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【軽トラック】知る人ぞ知る「農協仕様」が存在 装備、何が違う? サンバー vs キャリイの構図

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【軽トラック】知る人ぞ知る「農協仕様」が存在 装備、何が違う? サンバー vs キャリイの構図

働く軽トラの頂点に立つ「JA仕様」

text:Kumiko Kato(加藤久美子)

【画像】軽トラも立派な「はたらくくるま」 特殊装備車&JA仕様を見る【ディテール】 全50枚

軽トラックは、一部海外での新車販売があるが、基本は日本の自動車メーカーが日本で使う日本人のために設計した「純ジャパ車」である。

農業や林業の世界でとくにニーズが高いため、悪路走行を前提として設計されており、全幅1.48m未満の小さなボディは悪路も狭い道もすいすい走る。小さくても力持ちで最大積載量は350kgだ。

日本の風土や日本人の生活に深く関わって来た「軽トラ」が活躍する場は実に広い。

中でも、長年「軽トラ以外の選択肢はない」と言われているのが、農作業の現場である。

悪路で使用されることが多いため、ほとんどのメーカーで後輪駆動モデルと四輪駆動モデルが併売されており、5速MT車が主流。

4WDはヘビーデューティなシーンも余裕のパートタイム方式となる。

リアデフロック(またはリミテッド・スリップ・デフ)の設定がなされたグレードを用意する車種も多い。

小さくても非常にタフなクルマなのである。

農作業のパートナーとして絶大な支持を得る軽トラの中でも、とくに農作業に適した仕様を持つのがスバル・サンバーとスズキ・キャリイである。

サンバーはかつて「営農サンバー」という車種があったが、それが現在では「JAサンバー」に名前を変えて販売されている。

スズキ・キャリイにも「キャリイ農繁」「キャリイ農繁スペシャル」という特別仕様車がある。

いったいどんな仕様になっているのだろうか?

農家の要望を盛り込んだ最強の軽トラ

「JAサンバー」とは、「JA(農協)」仕様のサンバーを意味する。スバルと全農がコラボして作った軽トラで40年近い歴史がある。

JAサンバーが「営農サンバー」として誕生したのは1981(昭和56)年4月。

その前年、1980年にサンバートラックは軽トラック初の悪路走破性に優れた四輪駆動モデルを設定したことで、営農ユーザーの間で大評判となった。

特に、爆発的ヒットとなったのは長野県だ。

日常的に悪路や急勾配での走行を強いられることが多い長野県において農業従事者から圧倒的に高い評価を受けたのである。

軽トラ初の本格4WD採用は、JAサンバーが生まれたきっかけの1つにもなった。

では具体的にJAサンバーはどのような仕様になっているのか?

農家や農協の要望を聞いて、農作業での使いやすさを重視した仕様は独自の改良が施されている。

・4WDは悪路でより強いトルクを引き出すためのHi-Lo切り替え式。
・ぬかるみからの脱出を強力にサポートするデフロックも標準装備
・4枚リーフスプリングで足回り強化(通常3枚のところ、大量のコメ袋や発電機、動噴※など重量物積載時に車両が沈みこむのを抑えて走行安定性を確保)
・大型荷台作業灯
・格納式ゲートチェーン
・歩み板対応リアあおり
・T字フック
・可動式ストッパーなど

※動噴:農作物や果樹の消毒作業や各種の洗浄作業に使用される農業用高圧ポンプ

数ある軽トラックの中で、サンバーに初めてJA仕様が設定され、高い評価を受けて来た理由は何だろうか?

なぜサンバーにJA仕様が設定された?

数ある軽トラックの中で、サンバーに初めてJA仕様が設定され、高い評価を受けて来た理由は何だろうか?

それは、第一に悪路走破性の高い本格的な4WDシステムを備えていたことが挙げられる。

また、サンバーは数々の独自機構を持っており、これらも農業や林業での現場において根強く支持されてきた。

・エンジンを後輪車軸後方に配置するRR方式を採用
・極上の乗り心地を発揮する4輪独立サスペンション
・軽、唯一の4気筒エンジン

1998年に軽自動車の軽自動車規格が変更となった際、他社の軽バン/軽トラックは軒並みセミキャブ化されたが、サンバーはその後もトラック・バンともにフルキャブの車体形状を維持してきた。

セミキャブとフルキャブでは積載スペースはほぼ変わらないが、ホイールベースが異なるため小回り性能に大きな差が出てくる。

農道や林道、田んぼのあぜ道など狭い場所での取り回しを考えると、直進安定性はやや劣っても、ホイールベースが短いフルキャブの方が使い勝手が良い。

しかし諸般の事情によりサンバーはスバル独自モデルの生産を2012年3月で終了。

翌月4月2日にはダイハツ・ハイゼットのOEMとして発売され、2014年にフルモデルチェンジを受け現行モデルとなった。

生産終了の前には、全国で存続を願う署名嘆願活動が行われたが、願いはかなわなかった。

キャリイにも「農繁」 一般購入も可

サンバーのライバル、スズキ・キャリイにも「農繁」シリーズと呼ばれる営農向きの軽トラがある。1990年発売の9代目キャリイに初めて設定された。

農繁キャリイも営農装備としては、JAサンバーとほぼ同じだ。

・4枚リーフスプリング
・アングルポストプロテクター
・リアゲートチェーン
・荷台作業灯
など作業に便利な装備のほか、各地のJAごとにフロアマットやドアバイザー、ツールロッカーなどの快適アイテムを備えた「JAパッケージ」などもある。

なお、車両販売価格については、JAサンバーも農繁キャリイも、各種装備をそれぞれオプションで取り付けた場合よりもかなりお買い得な価格になっている。

悪路走破性が高く、重量物の運搬や野外での作業に非常に心強いこれらのJA仕様軽トラはいずれも新車で100万円前後。

そして、JAサンバーも、キャリイ農繁スペシャル「JAパッケージ」も購入者の制限はない。

長野や愛媛、佐賀などのJAやオートパル(JAが展開する自動車販売部門)の店舗にも聞いたところ、「JAを通じて注文いただければ、一般の方も購入はできます」とのことだった。

近年は、使い勝手の良さと耐久性においてトラック王国アメリカでも高い人気を誇る日本の軽トラ。

ビジネスにアウトドアレジャーに、ヘビーユースにも心強いJA仕様の軽トラが存在した。

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みんなのコメント

3件
  • ダイハツ・ハイゼット スタンダード “農用スペシャル”「スルーされている…。(涙)」
  • こういった「農家本職仕様」は本当にえげつない。
    ただでさえ低速域を重視している軽トラックだというのに
    さらに特化させた超・過積載悪路仕様になっている。
    こうなるとバイパス道や高速道路などでは使い物にならないほどで、
    本当に時速50kmまでを徹底的に追求した軽トラックだ。

    そのかわり、時速50km以下では軽トラックの身でありながら
    過積載もいいところな1t以上の積荷(収穫作物)を乗せても
    空荷とさして変わらない(むしろ後輪に荷重が与えられるので走行性は向上する)という
    もはや変態的な存在。

    それがJA仕様。

    私有地・敷地内(畑の中)なら自動車免許が要らないということもあって
    農家の子供がある一定の時期になると
    農機と同じように運転させられるのも特徴的。
    だから荷台にユンボのアームを杖代わりに乗せ降ろしするんじゃねえ!(ヤンマー卒倒)
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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