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“地の利”も活かして有言実行。小林可夢偉が驚速ポール獲得で、トヨタがフロントロウ独占【WEC富士予選レポート】

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“地の利”も活かして有言実行。小林可夢偉が驚速ポール獲得で、トヨタがフロントロウ独占【WEC富士予選レポート】

 9月9日、WEC世界耐久選手権の2023年第6戦『6 HOURS OF FUJI 2023』の予選が富士スピードウェイで行われ、チーム代表兼ドライバーの小林可夢偉がアタッカーを務めた7号車トヨタGR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/可夢偉/ホセ・マリア・ロペス組)が、不安定なダンプ条件も制して地元戦で総合ポールポジションを獲得。2番手にも8号車のブレンドン・ハートレーが続き、明日の6時間レースに向けTOYOTA GAZOO Racingがフロントロウ独占の完璧なお膳立てを整えた。

■LMGTEアマ:王者ベン・キーティングが貫禄見せる

苦戦続くポルシェ963「キャデラックに挑みたい」とフレデリック・マコウィッキ/WEC富士

 同日午前に実施されたFP3は残念ながら雨絡みのセッションとなり、各陣営とも本来的なアタックシミュレーションは充分にこなせない状況で予選を迎えた。14時40分に先陣を切って始まったLMGTEアマクラスの15分間は、気温24℃、路面温度27℃、やはりウエット宣言下での勝負となった。

 オンスケジュールで開始されたGTE予選では、各車がファストレーンで待機する段階でも判断が分かれたが、コースオープン後にアウト・インしてウエットからスリックへと換装した陣営も多く見られた。

 ドライ傾向のトラックでは周回ごとにタイヤのウォームアップと路面の改善が双方で進み、ラップごとにベストを更新する展開で首位が目まぐるしく入れ替わるなか、序盤は当初よりスリックを装着していた組が先行。

 星野敏がステアリングを握った777号車アストンマーティン・バンテージAMR(Dステーション・レーシング)や、小泉洋史の21号車フェラーリ488 GTEエボ(AFコルセ)、さらに57号車フェラーリ488 GTEエボ(ケッセル・レーシング)の木村武史らが上位にタイムを並べていく。そこに交換組から素早く熱入れを完了した85号車ポルシェ911 RSR-19(アイアン・デイムス)のサラ・ボビーが、1分38秒373まで基準タイムを詰めてくる。

 しかし、そこに立ちはだかったのが“無換装組”の33号車シボレー・コルベットC8.R(コルベット・レーシング)で、ベン・キーティングは1分38秒719から続くラップでも連続アタックを決めて各セクター最速とし、1分38秒338と首位交代に成功。これで各車ともタイヤのピークを使い切ったか、残り5分でもこれを更新するクルマは現れず、LMGTE“最後の王者”キーティングが貫禄のポールポジションを手にした。

 さらに85号車ポルシェの背後には、序盤から自己ベストを更新し続けて1分38秒875とした777号車の星野が続き、クラス2列目3番手を獲得。4番手98号車アストンマーティン・バンテージAMR(ノースウエストAMR)を挟んで、周囲のタイムダウンをよそに最終ラップでベストを刻んだ21号車小泉が、57号車ケッセル木村を破っての5番グリッドを奪取している。

※追記:その後21号車小泉はトラックリミット違反により当該タイムが取り消された結果、暫定リザルトではクラス12番手に降格。57号車以下はひとつずつポジションを上げている。

■LMP2:ユナイテッドの2台にデレトラズが割り込む

 続いて15時05分開始のLMP2クラスも、セッション開始と同時に各車がコースイン。まずはユーズドタイヤで路面状況を確認してから新品セットへと履き替え、すぐにウォームアップへと入っていく。

 ここでまず先行したのは34号車インターユーロポル・コンペティションのアルベルト・コスタで、1分34秒710の基準タイムを記録。それを23号車ユナイテッド・オートスポーツのオリバー・ジャービスが1分32秒705、続く周でも32秒453と塗り替えていく。

 ここでひと足先に34号車のコスタがピットへ向かう間、2番手には22号車のフィル・ハンソンが浮上し、ユナイテッド・オートスポーツ陣営がワン・ツー体制を構築する。

 これで盤石かと思われたが、10分を経過してチームWRT41号車ルイ・デレトラズがその牙城を突き崩し、1分32秒403で首位に立つ。

 これを見たジャービスも2セット目のタイヤに履き替えるべくピットへ戻ると、ここで僚友22号車が奮起。1分32秒182として41号車の逆襲に成功する。

 セッション残り5分でもジリジリとタイムアップが続くなか、ジャービスは惜しくも自己ベスト更新ならずで3番手留まりに。ピエトロ・フィッティパルディの28号車オレカ(JOTA)を4番手に挟み、34号車インターユーロポルが最後の最後で5番手に浮上してチェッカーとなった。

■ハイパーカー:可夢偉の2周目はセクター3更新ならず

 全12台での争いとなった15時30分からのハイパーカークラスも、セッション開始時点で路面はかろうじてドライを維持。プジョー9X8勢を先頭に、各車が定刻どおりにコースへと入るなか、7号車GR010ハイブリッドをドライブする小林可夢偉と、6号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)のケビン・エストーレはわずかに遅れてピットを離れ、5号車のフレデリック・マコウィッキはただ1台、3分ほどウエイティングの判断で最後にトラックインしていく。

 トヨタ8号車のブレンドン・ハートレーと、これが2戦目となるプロトン・コンペティションの99号車ポルシェ963、ジャンマリア・ブルーニはアウト・インでピットへ戻るなか、ウォームアップを進めるホームストレート上では94号車プジョー9X8(プジョー・トタルエナジーズ)のロイック・デュバルが、先をいく僚友を逃すかのようにウィービングを繰り返し、後方から迫るフェラーリ・AFコルセの2台とあわや交錯という状況も発生する(のちにセッション後の審議対象に)。

 5分を経過したところで、まずは38号車ポルシェ963(ハーツ・チーム・JOTA)のアントニオ・フェリックス・ダ・コスタが、基準タイムとなる1分29秒436を計時。そこへ2号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・レーシング)のアレックス・リンが1分28秒台へ入れ、午前FP3で好調だった2台が先手を取っていく。

 さらに1分28秒687でコントロールラインを通過し、首位浮上を果たした6号車ポルシェの背後から、間髪入れずに7号車可夢偉が1分27秒794とこの時点で後続を0.893秒も突き放す驚異的タイムを叩き出す。

 さらに僚友の8号車ハートレーも、アウト・インの分だけわずかに遅れたウォームアップを経て、1分28秒418でアタックをまとめ2番手に飛び込み、これでTGR陣営のワン・ツー・フォーメーションが完成する。

 そのままセクター1、セクター2ともタイミングモニター上に赤字をつけ最速を刻んで連続アタックに入っていた可夢偉だったが、最終セクターでトラフィックに遭遇したかベストは更新ならず。セッション残り5分ほどの時点でアタックを切り上げると、同じく連続アタックに向かっていたハートレーも、後半セクションで再び降り始めた雨に阻まれ更新はならず。

 地元の富士で無類の強さを誇るトヨタの2台が今季も“定位置”となるフロントロウを占拠し、2列目には6号車、5号車と2台のポルシェ963が並ぶグリッドに。キャデラックを挟んで、51号車、50号車のフェラーリ499Pが6~7番グリッドから、明日の決勝に向け巻き返しを期すこととなった。

 2023年シーズンも残すは2戦、チャンピオンシップの天王山でもあるWEC第6戦富士の6時間耐久レースは、10日(日)の午前11時にスタートのときを迎える。

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