1980年代を代表するレーシングレジェンドのひとりがフレディ・スペンサー。天才の名を欲しいままにし、その輝く才能を見せつけた伝説のライダーだ。
そんなスペンサーがAMAで駆った愛機、CB750Fも、いまなおファンを惹きつけるレジェンドマシンの1台。空冷、水冷と現代のCBにはさまざまなカタチがあるが、流れているスピリットは不変だ。
天才ライダーとの出会いが伝説のカラーに結び付いた!
シルバーの車体にブルーのグラフィック。「スペンサーカラー」と呼ばれ、CBの歴史を語る上で欠かせないこのカラーリングのルーツは、アメリカが誇る不世出の天才ライダー、フレディ・スペンサーが駆ったアメリカ・ホンダのファクトリーマシン、CB750Fにある。
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市販車そのままの外観で競われていた、1980年代のAMAスーパーバイクレース。レースでの勝利が市販車人気に直結する時代ということもあって、各メーカーとも躍起になって高性能マシンを投入していた。
そんな中、アメリカホンダが1980年から本格的にワークス参戦。彼らが満を持して投入したマシンが、CB750Fのスーパーバイクレーサー。
そして、彼らが採用した売り出し中の若手ライダーこそが、フレディ・スペンサーなのである。
空冷最強のCBと天才ライダーの組み合わせは数々の栄光を手にし、そのときのカラーリングは今も市販車のCBに受け継がれる。「スペンサーカラー」は、空冷時代から続くスポーツCBの「魂」でもあるのだ。
CBシリーズの定番となった「スペンサーカラー」
CBヒストリーの中でもっとも輝いているエピソードのひとつである、スペンサーによるデイトナ200マイルレース制覇だが、この時のワークスCBが採用していたシルバーにブルーのストライプをあしらった「スペンサーカラー」は栄光の伝説とともに、今なおCBシリーズの人気カラーとなっている。
1999年式のCB400SFや2007年式のCB750、2017年のCB1300SFなど、折に触れ復刻されていることからもその人気ぶりが伺える。
ヨシムラの連覇を阻止したアメリカホンダの意地の結晶「CB750F」
デイトナ200マイルレースと言えば、アメリカでもっとも注目度の高いレース。
言うなればオールスター戦のようなもので、ここで勝つことはシリーズチャンピオン獲得と同じくらいの価値がある、とされていた。
このレースに必勝態勢を敷いたアメリカホンダは、78~81年にデイトナを制したヨシムラスズキを打倒すべく、82年にWGPにフル参戦を開始するスペンサーに乗せるワークスマシンを製作。
それが、このCB900Fだった。
登録名こそCB750Fだが、80年の初登場からエンジンはRS1000用ベースのスペシャル。
この写真、82年型「F」では、GPマシンNS500のフロントフォーク、ダイマグ製16インチホイール、スタビライザーつきスイングアームに、オーリンズ製リアショックを使用する。
この年は、スペンサーが優勝、2位にマイク・ボールドウィン、3位にロベルト・ピエトリが続き、表彰台を独占。
後に日本でもAMAスーパーバイクは知られるようになり、銀×青の純正カラーは「スペンサーカラー」と呼ばれるようになったのだ。
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