■なんでも「SUV」と呼ばれるが…昔の「クロカン」ってなんだっけ?
昨今では、SUVがスタンダードなカテゴリーになりつつある昨今、再び脚光を浴びているのが「クロスカントリー4WD」です。
「クロカン四駆」や「オフロード4WD」ともいわれていますが、それはどんなクルマをいうのでしょうか。
クロスカントリー4WDの代表例がスズキ「ジムニー」です。
2018年に現行型がデビューしたジムニーは原点回帰を謳い文句に、SUVとは180度真逆のベクトルのクルマに生まれ変わりました。
モノコック構造のボディに、四輪独立懸架式サスペンションが当たり前のSUVとは異なり、ラダーフレーム構造にリジッドアクスル式サスペンションという、まるでトラックのような構造が特徴です。
さらに4WDシステムもフルタイム式4WDではなく、副変速機(サブトランスファー)を持ったパートタイム4WDを採用しています。
ジムニーのような構造のコンサバティブなクロスカントリー4WDは徐々に少なくなってきており、ほかにはJeep「ラングラー」とトヨタ「ランドクルーザー70系(海外専用車)」だけです。
こうしたクロスカントリー4WDの源流は、第二次世界大戦で活躍した「ジープ」です。
フォード「GPW」やウイリス「MB」といった小型軍用車は、全地形を素早く移動し、さまざまな兵器や人員を運ぶために開発されました。
20世紀初頭は道路インフラも整っていなかったため、泥濘地などの悪路でも優れた走破性が必要とされました。
また、大型の兵器や車両をけん引することを想定して、強力なけん引力を発揮するために通常走行時よりもギアレシオが低い副変速機を装備しています。
トレッドは、欧米では標準的な線路の幅「標準軌」に合わせられており、場合によっては列車をけん引することもありました。
さらに軍用車として求められるのが、堅牢性と整備の容易さです。
フレームオンボディの構造は、ラダーフレーム以下のシャシーにダメージななければ、ボディが少々壊れていても走り続けることができるメリットを持っています。
スクエアなボディは車両感覚が掴みやすいだけでなく、修理や交換も容易です。
リーフスプリング+リジッドアクスル式サスペンションは頑丈なうえに、部品点数が少ないことから整備性が良いという美点もありました。
ジープは20世紀を代表する非常に優れたクルマであり、戦後は軍用のみならず民生用としても活躍しています。
そしてこのジープを手本に造られたのが、ジムニーやランドクルーザーであり、かつての日産「サファリ(パトロール)」やランドローバー「ディフェンダー(シリーズIからIII)」、メルセデス・ベンツ「ゲレンデヴァーゲン(Gクラス)」でした。
■現代のSUV文化はどのクルマが発端?
その後、道路インフラの発展や技術の進化によって、クロスカントリー4WDは2つの流れに分かれていきます。
ひとつはジープの流れを汲んだ“ワークホース”的なクルマ、もう一方は都市生活者を意識した汎用的な4WD車です。
後者の流れを作ったのは、ランドローバー「初代レンジローバー」といっても過言ではありません。
スタイリッシュなワゴン形状のボディに、面倒な操作を少なくしたサブトランスファー付きフルタイム式4WDや、どんな道でも快適な乗り心地を実現するコイルスプリングサスペンション。
初代レンジローバーはその後、ランドクルーザーやゲレンデヴァーゲンなどのライバル車にも影響を与えました。
現在のクロスカントリー4WDは、その構造はさまざまです。
現行型ディフェンダーやレンジローバーのようにモノコックボディ、インディペンデンスサスペンションを持つクルマも存在。
その一方で、ランドクルーザー300系のようにイイトコ取りをしているクルマ、ジムニーやラングラーのように由緒正しい構造を継承しているクルマなどいろいろです。
現代のモデルに、SUVとクロスカントリー4WDとの差違を見つけるとしたら、唯一違うのは副変速機の有無。
前述の通り、副変速機はけん引時に必要なだけでなく、悪路走行時に強力な駆動力を生み出します。さらに、ミッションを守るためにも必要なメカニズムです。
激しい凹凸で傾斜のあるオフロードを走ると、通常の変速比のミッションでは高負荷がかかり、ダメージを与えることがあります。
クラッチが焼けてしまった場合には、走行不可能になることも。副変速機でローギアードにすることで、より低い回転数でも大きな駆動力を得ることができるようになり、同時に駆動系のダメージを抑えることができるのです。
日本では4WDをLowレンジすることはほとんどありませんが、これが愛車に付いているだけでオーナーの冒険心がくすぐられるのが、クロスカントリー4WDの魅力かもしれません。
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Wiki読んだ方が100倍マシだ。