ドイツに新拠点 エネルギー密度向上目指す
ドイツの自動車メーカーであるメルセデス・ベンツは、電気自動車(EV)用バッテリーのエネルギー密度を高めることで、コストを最大30%削減する目標を掲げている。
【画像】空力に優れた高効率のEVセダン【メルセデス・ベンツEQS 450を写真で見る】 全24枚
バッテリーのエネルギー密度を1Lあたり0.9kWhまで高める。現在最も効率的なEVであるEQSセダンに搭載されている120kWhバッテリーのエネルギー密度は、1Lあたり0.55kWhである。
この目標は、メルセデス・ベンツと米国のシラ・ナノテクノロジーズ(Sila Nanotechnologies)社が共同開発した、シリコン複合負極を備えたリチウムイオンバッテリーで謳われている1Lあたり0.8kWhを上回るものである。
メルセデス・ベンツの研究開発責任者であるマルクス・シェーファー氏は、「目標は、メルセデス・ベンツのDNAを受け継いだ最高のセルを開発することと、その産業化のための専門知識を構築することです」と語った。
開発は、7月8日に140億ユーロ(約2兆4450億円)を投じてドイツ・シュトゥットガルトのウンターテュルクハイム工場(既存のエンジン開発事業の中心地)に開設した新しいバッテリー研究開発センター「eCampus」で行われる。
eCampusは、シリコン複合負極を使用したリチウムイオンセル、コバルトフリーの正極材、固体電池など、さまざまな技術を試験・開発するために設立された。これにより、メルセデス・ベンツがこれまでエンジン開発で培ってきたような、社内での開発能力を高める。
また、敷地内にはさまざまな化学組成のバッテリーセルを大規模に製造し、試験することができるインダストリアル・セル・ラボが設けられる。リードタイムを大幅に短縮し、年間数万個のセルを製造できる。
「わたし達は、技術的に主導的な役割を果たそうとしています。eCampusは、わたし達をこの目標に近づけてくれるものです。ここで行われている研究は、今後数年間でバッテリーコストを30%以上削減するのに役立つでしょう」とシェーファー氏は語った。
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