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【ハマーEV】中身を公開 フルEVとして復活 価格はエスカレード並み? 航続距離を予想

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【ハマーEV】中身を公開 フルEVとして復活 価格はエスカレード並み? 航続距離を予想

ハマーEV 中身は「アルティウム」!?

text:Kenji Momota(桃田健史)

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2020年5月20日に世界初公開が予定されている、GMC「ハマーEV」の技術的な構成が明らかになった。

ハマーEVの中身は、「アルティウム」だという。

一般ユーザーのみならず、自動車業界関係者にとっても初めて聞く名称だが、いったいどういうことなのか?

ゼネラルモーターズ(GM)はミシガン州デトロイト北部にあるウォーレンで3月4日、EV戦略に関する記者発表を行った。

その中で、GM会長兼CEOのメアリー・バーラ氏は「フルサイズ・ピックアップトラックまでを含むマルチブランド・マルチセグメントでのEV戦略」について詳しく話した。

GMのEV戦略の柱が、「アルティウム」だ。科学的な専門用語ではなく、バッテリーシステムに対するGM独自のマーケティング用語である。

ハマーEVも、この「アルティウム」を搭載することになる。

「アルティウム」のバッテリー容量には、50-200kWhまで各種のアレンジが可能だという。バッテリー容量は、満充電での航続距離に直結する。

ハマーEVの場合、ボディサイズが旧来型ハマーH2と同じレベル、フルサイズSUVだと仮定すると、「アルティウム」では最大サイズの200kWhの搭載が予想される。

これは、テスラ・モデルSやモデルXの最上級モデルが搭載するバッテリー容量の2倍に相当する。

では、「アルティウム」の中身はどうなっているのか?

「アルティウム」の中身はどうなっている?

GMの説明を筆者(桃田健史)としてまとめると、「アルティウム」はバッテリーパックを意味すると解釈できる。

EVのバッテリーパックとは、バッテリーセル/モジュール/制御システムで構成されている。

バッテリーセルには、セルの形状、正極/負極/セパレーターなどセル内部の材料によって様々な種類がある。

「アルティウム」では、韓国LG化学が開発/生産するパウチ型のリチウムイオン二次電池を使う。

パウチ型とは何か?

パウチ型とは、外見が金属シートで覆われた四角く薄いセルだ。これを数枚から数十枚単位で積層する。

積層するための入れ物があり、それをモジュールと呼ぶ。さらに、モジュール毎に温度管理などを行う制御システムが搭載されるのが一般的だ。

モジュールは車体構造に合うように積み木やレゴブロックのように組み合わせる。これが、バッテリーパックとなる。

さらに、必要に応じて電池パック全体の冷却方法として、空冷ではない場合、水冷システムを付加することもある。

ハマーEV向け「アルティウム」の電池容量について、GMは明言していないが、ボディサイズから考えて最大サイズの200kWhを採用する可能性が高い。

航続距離は、400マイル(約640km)となり、5.7Lガソリンエンジン搭載の先代ハマーH2に比べて、端的に航続距離だけを見れば便利になる。

今回の発表で、自動車業界が驚いたことがある。

ポルシェと同じ、800V・350kwに対応

今回の発表で、自動車業界が驚いたのは、「アルティウム」では、直流による急速充電方式が2つある、という点だ。

1つは、近年のEV用としては一般的な電圧400V方式で出力を200kwに設定した。

もう1つの、800V・350kw方式は、ポルシェ初のEV「タイカン」で採用される大出力型だ。

350kw方式を先行開発した韓国の充電器メーカーに話を聞いたことがあるが「電流が大きく、どうしても充電ケーブルが過熱するため、このように充電ケーブル自体を水冷にする必要がある」と実物を見せながら説明してくれた。

日本で日産リーフ等に使うチャデモ方式の急速充電器と比べて、充電ケーブルは2倍近い太さだった。

バッテリーパックの電気容量は、初代リーフ初期型が24kWh、2代目が40kWh、そしてe+が62kWh。

リーフe+の満充電での航続距離がJC08モードで570km、WLTCモードで458kmであることを考えると、リーフe+の約3倍の200kWhでも、ハマーEVの航続距離が640kmというのは、車重がかさんだ結果であり、けっして効率的だとは言えない。

ただ、ハマーEVが求めているのは、単なるエコカーではないようだ。プレミアムEVピックアップトラックとしてのブランドが優先する。

ボルシェEVと同じ超急速充電方式を採用、というのも、ハマーEVにとっては良きマーケティング戦略なのだろう。

では、ハマーEVは四駆なのか?

四駆が標準? 価格はエスカレードに近い?

ハマーEVは四駆なのか?

今回の発表では、「アルティウム」搭載のEVプラットフォームには、GM内製のモーターを採用し、前輪駆動、後輪駆動、四輪駆動、さらにはパフォーマンス系の四輪駆動が対応できるという。

これは、EVプラットフォームとしては一般的。テスラの他、米中のEVベンチャー設計者が必ずといって良いほど採用する考え方だ。

そのうえで、ハマーEVには、四輪駆動が標準装備で、廉価版に後輪駆動、そしてハイパフォーマンス系など、多彩なオプション設定が可能となる。

むろん、ライバルとなるテスラのサイバートラックの商品性を考慮することになるだろう。

価格についても、四輪駆動の200kWh「アルティウム」搭載でも、北米市場価格は10万ドル(約1050万円)以下になる可能性が高い。

もしかすると、キャデラック・エスカレードと同等の6~7万ドル(700万円前後)まで安くなるかもしれない。

理由は、EVの価格を大きく左右するバッテリーセルの価格が安いからだ。バッテリーパックとしてのkWhあたり100ドル(約1万500円)以下という。

単純計算で、200kWhでも2万ドル(約210万円)と、これまでのEVの常識で考えるとかなり安い。

今回の技術詳細公開など、徐々に姿を現わし始めた、GMCハマーEV。

2021年秋にデトロイト・ハムトラミック工場で生産を開始する。

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