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【盛者必衰】セダンは消えていくだけ? まだ見捨てるべきではない理由

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【盛者必衰】セダンは消えていくだけ? まだ見捨てるべきではない理由

新型セダンほとんど登場せず

text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)

【画像】今や貴重!新車で買える国産FRセダン【5選】 全215枚

editor:Taro Ueno(上野太朗)

2020年には日本車でもさまざまな新型車が登場したが、そのラインナップを見ると、特定のカテゴリーが人気を高めた。

軽自動車ではルークス/eKスペース&eKクロス・スペース/タフト/Nワン、コンパクトカーはヤリス/フィット/ノート/ソリオ、SUVはキックス/ヤリス・クロス/ハリアー/MX-30、ステーションワゴンのレヴォーグなどが発売されて話題になっている。

そして2020年における国内の新車販売状況を見ると、最も多く売れたのは37%に達する軽自動車で、次は25%のコンパクトカー、15%のSUVとミニバンという構成だ。軽自動車/コンパクトカー/SUVは、好調に売れるカテゴリーだから、新型車も活発に投入された。

その一方でセダンは元気がない。フルモデルチェンジや新規投入車種は、アコードとミライ程度だ。

ただしアコードは、北米仕様のフルモデルチェンジから約2年半を経過した後、日本でも一新された。もはや新型車とは呼べないだろう。約2年半にわたり、海外では新型アコードを販売しながら、日本では安全装備や衝突安全性能が劣る旧型を売っていた。この時間差も気になる。

ミライは画期的な燃料電池車だが、水素を充填できる水素ステーションの数が少ない。以前よりは増えたものの、全国に約140か所だ。給油所(ガソリンスタンド)は、燃費性能の向上などによって1990年代中盤に比べると半減したが、それでも約3万か所が営業している。

今は水素ステーションも、燃料電池車を所有できるユーザーも限られる。今後水素ステーションは、燃料電池車の売れ行きとあわせて、徐々に増えていく。そうなると現時点では、ミライも好調に売れる車種ではない。

車種の廃止も加速

国産セダンは、新型車が乏しいだけでなく、車種の廃止まで進んだ。直近でも、マークX、レクサスGS、ティアナ、グレイス、シビックセダンは既に廃止された。今後はプレミオ&アリオンとシルフィも生産を終える見込みだ。

これらの消えていくセダンには、かつて高い人気を誇った車種も多い。マークXはマークIIの後継で、同様にプレミオはコロナ、アリオンはカリーナ、シルフィはブルーバードの後を受け継いだ車種になる。

とくに絶滅寸前なのが5ナンバーサイズのセダンだ。グレイスとプレミオ&アリオンがなくなると、カローラの継続生産車となるカローラ・アクシオのみだ。今の5ナンバー車は主に国内向けだから、5ナンバーセダンの消滅は、このカテゴリーが国内市場から撤退することを意味する。

なぜセダンは新型車が少なく、なおかつ生産を終える車種も目立つのか。この点をメーカーの商品企画担当者にたずねると、以下のように返答された。

「日本ではセダン離れといわれ始めてから、今では約20年を経過するが、同じような状況が海外でも進んだ。セダンの需要は世界的に下がり、SUVが増えている」

「そうなると新型車の開発でも、セダンは減ってSUVなどが中心になる。また最近は環境技術などの開発コストも高まり、新型車の開発を見直しているから、セダンの減少傾向も加速している」

日本では1990年代に入ると、3ナンバー車の税制不利が撤廃され、メーカーは海外向けの3ナンバーセダンを国内でも売るようになった。これが裏目に出て、セダンは売れ行きを落とし始めた。

1996年頃からはミニバンも急増しており、1998年には軽自動車規格が今と同じ内容に刷新されて商品力を高めた。こういったミニバンや軽自動車の好調な売れ方も、セダンの衰退を促進させている。

最近ではフォードもセダン市場からの撤退を明らかにした。海外におけるセダン人気の低迷も、新型車の減少や車種の廃止に結びついている。

ドイツのプレミアムブランドは順調

セダンの人気は下がっているが、メルセデス・ベンツやBMWといったドイツのプレミアムブランドでは、今でも車種が豊富だ。

新型車も登場しており、メルセデス・ベンツではAクラス・セダン、BMWも2シリーズにグランクーペと呼ばれる天井の低いセダンを加えた。いずれもボディがコンパクトで、日本の道路環境でも使いやすい。輸入も順調だ。

メルセデス・ベンツの販売店では、セダンの豊富なラインナップについて、以下のように説明した。

「メルセデス・ベンツのお客様には、今でもセダンを好む方が多い。フォーマルな雰囲気とか、セダン特有の快適な乗り心地が、メルセデス・ベンツのブランドイメージにあっている」

「BMWなどにも当てはまる話だが、セダンに乗ると、メルセデス・ブランドの良さを実感できる。そのためか、セダンを好むお客様がメルセデス・ベンツに集まり、国産セダンからの乗り替えも増えた」

セダンは全高が1500mm以下だから重心も低く、後席とトランクスペース(荷室)の間には骨格や隔壁があるからボディ剛性を高めやすい。セダンの低重心と高剛性は、乗り心地と走行安定性を高める効果が大きく、この特徴はプレミアムブランドのコンセプトとも合致する。

最近はメルセデス・ベンツやBMWもSUVに力を入れるが、セダンに乗ると、プレミアムブランドの良さをさらに強く実感できる。

つまりプレミアムブランドとセダンは親和性が高く、国産セダンの衰退もあって「セダンを好むお客様がメルセデス・ベンツに集まる」状況が生まれた。

そして輸入車の販売ランキングを見ても、BMW 3シリーズ、メルセデス・ベンツのCクラス/CLA/Eクラスは上位に入っている。

今でも注目すべきカテゴリー

セダンはSUVの流行などによって売れ行きを相対的に下げており、世界的に見ても新型車が減った。日本では車種の廃止も進む。

しかしメルセデス・ベンツやBMWを見ればわかるとおり、セダンには優れた走行安定性と乗り心地を得やすい特徴がある。

セダンのフォーマルな外観や雰囲気に魅力を感じないユーザーから見ても、安心と快適に直結する走行安定性と乗り心地は大切な要素だろう。セダンの売れ行きが下がっても、その特徴や魅力まで失われたわけではない。

とくに最近は衝突被害軽減ブレーキなど、安全装備に対するユーザーの関心が高い。走行安定性の優れたセダンなら、危険を避ける性能をさらに向上させられる。最近はクラウンをSUVに変更する話まで聞かれるが、セダンを諦めるのはまだはやい。

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