自動車メーカーのターゲティング戦略
先日、X(旧ツイッター)に投稿された某自動車メーカーの大型ミニバンの販売マニュアルの画像が話題になった。そこには、
意外と知らない? インターチェンジの近くに「ラブホテル」がやたらと多い理由
「マイルドヤンキー」
を戦略ターゲットとして開発すべきだ、といったような記述があった。
マイルドヤンキーの定義は以前から存在していたが、メーカーがそれを名指しするのは意外だった。このターゲティングは成功したのだろう。確かにオーナーの多くがマイルドヤンキーのイメージと一致している。
今回は、マイルドヤンキーの定義を再確認し、筆者(宇野源一、元自動車ディーラー)の見解を述べる。
マイルドヤンキーの特徴
マイルドヤンキーとは、博報堂ブランドデザイン若者研究所(当時)の原田曜平氏が2014(平成26)年に提唱した造語だ。まず、マイルドヤンキーの
・一般的な定義
・自動車メーカー(あるいはディーラー)が抱くイメージ像
を確認しよう。前者を要約すると次のようになる。
・「絆」「仲間」「家族」という言葉が好き
・“地元”(家から半径5km)から出たくない
・クルマ(特にミニバン)が好き
・エグザイルが好き
・ショッピングモールが好き
皆さんの知人や同級生にこんな人がいるかもしれない。
・生まれ育った町を離れずに生きている人
・少しヤンチャで地元を愛している人
といえばイメージしやすいだろう。反社会的な行動や不良行為を行う“ガチヤンキー”とは異なるのだ。
企業がイメージする像
今回、X上に出回った販売マニュアルによると、自動車メーカーやディーラーがターゲットとするマイルドヤンキーのイメージ像は次のようなものだ。
・20代から40代の若いファミリー層と独身者である。
・不良ではないが、ヤンキーに近い趣味を持っている。外見を重視し、目立つことを好む。家族や友人と大勢でいるときにクルマを使いたい。
・他メーカーのミニバンや中古セダンなど目立つクルマを好む。
筆者はこれを見たとき、前述の原田氏が定義したマイルドヤンキーのイメージに対する補足のように感じた。同じクルマに乗っていても、他人と違うように見せたい人たちだ。
なぜ自動車メーカーやディーラーがマイルドヤンキーをターゲットにするのか考えてみよう。
筆者の偏見かもしれないが、マイルドヤンキーの職業は建設業、土木関係、内装関係、トラックドライバーなど、いわゆる「ガテン系」が多いように感じる。これらの仕事は肉体的に厳しいだが、給与水準はある程度高く、クルマ好きが多い。そして自分好みにカスタマイズして派手にするイメージが強い。
マニュアルから判断するに、“純正状態”でも見栄えがする派手なクルマを勧めれば、自然と彼らの購買意欲が高まるとディーラーは考えているように思われる。
ディーラー現場から見た風景
マイルドヤンキーが乗っているクルマは、フルノーマル(改造やカスタムが一切されていない状態)ではない可能性が非常に高い。
・極端に低い車高
・フェンダーからはみ出しそうな大径ホイール
・大音量のマフラー
などだ。これはディーラーからすれば、「保安基準に適合していないクルマ = 違法改造車」というレッテルを貼られるので敬遠されがちだ。しかし、マイルドヤンキーは派手なクルマが欲しければ、無理なローンを組んででも買いたいという意欲が強い印象がある。そのため、ディーラーの営業マンはあらゆる手を使って契約させようとするに違いない。
また、彼らは仲間意識が強い。そのため、彼らの警戒心を解いて懐に入れば、わりと簡単に仲よくなれるし、基本的にいい人が多い。筆者はマイルドヤンキーとは真逆のタイプの人間だが、カスタマイズに関する知識を持っている。
ディーラーの営業マンは、クルマがフルノーマルかカスタマイズされているかをすぐに見分ける。相手がこだわっているポイントを見つけ、それを徹底的に掘り下げれば、自然と彼らの警戒心は解けていくる。
筆者はかつて、冒頭のメーカー系列ではないディーラーに勤めていたが、マイルドヤンキーの顧客が少なからずいた。そのため、上記のようなアプローチで彼らと仲よくなったといっても過言ではない。
繰り返すが、一度懐に入ってしまえば話は早い。彼らの気に入ったカスタムパーツを提案することで購買意欲を高めることができる(もちろん純正パーツの範囲内で)。車検に通る範囲のカスタムであれば、社外パーツを勧めてもいい。現金での購入が難しければ、ローンを提案してもいい。ディーラーローンが無理なら、提携している信販会社のローン審査に通す工夫もできる。
平成レトロの影響
マイルドヤンキーは派手なクルマが好きだ。カスタムパーツで自分らしさを表現したいのである。ただ、最近は電子制御が厳しく、外装パーツに制約が多い。つまり、新車のフルノーマルで、どれだけ彼らの心を捉えられるかがカギとなる。冒頭の大型ミニバンに限らず、メーカー各社は派手な外装のクルマをラインアップしている。
ただ、2023年あたりから、懐かしさを感じさせるシンプルな外装のクルマが登場し始めたので、少し流れが変わってきているのかもしれない。「平成レトロ」の影響だろうか。今後、平成初期から中期にかけて流行したカスタムパーツが復活するかもしれない。
クルマは一度買ったら数年は買い換える必要がないので、マイルドヤンキーの市場は成熟し始めていると筆者は考えている。その分、クルマそのもののデザインが変わってきているのも事実だ。
これからは、有名アーティストとのコラボレーションによる特別仕様車が登場するのではないか。過去にも、そういう理由でクルマを買う人はいたが、これからは 「推し」がデザインされたクルマや、CMに使われたクルマを買いたいという人が増えるかもしれない。
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
全長4.1m級の日産「超“コンパクト”GT-R」!? 600馬力の「V6ツインターボ」搭載! 5000万円超えで「市販化」しちゃったヤバすぎモデルとは
600馬力! プーチン大統領の「すごい高級車」登場! 約7トンの「巨大ボディ」に驚きの声も! 金正恩氏に贈られた“超高級車”「アウルス セナート」に反響!
約160万円! ホンダ「最小&最安コンパクトカー」が人気スギ!? 全長4m以下でMTありの「爆売れ国民車」記録更新! 精悍顔の「ブリオ」インドネシアで好調
バス会社「待合室が落ち込んだので閉鎖中です」衝撃投稿に反響多数!? 「えらいこっちゃ」「北海道は異世界」バス停の無惨な風景が話題に
5速MT搭載! スズキが「大きなワゴンR」実車展示!「軽自動車」超えたビッグサイズに「最新技術」採用したニューモデルに反響あり!
スタイリッシュな新型「4ドアセダン」発売! 1000台限定で「495万円から!?」 日本の道で試したBYD「SEAL」の実力とは
約160万円! ホンダ「最小&最安コンパクトカー」が人気スギ!? 全長4m以下でMTありの「爆売れ国民車」記録更新! 精悍顔の「ブリオ」インドネシアで好調
車検の更新、「2か月前」からに拡大 2025年4月から変更 国土交通省
いすゞ「ビークロス」がなぜ今話題に!? カニエ・ウェスト改めYeも愛車として迎え入れたカルトカーの販売台数は?
フェラーリ初のSUV「プロサングエ」買うなら年収はいくら必要? 価格未公表の「超人気モデル」を手に入れるために“お金よりも必要なもの”とは?
みんなのコメント
スポーティーカーを作る余裕があるんですよ。
「ヤンキーさん参ったか」
と開発者が言ってたしな。