「206」はぐっと骨太に
最新の「タイプ206」メルセデス・ベンツCクラスはなかなかの力作だ。
【画像】骨太になった「206」【新旧Cクラスを比較】 全162枚
近年のCクラスに比べるとクルマ全体がぐっと骨太になって、足まわりにもパワートレインにも上質感が漂う。
電子デバイスは運転支援系もインフォテインメントもライバルを凌駕するほどの仕上がり。
そして個人的には、往年のメルセデスを思い起こさせる鷹揚で快適な乗り心地の復活がなによりも嬉しい。
現行型は2021年6月に1.5Lガソリンエンジン搭載のC 200、それに2.0Lディーゼルエンジン搭載のC 220dがデビュー。
セダンとステーションワゴンの2タイプが当初より用意されていたほか、セダンのC 200には4マティックと呼ばれる4WD版もラインナップされた。
そして今年1月にはステーションワゴンのC 220dにマティック・オールテレインが追加。
SUV的要素を持つオールテレインはEクラスに設定されて大好評を博したが、それがCクラスにも拡大した格好だ。
ただし、その価格はCクラスのなかでは796万円とずば抜けて高い。
ちなみにそれ以外のCクラスは599万円から705万円の範囲におさまっている。
ハードウェア面でいえば、全モデルにISGと呼ばれるマイルドハイブリッド・システムを採用したことが注目点の1つ。
システムの柔軟性でライバルを圧倒するMBUXが全グレードに標準装備されるのも見逃せないポイントだ。
ここでは見どころの多い新型Cクラスを、セダンのC 220dアバンギャルドを中心にご紹介することにしよう。
ディーゼルなのに「滑らか」
わたしがC 220dでもっとも感心するのは、パワートレインの完成度が圧倒的に高いことにある。
少なくとも、Dセグメントのディーゼルモデルのなかではベストの仕上がりといっていいだろう。
まず、この4気筒ディーゼルエンジンはなんといっても静かで滑らか。
アイドリング時やごく低回転域でも、ディーゼル特有のキンキンとしたノイズ、それにゴロゴロとした振動を生み出さない。
騒音やバイブレーションのレベルは、お世辞抜きでガソリンに近いレベルにある。
スロットルペダルを踏み込んだ瞬間にすっとパワーが立ち上がるレスポンスの良さも好ましいけれど、本当に刮目させられるのは回転が上昇する速さ。
近年のディーゼルは、同じくスロットルペダルを踏み込んだときにグイッと背中を押されるような反応のよさはあるけれど、エンジン回転数の上がり方がガソリンエンジンに比べると遅いため、実際にスピードが乗り始めるまでには時間がかかるケースが少なくない。
ところがC 220dはスロットルペダルの踏み加減にあわせてスムーズに車速が伸びていく。
このレスポンスのよさは、高い燃焼圧を受けるディーゼル用のピストンがガソリン用よりも圧倒的に重いことを知っている者にとっては、驚異的な事実といって間違いない。
もう1つ、C 220dに搭載されたOM654Mと呼ばれるディーゼルエンジンの魅力は、エンジン始動が極めてスムーズなことにある。
これは、一般的なセルモーターではなく、パワフルなマイルドハイブリッド用モーターでエンジンを始動される恩恵。
このモーターはセルモーターよりも高速で回転するため、始動時の「身震い」をほとんど起こさず、まるで何ごともなかったかのようにエンジンに火を入れることができる。
そのスムーズさは、とりわけアイドルストップ後にエンジン始動した際に実感することだろう。
足まわりは往年のメルセデス
サスペンションのセッティングがソフトで、デコボコした道を走っても足まわりからゴツゴツした感触がほとんど伝わらないのもC 220dの魅力の1つ。
しかも、そうした振幅が小さな領域がソフトに感じられるだけでなく、ダンパーが大きくストロークする領域でも乗り心地はふんわりしなやかとしていて、実に快適なのだ。
わたし自身は、これがメルセデス・ベンツの本来あるべき姿だと思っている。
いまから30年近く前のメルセデスは、どれもサスペンションストロークがたっぷりとしていて、路面からどんなショックが加わっても、それを懐深く受け止める鷹揚さを備えていた。
それゆえにハンドリング自体は決して機敏とはいえなかったけれど、当時は高級車にそんなキャラクターが求められることはなかった。
それでも高速道路では優れたフラット感を生み出し、長距離ドライブを安楽に楽しむことができた。
そして、そうした快適性こそがメルセデスの本領であるとして尊ばれたのである。
けれども、ある時期からメルセデスはアジリティという価値を標榜し始める。
それは、メルセデスというブランドが若返るために必要な措置だったかもしれないが、おかげでしなやかな快適性は影を潜め、ゴツゴツとした手触りの硬さが前面に出た乗り心地になってしまった。
軽量化を推し進めたボディのダンピング性能が低下したことも、こうした傾向に拍車をかけているように思われた。
けれども、「タイプ206」のCクラスは違う。
往年のメルセデスを思い起こさせる柔軟な足まわりは路面からの衝撃を巧みに吸収し、快適な乗り心地をもたらしてくれる。
ときとして、周期の速い大入力に対してはこわばった反応を示したり、ボディの制震性にかすかなほころびを感じさせることもあるけれど、これらは目をつぶれる範囲。
しかも、かつてのメルセデスとは違ってコーナリング時のロールがしっかりと抑え込まれている点も嬉しい。
「ああ、よき時代のメルセデスが帰ってきてくれた……」
わたしにはそんな風にさえ思える足まわりである。
先進技術は明確なアドバンテージ
新型Cクラスの魅力は、そうした古典的な価値観に根差したものばかりではない。
たとえば先進運転支援装置の充実振りはメルセデスの明確なアドバンテージ。
この辺は、ライバルに先駆けて先進運転支援装置の開発を進めてきた実績が、そのまま性能に反映されているように思う。
たとえばアクティブディスタンスアシスト・ディストロニック(アダプティブクルーズコントロール)やアクティブステアリングアシスト(アクティブレーンキーピング)の動作のスムーズさ、そして精度の確かさは舌を巻くほど。
アダプティブクルーズコントロールのブレーキングに関していえば、たいていのメーカーの製品は「なんで、もうちょっと手前からブレーキを踏まないかねえ」とか「うわ、そのブレーキは急過ぎるでしょう」と思うことがしばしばだが、メルセデスではそういうことはまず起きない。
減速すべき状況が明らかになると、アクティブディスタンスアシスト・ディストロニックはいち早く減速を始めるのだけれど、あくまでも弱めの減速Gを一定に保ったまま、止まるべきポイントでぴたりと停止してくれる。
これはアクティブステアリングアシストも同様で、まるでコーナーの曲率をあらかじめ知っていたのではないかと思うくらい、スムーズにステアリングを切り始め、一定舵角を保ち続けてくれる。その運転のスムーズさは、プロが理想とする形に限りなく近いように思う。
ユーザーインターフェイスのMBUXもライバルの追随を許さない。その音声認識力が優れているだけでなく、人間の自然な発話を的確に理解する能力は完璧といっていいほど。
しかも、MBUXの動作がおよぶ範囲が、インフォテインメント系だけでなく、たとえばスライディングルーフやパワーウィンドウなどにもおよぶ点が素晴らしい。
したがって、MBUX欲しさにメルセデスを選ぶ顧客がいたとしてもわたしは決して驚かないだろう。
というわけで、乗り心地、パワートレイン、インフォテインメントのどこをとっても決定的な弱点が見当たらないCクラスは、このセグメントのリーダーとなるポテンシャルを十分備えていると評価できる。
メルセデス・ベンツC 220dアバンギャルドのスペック
価格:682万円
全長:4755mm
全幅:1820mm
全高:1435mm
ホイールベース:2865mm
車両重量:1780kg
パワートレイン:直列4気筒2000ccディーゼルターボ
最高出力:200ps/3600rpm
最大トルク:44.9kg‐m/1800-2800rpm
最高出力(モーター):20ps
最大トルク(モーター):21.2kg‐m
ギアボックス:9速オートマティック
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