外観はキープコンセプトながら中身は最新現代的に生まれ変わった“G”
39年もの長きに渡り多くの人に愛されてきたGクラスが今年ついに新型へとフルモデルチェンジを果たした。タフネスさとモダンな機能が融合した最新のGをじっくりとインプレッション。
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【Mercedes-Benz G-Class】
この写真を見て”Gクラスがフルモデルチェンジした”と聞かされても、多くの読者が信じられないのではないのか? しかし、Gクラスは紛れもなく生まれ変わった。サスペンション形式は前後ともに一新され、フレームのデザインも改められ、ドライブトレインもまったく新しいデザインとされたのだ。では、なぜメルセデスはGクラスのスタイリングには手をつけずに中身を全面的に見直したのか? まずはこの点をご説明しよう。NATO軍の軍用車としても採用されるほど圧倒的なオフロード性能と耐久性を兼ね備えたGクラスには、そうしたヘビーデューティーな側面とは別に華やかな横顔を持っている。タキシードやイブニングドレスをまとったセレブリティたちが夜ごと開かれるパーティにGクラスで乗り付ける……。直線的で無骨ともいえるあのデザインが、むしろゴージャスでファッショナブルだと受け止められているのだ。そこでメルセデスは、ユニークな外観にはなるべく手をつけることなく、最新のテクノロジーを取り入れて現代的なオンロード性能や最先端の安全装備などを盛り込む方針を固める。こうしてできあがったのが、デビューから39年目にして誕生した2代目Gクラスなのである。
その概要をざっと説明すれば、形式的には従来と同じラダーフレームをベースにしつつ、リジッド式だったフロントサスペンションはダブルウィッシュボーン式に昇格。いっぽう、リアサスペンションはリジッド式のまま車軸の位置決めに用いるリンクの数を従来の3本から5本へと増やし、十分な容量のブッシュを用いながらホイールの正確な位置決めを実現。オンロードでのハンドリングと快適性を最新のSUV並みに引き上げようとしたのだ。南仏ペルピニャン周辺で行われた国際試乗会で最初にステアリングを握ったのは『G63AMG』。乗り始めてすぐに感じるのはハーシュネスの軽さで、段差を乗り越えてもゴツゴツした印象は皆無。徐々にスピードを上げても足回りのスムーズな感触は失われず、実に洗練された乗り心地を味わえる。しかも、従来型とは比べものにならないほど静粛性が高く、ロードノイズはほとんど耳に届かないほか、強い横風でも吹かない限り風切り音も気にならない。静粛性や快適性はオフロード性能を優先した最新SUVと比べてもまったく引けをとらないほどだ。ワインディングロードに足を踏み入れても、正確に反応するステアリングのおかげで不安なくコーナーを駆け抜けられた。しかもロール量が巧みにチェックされているため、左右へと切り返すS字コーナーでも狙いどおりのラインがトレースできる。こんなときには『AMG GT』と基本的に共通のV8 4.0ℓ・ターボエンジンが右足の動きに即応したトルクを生み出してくれるので、タイヤの限界に近いペースを維持するのも容易。何をするにもタイムラグが大きかった従来型とは別物の軽快な走りを楽しめたのである。特設のオフロードコースには標準仕様の『G500』で挑んだが、50%に迫る登り勾配でもトラクションが抜ける気配はなく、ただアクセルを踏んでいるだけでグイグイと前に進んでいく。その走りは、ブレーキ制御でトラクションを稼ぎ出す最近のSUVとはまるで異なる、実に力強いものだった。オンロードにおける『G500』の印象は『G63 AMG』に準じるが、タイヤとサスペンションのマッチングは『G63 AMG』のほうが良好でむしろ快適に感じられたのは意外だった。いずれにせよ、オンロードとオフロードの性能をこれだけ高い次元で両立させたことは驚異的とさえいえる。その源となったのが、40年近いGクラスの歴史であり、このモデルのために専用設計されたプラットフォームの実力にあることは間違いない。これからもGクラスは幅広い層から支持され続けることだろう。
狭さを感じた先代とは異なり横方向にゆとりができた新型の室内空間。全面的に現行メルセデスのデザインがふんだんに取り入れられている。後席はレッグルームを15cmも拡大。インフォテイメントシステムを一新し、同時にインパネ回りもグッとモダンに。変わらないのはコンソール中央に収まるデフロックスイッチのみだ。
両サイドが大きく張り出しているのは先代同様だが、それでも容積は最大で1941ℓとアップ。リアシートは2:1の分割可倒式。
アプローチアングルは30.9度、デパーチャーアングルは29.9度、ランプブレークオーバーアングルは25.7度、最低地上高は241mmと、先代モデルよりもクロカン性能は向上。エンジンは4ℓV8ターボで、『G63 AMG』では585ps/850Nm、『G500』では422ps/610Nmを発揮する。
http://www.mercedes-benz.co.jp
(レポート:大谷達也)
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