■インテグラ復活! 日本での発売はどうなる?
あの「インテグラ」が帰ってきます。
「レジェンド(伝説)・リターンズ」と銘打ち、ホンダが海外で展開するアキュラが2022年に新型インテグラを北米市場に導入すると2021年8月13日にオンラインで発表しました。
本来、2021年8月に開催予定だったニューヨークショーで公表する予定だったのでしょう。同モーターショーは新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、直前になって中止が決定しています。
今回の発表を受けて、日本の自動車メディアやSNS上でインテグラ復活を喜ぶ声はあるものの、現時点でホンダとしては日本向けに発売するかどうかを明言していません。
なぜならば、新型インテグラの日本発売の可能性は極めて低いと考えられるからです。
最大の理由は、アメリカにおけるアキュラブランドと、日本におけるホンダブランドの在り方の違いです。
アキュラは1986年に北米で誕生。同年、「レジェンド」とインテグラが北米市場に投入されました。
ホンダやアキュラ関係者がいつも口にしていたのは「アキュラは単なる上級ブランドではなく、スポーティ性を重視するブランドを目指す」というものでした。
そのためインテグラの価格帯は、ホンダブランドの「シビック」と“ほぼ同等”という設定としたのです。
本来、アメリカでのホンダブランドは、1970年代のCVCCシビック以来、庶民派ながら知的で先進的というブランドイメージです。
一方で、アメリカではF1の認知度が低いことなどから、ホンダのスポーティなイメージが日本に比べて弱いという一面あり、アキュラはホンダに比べて「少しスポーティで上質」というブランドを目指して誕生したという経緯があります。
アキュラの成功を見たトヨタと日産は、それぞれレクサスとインフィニティという新ブランドを相次いで立ち上げることになります。
レクサスとインフィニティは、アキュラと比べると、メルセデス・ベンツやBMWなど欧州高級車に近いブランドイメージを最初から想定していました。言い方を変えると、それがアキュラに対する差別化でした。
ところが、1990年代後半から2000年代初頭にかけて、アメリカを震源地としたグローバルでのSUVシフトが始まり、アキュラもレクサスやインフィニティのような高級ブランド化が進んでいきます。
そうしたなかで、インテグラはアキュラ「RSX」という3ドアクーペ専用車に移行し、価格はホンダブランドに近い設定を維持していました。ある意味で、インテグラ(RSX)は、ユーザーにとってホンダとアキュラとの橋渡し役のような存在でした。
その後、中国市場の拡大などもあり、ホンダブランドに対するアキュラブランドの上級化が明確になるにつれ、インテグラ(RSX)の必要性がなくなってしまったといえます。
■ホンダではなく、アキュラからインテグラが復活する理由は?
ではなぜ、16年ぶりにインテグラが復活することになったのでしょうか。
しかも、今回のアキュラ発表では先代(4代目)名称のRSXではなく、インテグラとしていることも大いに気になります。
考えられる理由は、アキュラブランドの大規模な立て直しです。
販売状況を見ると、ホンダ全体でのアメリカ販売台数は直近の2021年7月で13万5542台。このうち、アキュラは11%の1万4850台にとどまります。
アキュラ販売台数の内訳としては、コンパクトSUVの「RDX」が全体の39%。以下、ミドルサイスSUVの「MDX」が29%、ミドルサイズセダンの「TLX」が19%、コンパクトセダンの「ILX」が13%、そして2022年に生産中止が決まった「NSX」は7台でした。
アキュラとして今後さらになる進化を遂げるため、構成するモデルラインナップの刷新も考えられる時期でしょう。
また、ホンダはグローバルで2040年にEV/FCV化100%実現を掲げており、ホンダの主戦場であるアメリカでも今後、電動化シフトを加速させるべき時期です。
ホンダとしてはアキュラを含めたブランド戦略の再構築が必要な時期に差し掛かったといえます。
そうしたなか、あえてこのタイミングで、アキュラ RDXではなく、アキュラ インテグラ復活を決定したのは、電動化シフトによってアキュラの差別化が難しくなるなか、スポーティ性を重んじたアメリカ生まれのアキュラを“原点回帰”させる必要があったのではないでしょうか。
ホンダのインテグラとしてではなく、アキュラのインテグラという立ち位置が、ホンダのこれからを左右する大きな意味を持つのだと思います。
ホンダは2024年、SUVのEVであるホンダ「プロローグ」と、その兄弟車をアキュラブランドからアメリカで発売することを明らかにしています。
次期インテグラがフルEVで登場する可能性は低いと思いますが、e:HEVを応用したスポーティな電動車として次世代のホンダ全体を牽引するシンボリックな存在になるのではないでしょうか。
このように、ホンダにとってインテグラ復活は、アメリカ市場を中心とした次世代事業戦略の重要案件であり、軽とミニバンが主軸である日本市場を強く意識しているとは思えません。
ただし、日本市場では「S660」、「クラリティ」、「オデッセイ」、レジェンド、NSXなどが次々と姿を消すなか、新型シビックに6速MT搭載車を先代から引き続きラインナップするなど、ホンダのスポーティ精神を取り戻すべく新たなる動きが出ていることも事実です。
そのなかで、ユーザーから日本でのインテグラ復活を望む声があれば、ホンダとしては限定発売など、何らかの対応をする可能性は残されているのではないでしょうか。
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