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販売もシェアもしない? 自動車メーカーが考える新しいモビリティの「あり方」とは

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販売もシェアもしない? 自動車メーカーが考える新しいモビリティの「あり方」とは

変化するビジネスモデル ルノーの展望は

「世界のほとんどの地域では、人々はまだ自分のクルマを所有したがっています」

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ルノーの新ブランド「モビライズ」のクロチルデ・デルボスCEOは、今週行われた新車発表会でこのような発言をした。クルマを所有したがらない人々にどう向き合うか、がテーマとなった同発表会において、この発言はいささかトリッキーなものに聞こえた。

しかし、ルノーで最高財務責任者を務めた経歴を持つデルボスは、決して話を誇張したわけではない。

自動車メーカーは、クルマの所有に否定的でありながらクルマを利用したがっている人々に対して、何を提供するべきなのか模索しているところだ。モビリティビジネスは、複雑に変化しようとしている。

例えば、かつてモビリティ革命の中心的なテーマであった自動運転タクシーの話題は、今やすっかり冷え込んでいる。「多くの人が、自動運転サービスの普及は2028年、2030年、あるいはその先の話だと言っています」とデルボス。

カーシェアリングに対する野心も、以前ほどの熱を帯びていない。BMWとメルセデスは先週、数年にわたる赤字を受け、共同のカーシェアリング事業である「シェアナウ(ShareNow)」をステランティスに売却することを発表している。

事業者向けにクルマをリース 新しいシェアリング体系

モビライズは2023年、2人乗りのEV「デュオ(Duo)」を発売し、カーシェアリングの世界に飛び込む予定だが、「オペレーターではなく後援者として」の参入であるという。つまり、ルノーの既存のカーシェアリング事業「Zity」と異なり、主にカーシェアリング事業者向けにクルマを貸し出すということだ。

モビライズによると、新型デュオは一般的な4人乗りのクルマと比べて運用コストを35%削減できるほか、洗えるシート(取り外し可能)や傷を目立たなくする特殊なカラーパターンの樹脂製バンパーを採用するなど、汚損しやすいシェアカーに適した設計になっているという。

乗用タイプのデュオと、商用タイプのベントの2種類を「モビライズ・シェア」と呼ばれるスキームで運用するが、これは街中を自由に移動するのではなく、既存のルノー・ディーラーを拠点とするため、従来のレンタルに近いものになる。

モビライズにとって2台目のモデルとなる「リモ(Limo)」は、全長4.6mの小型EVセダンで、Uberなどのライドシェア(配車サービス)事業者やそのドライバーに貸し出される予定だ。これも従来のカーシェアリングとは異なる体系で運用される。3台目のモデルは、「ヒポ(Hippo、ベースとなるのはEZ-Flexコンセプト)」と呼ばれる電動配送バンで、2026年に登場する予定だ。

カギを握るファイナンス クルマは金融商品に?

モビライズの事業の核は、カーシェアやライドシェアではなく、ファイナンスにある。これはトヨタの「キント(Kinto)」やステランティスの「Free2Move」など他社サービスでも同じ。モビライズの発表会では、ルノーの金融子会社RCIバンクがモビライズ・ファイナンシャル・サービスに名称変更されたことが発表された。

現在、モビライズの事業はルノー・グループ全体の収益の約6%を占めており、その99%はRCIバンクからのものである。デルボスCEOは、2030年までにグループの収益に占める割合を20%まで引き上げたいと考えているが、収益の半分はリースなどの金融サービス、残りの半分はサービスによるものになると明かしている。

モビリティの世界では今、ファイナンスが大きな役割を担っている。モビライズ・ファイナンシャル・サービスのCEOであるジョアン・レアンドロは、「顧客の購買パターンは、直接購入から変化してきています」と語る。

また、モビライズの調査によると、クルマの所有権がレンタル会社にあるオペレーティング・リースの世界新車販売における割合は、現在の36%から2030年までに62%に増加するという。これには、より柔軟なリース形態であるサブスクリプションも含まれる。

そしてモビライズは、2030年までにリース車両を80%増やし100万台とするほか、サブスクリプション車両を20万台に拡大することを目標としている。

また、ルノーは、買い替えの際に古いクルマを引き取り、工場で「再生」して、中古車としてリースする計画を立てている。モビライズも昨年7月、スペインの中古車サブスクリプションサービス「Bipi」を買収している。利用を希望するユーザーは、オンラインで数分以内に申し込むことができるようだ。

これが、自動車会社が考える新しいモビリティだ。設備投資を抑え、カーシェアリングのような難しい事業には手を出さず、自動運転タクシーに望みを託すのをやめ、ソフトウェアを活用し、金融会社と連携してクルマのライフサイクルをコントロールする。購入時に「さようなら」を言う時代は、もう終わるということだ。

ルノー・トゥイージーの後継車 新型デュオ

モビライズの新型EV、デュオは2023年後半に欧州をはじめとする市場で発売される予定だ。

ルノー・トゥイージーの実質的な後継車であるデュオは、カーシェアリング事業者など法人を主なターゲットとする。ルノーは以前、デュオをサブスクリプション形式で提供すると述べていたが、それが個人客を対象としたものかどうかは明らかでない。

モビライズの最高執行責任者であるフェドラ・リベイロは、「デュオはカーシェア事業者にとって画期的なものです」と述べ、運用コストの低さを強調した。また、デュオは高度なコンピューティング・プラットフォームを備えているという。コネクティビティを強化し、車両の検索や充電、運転体験の向上を目指している。

リベイロは「ゲーミフィケーション」を導入すると述べたが、詳細は明らかにされていない。9月のパリ・モーターショーでデュオのインテリアが公開される予定で、ここでより詳しい説明がなされるものと見られる。

デザインとしては、シェアリング機能に重きを置くという。モビライズのデザイン責任者であるパトリック・レカーピーは、「シェアするためのクルマをデザインしました。単なる言葉遊びではなく、考え方がまったく違うのです」と語っている。

デュオは、コスト削減と整備性向上のために、前後に同じバンパーを使用している。また、バンパーには傷を隠すための特殊なパターンが施されている。シートは簡単に取り外しができ、洗濯も可能だ。

バッテリーやパワートレインの詳細は明らかにされていないが、ルノーは以前、バッテリーモジュールを手動で交換できるようにし、充電を高速化すると述べている。また、先代のルノー・トゥイージーのように、一般的な駐車スペースに3台が入るほどの小型化を実現するという。

デュオは、シトロエン・アミのライバルとなる小型EVである。アミは、ステランティスのカーシェアリング事業のFree2Moveから展開されている。

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みんなのコメント

2件
  • 車を所有しないで済むしインフラに変わっていって欲しい。
  • ライターはハイプカーブを知らないな。
    自動運転タクシーが冷え込んでいるだと?
    メディアが取り上げていないだけで、米中では事業が始まっている事を知らないのか。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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