を実現して4カ月連続での首位につく。続く第2位には、12月にαの一部改良を行ったトヨタ・プリウスが同4.7%減ながら1万2175台を記録してランクイン。第3位には6月にマイナーチェンジを行ったトヨタ・アクア(1万1660台)が、第4位には9月にキャンバスの一部改良を実施したダイハツ・ムーヴ(1万73台)が、第5位には3ポイントアップで日産デイズ(9288台)が入った。12月にフルモデルチェンジを行ったスズキ・スペーシアは、同45.5%増の8757台を記録して第6位に位置する。一方、上位ランク常連の日産ノートは同39.7%減(7475台)で第10位、日産セレナは同6.9%減(5648台)で第19位に低迷した。トップ10を一覧すると、登録車は4車種で、残り6車種が軽自動車。この比率になるのは、2カ月連続である。
注目の新型車の成績にも触れておこう。6月にマイナーチェンジを実施したホンダ・フィットは前年同月比14.2%増(7104台)で第12位に、10月にマイナーチェンジを敢行したトヨタ・カローラは同21.1%増(6715台)で第13位に、5月にイースを新型に切り替えたダイハツ・ミラは同19.5%増(6654台)で第14位に、10月に特別仕様車のF “Safety Edition” を発売するなどしたトヨタ・ヴィッツは同28.4%増(6619台)で第15位に位置。8月にツートンのボディカラーを新設定したクロスオーバーSUVのトヨタC-HRは同38.0%増(6421台)で第17位に、12月に安全技術の拡充を図ったマツダ・デミオは同40.1%増(5161台)で第22位に、10月に一部改良を行ったスバル・インプレッサおよび新型XVは同6.7%増(4635台)とプラスをキープして第25位に、9月にマイナーチェンジを図ったホンダ・ステップワゴンは同66.3%増(4607台)で第26位に入る。また、10月に第2世代に切り替わった日産リーフは同87.2%増の2306台を記録して第39位にランクイン。11月に特別仕様車のXGリミテッドやRSグレードのCVT車の発売などを行ったスズキ・スイフトは同330.1%の大幅増(2271台)で第40位に、7月に全面改良したトヨタ・カムリは同695.3%の大幅増(2203台)で第42位に入った。
2017年通年のランキングは?
2017年通しての車名別ランキングは、前年比17.2%増の21万8478台を成し遂げたホンダN-BOXが初のトップにつく。モデル末期になっても月販1万台以上を継続し、フルモデルチェンジした9月以降は月販2万台前後を記録するなど、安定した人気を確保したことが首位に立った要因だ。また、ホンダ車の年間トップは2002年のホンダ・フィット以来、実に15年ぶり。軽自動車が年間首位になるのは、2014年のダイハツ・タント以来3年ぶりである。続く第2位には、昨年の首位から陥落したトヨタ・プリウス(16万912台)が位置。第3位にはムーヴ(14万1373台)、第4位にはタント(14万1312台)とダイハツ勢が、第5位には検査不備問題で一時出荷を停止した日産ノート(13万8905台)が入った。トップ10を一覧すると、HV専用またはHVを中心に据えた登録車が4車種で、残り6車種が軽自動車。ユーザーの低燃費志向、そして節約志向は依然として続いているようだ。
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