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【F1第18戦予選の要点】突然のグリップ変化に翻弄されたラッセルとアルボン「まったく違うタイヤ」

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【F1第18戦予選の要点】突然のグリップ変化に翻弄されたラッセルとアルボン「まったく違うタイヤ」

「ぜんぜん違う! FP3(フリー走行3回目)とまったく違うタイヤだよ!」

 2024年F1第18戦シンガポールGPの予選Q1でアタックを終えた直後、ジョージ・ラッセル(メルセデス)は無線でそう叫んだ。

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 予選前のFP3では、ランド・ノリス(マクラーレン)に次ぐ2番手タイム。それが予選Q1では13番手が精一杯だった。Q2でも状況は変わらず、8番手でなんとかQ3に進んだ。ここでもラッセルは「かなり手こずった」と口にしていた。

 それでもラッセルは、最終的にQ3で4番グリッドを獲得できた。今季ここまでチームメイトのルイス・ハミルトン(メルセデス)に13勝4敗と予選では圧倒してきただけに、わずか0.026秒差とはいえハミルトンに及ばなかったのは悔しい思いもあっただろう。それでも予選直後には「あのQ1の状態から、よく立ち直れた」と、ホッとした様子だった。

 同じようにFP3までの速さがすっかり鳴りを潜めてしまったのが、ウイリアムズの2台だった。特にアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)は、フリー走行では3回ともトップ10内に入り、絶好調だった。

 そして迎えた予選も、Q1はアルボンが7番手、そしてマリーナベイ市街地サーキット初体験のフランコ・コラピント(ウイリアムズ)も角田裕毅(RB)やニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)を抑えてQ1で9番手につけ、2台揃っての予選Q3進出は俄然現実味のある目標のはずだった。

 ところがQ2に入ると、ウイリアムズの2台は一気に失速してしまう。特にアルボンは、最初のアタックから新品ソフトで攻めたにもかかわらず、Q1の自己ベストより0.3秒以上遅いタイムしか出せず。あの温厚なアルボンが「僕たちは何をやっているんだ。タイヤのグリップがまったくないじゃないか!」と叫んでいた。

 そしてQ2最後のアタックも、Q1の自己ベストを0.2秒しか更新できず。ライバルたちが0.5~0.7秒縮めていくなかで11番手、コラピントも12番手に終わり、現実味のある目標のはずだったQ3進出は実現しなかった。

 彼らに一体、何が起きたのか。

 予選開始時の路面は、確かにかなり埃っぽかった。FP3終了後、予選が始まるまでの2時間半の間に、海風の吹き付けていたマリーナベイ市街地サーキットの路面が汚れてしまった可能性はある。それでもラッセルは2セット目のアタックは、上位勢の中では遅い方のタイミングで始めていた。この時点では、すでに路面グリップはかなり回復していたはず。それでもラッセルにとっては、「まったく違うタイヤ」だった。

 さらに不可解なのは、Q1の速さがまったく再現できなかったアルボンだ。Q1からQ2の間のわずか7分のインターバルで、路面コンディションが大きく変わるはずはない。にもかかわらずアルボンはグリップ不足を訴え、期待した速さを発揮できなかった。

 Q1はトップのノリスから15番手エステバン・オコン(アルピーヌ)までが1秒以内にひしめいた。Q2もピアストリから13番手セルジオ・ペレス(レッドブル)までが1秒以内。そんな超僅差の戦いの中で、各チームはマシン性能を極限まで追い求める。ほんのわずかなグリップ変化に対するマシンの許容度が、特にラッセルとアルボンのセッティングでは低かったということだろうか。

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