安くて楽しくて維持費も安い。もう現代の夢のようなクルマといえばスイフトスポーツだろう。最近になってやたらスイフトスポーツ推しだが、実はスイフトスポーツはチューニングベースとしても超絶楽しい。
現行型はターボだからパワーアップも体感しやすいし、もともとが剛性の高いボディだけあって足回りの効果も出やすい。さらに970kgという超軽量ボディがもたらす恩恵は高く、チューニングベースとしても最高だ。
コッチではOKなのにアッチではNG!? 車検場によって判断が異なる理由
そんなスイフトスポーツのチューニングメニューを「松竹梅」の3段階でご紹介しよう。著者は元レブスピード編集長の加茂新氏。チューニング業界の専門家のおすすめとは!?
文/加茂新、写真/加茂新、SUZUKI
【画像ギャラリー】乗って楽しいイジって楽しい、スイフトスポーツをチューニング!!
■日本の至宝スイフトスポーツを松竹梅3段階メニューでしゃぶり尽くせ!!
スズキ スイフトスポーツ。モデルチェンジでこれまでの1600ccNAから1400ccターボエンジンとなり、チューニングの効果が現れやすくなった
現在国産最強のコンパクトスポーツ「スイフトスポーツ」。世界戦略3代目となるZC33SはこれまでのNA1600ccユニットから1400cc+ターボにスイッチ。その圧倒的なトルクとチューニング伸び代の大きさ、970kgという軽量ボディと相まって、痛快な走りを手に入れた。
しかも、ターボエンジンだけにパワーやトルクの上げ幅が大きく、チューニングの効果が現れやすい。やればやるほど明確に効果が現れる。そこで今回はそのメニューを3段階の松竹梅メニューで解説する。
■梅メニュー ECU書き換え+マフラー+ブレーキパッド
HKSフラッシュエディターはOBD IIコネクターからECUデータを書き換えるツール。ノーマルに戻せるのでディーラー入庫時も安心で支持されている
現代のターボ車チューニングはECU書き換えがもっとも効果が高い。ECUチューンといえば、ギリギリまで空燃比を薄くして、安全マージンを削ることで出力アップを図っていると思われてきた。しかし、現代ではちょっと違う。
燃調を薄くするというより、さまざまな規制や燃費基準に合わせられた制約を開放し、可変バルブタイミングを補正。フェイルセーフに掛からない安全な範囲で、ブースト圧や点火時期を調整することで出力アップを果たす。エンジンの寿命が縮まることはまずない。
HKSのフラッシュエディターなら、そういったチューニングデータをOBD IIコネクターからインストールするだけ。価格は約7万円。ほかにもショップオリジナルのECU書き換えサービスで10~12万円ほど。どちらも15~20psほどの向上が望める。
10%を超えるパワーとトルクアップで明確に効果が感じられるのがターボ車のいいところである。さらに5万円ほどで現車合わせすれば、170ps近いパワーも可能だ。
マフラー交換ははじめの一歩であり、もっともフィーリング変化の大きいチューニングでオススメのアイテム
そして、次にオススメしたいのがマフラー。現代のスポーティカーではマフラー交換してもパワーはあまり上がらない。数馬力しか変わらないことも多い。スイフトスポーツでも例に漏れずである。
しかし、レスポンスが圧倒的に変わる。パワーチェックのグラフ上では変わらないが、アクセルに対する反応が俊敏になる。これは感動に値するレベルの変化。発進するときも素早くエンジンが反応し、加速するときも車体が軽くなったような感じさえ受け、費用対効果の高いオススメメニューだ。
スイフトスポーツのブレーキは歴代モデルで共通して踏み込んでいく途中で効くクセがある。ZC33Sも同様で、ちょっと初期から効くスポーツパッドにすると扱いやすくなる
ブレーキパッドはスポーツ走行しなければ変えなくてもいいが、ブーストアップすればかなりクルマが速くなるので、少し耐熱温度の高いものに変えておきたい。一般的な街乗り~ミニサーキット対応のセミメタルやロースチールと呼ばれるモデルで十分。
■竹メニュー LSD+スポーツ触媒+サス+エアロ
ガチガチ、バッキン!!という音がするLSDは過去の話。適切なセッティングとオイルを使えば、不快感はない。イニシャルトルク低めが一時期はもてはやされたが、むしろある程度イニシャルトルクをもたせた上で、常時なめらかに効かせる1.5WAYや2WAY式が人気
スイフトスポーツ唯一の泣き所はオープンデフなこと。これだけのトルクがあるので、タイトコーナーでアクセルを踏めばイン側タイヤは空転の嵐。純正タイヤだとイン側タイヤのブロックがブンブン飛んでいってしまうので要注意だ。
そこで機械式LSDの装着をオススメする。サーキットではもちろん、ワインディングでも安定感が増すし、高速道路の直進安定性も向上する。近年のLSDはバキバキとしたチャタリング音とは掛け離れたスムーズなものが普通で本体約10万円~。取り付け工賃で約5~6万円ほど。
ZC33Sはエキマニが存在せず、エンジン内部で排気が集合し、即触媒に接続される。この部分から社外品に交換すれば排気効率がよくなり、タービンの回り始めのレスポンスもよくなる
パワー系ではマフラーに加えてスポーツ触媒を導入すれば、さらにレスポンスが向上。こちらも数字上はそこまで変わらないが、アクセルに対する加速の爆発力が圧倒的にアップ!! 本当に楽しいクルマになる。
ここまで来るとサスペンションも変えたいところ。純正サスは結構いいバランスだが、車高も下がるし、じつは社外サスの街乗りメインモデルのほうが乗り心地が良かったりもする。
純正サスは性能は十分だが、やや突き上げが気になる。バネレート低めの社外サスを選ぶとむしろ快適性アップにつながることも多い
そして、手軽なスタリングアップパーツとしてはリアウイングがオススメ。穴あけ加工なしなど取り付けやすいものも多く、ハッチバックのリア周りのスタイリングを引き締めてくれる。純正エアロに追加するタイプのリップなども見た目の変化のわりにコストが抑えられ、高い人気を誇っている。
■松メニュー 社外タービン+インタークーラー+キャリパーキット
社外タービンはいずれも純正プラスアルファ程度の大きさで、ブーストの立ち上がりやレスポンスはほぼ変わらず、高回転の伸びはグンと増す。使い勝手が悪化しないのもいいところ
さらに求めるならタービン交換である。ボルトオンターボが各社から発売されており約20万円。加えて取付工賃が必要だが夢の200psも狙える。
スイフトスポーツ用タービンに関してはインターセプターポイントはほとんど変わらず、上の伸びがよくなるので、上はあるけど下はスカスカなんてことはない。せっかく、タービンを変えるならインタークーラーもセットにすればさらに効果はアップ。
ここまで来るとブレーキが気になる。純正キャリパーも容量はあるのだが、片押しキャリパーが開いてしまいやすい。走り方にもよるがサーキット走行だと10回も走ればキャリパーが開いてきて、ペダルタッチが悪化する。
純正キャリパーの制動力は十分。だが、ハードブレーキを繰り返すと熱によって本体が変形してペダルタッチが悪化する。根本的に解決するには社外キャリパーへの交換が近道
そこで早期にキャリパーキットを導入したほうがパッドの減りも抑えられ、むしろランニングコスト的には有利。最新車の場合、キャリパーキット導入に伴うABSの誤作動も懸念されるが、現在のところ、そういったトラブルはないようである。
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