クラシックカーとして価値があるのは、自動車の歴史の古い欧州車やアメリカ車と思う人も多いはず。
しかし、最近ではトヨタ2000GTが海外のオークションにおいて1億円で落札されたということがニュースとなったり、ハコスカ、ケンメリといった日産スカイラインGT-Rが数千万円という驚きのプライスを付けたりするなど日本車のクラシックカーの人気が海外でもうなぎ登りだ。
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今回はトヨタ2000GTやハコスカ、ケンメリのGT-Rほどの超メジャー級ではないが、今後国産のクラシックカーとして人気になりそうだが、まだ手が届く5車種をピックアップ。現在の流通台数と中古車相場を調べてみた。
文:萩原文博/写真:TOYOTA、HONDA、MITSUBISHI、ISUZU、MAZDA
【画像ギャラリー】まだ手が届くものもあるジャパニーズクラシックカー
旧車はギャンブル的要素がある
今回フォーカスを当てた国産クラシックカーの中古車は大きく3つのパターンに分けることができることがわかった。
まず1番目がすでにレストアずみで、比較的維持費が掛からないクルマ。これは車両価格こそ高くなるものの、その後の維持費は比較的安くできるパターン。しかし、すでにレストアされてしまっているので、自分の好みに仕上げるなどの楽しさは味わえない。
トヨタ2000GTは試作も含めて330台程度しか生産されていないうえに海外でも大人気。今後高くなっても安くなることはないだろう
2番目はまだレストアしていないクルマだ。これは車両価格が1番のパターンより安くなるが、手を入れるとなるとかなり高額になるケースもある。それは見えない部分がどれくらい傷んでいるかわからないからだ。しかし、自分の好きなように納得できるまでレストアできるという楽しさもある。
そして3番目が部品取り車。これはエンジンがすでになく、ボディだけというものだ。これは車両価格が抜群に安くなるが、走行することはできない。しかし、ボディなどの外板部品はこういったクルマはもう廃盤となっているので、こういった部品取り車の需要も高くなる。
旧車の場合、部品取り車として販売されているもののボディのほうがよかったり、1台として同じものがないので手に入れるにはギャンブル性を覚悟する必要がある
以前、私は雑誌の企画で初代フェアレディZ、S30型の240Zのレストアに同行したが、元々レストアしようとしていたクルマより部品取り用に仕入れたクルマのボディのほうがしっかりしていて、急遽そちらをベースにレストアし、クルマを仕上げたということを目の当たりにしたこともある。それくらい、ギャンブル的な要素を含んでいるということは覚えておいてもらいたい。
話がそれてしまったが、今回まだ手が届く国産クラシックカーとして、取り上げるのは初代トヨタセリカ、ホンダS800、三菱コルトギャランGTO、いすゞベレットGTR、そしてマツダコスモスポーツの5台だ。
初代トヨタセリカ
販売期間:1970~1977年
ボディサイズは全長4215×全幅1620×全高1280mmで車重は1040kg。日本初のスペシャルティカーとして大人気モデルとなった。今見てもカッコいい
まず、初代トヨタセリカからだ。
ダルマという愛称で人気の高い初代セリカは1970年12月に販売開始。ロングノーズショートデッキというFR車らしいスタイリングの2ドアクーペと1973年4月に追加されたファストバックルーフのリフトバックを追加。
また、2ドアクーペの1600GTをベースにサスペンションをチューニングし、装備を簡素化した1600GTVなどもラインナップしていた。
1973年に追加されたリフトバックの人気は高い。ノーマルが繊細なイメージなのに対しリフトバックはマッチョで力強い。写真はST
現在、初代セリカの中古車の流通台数は約15台で、相場は約249万~約500万円となっている。2ドアクーペよりリフトバックの中古車のほうが多く流通している。台数は少ないモノのスポティーグレードのGTVも見つけることができる。
ホンダS800
販売期間:1966~1970年
ボディサイズは全長3335×全幅1400×全高1215mmで車重は755kg。S360(未発売)→S500→S600→S800という系譜の集大成モデル
続いては、ホンダS800。
1999年に発売されたFRオープンカー、S2000のルーツと言えるモデルがS800だ。
1960年代、二輪メーカーとして世界でもトップのメーカーとなったホンダが初の四輪乗用車として開発したS500を進化させ、791ccのエンジンを搭載したライトウェイトスポーツカーがS800だ。
現在、S800の中古車は1台しか流通しておらず、価格は約538万円。S800をはじめ、ホンダのSシリーズは手に入れるのが困難となっているようだ。
販売のメインはオープンモデルだったが、クーペもラインナップ。販売台数が少ないため、現在ではオープンモデル以上にレアな存在だ
三菱ギャランGTO MR
販売期間:1970~1972年
ボディサイズは全長4125×全幅1580×全高1310mmで車重は980kg。GTO自体は1977年まで販売されるが、MRを含め初期モデルはわずか3年の短命に終わった
次に紹介するのが、三菱コルトギャランGTOだ。
GTOと聞くと1989年に登場した4輪駆動のスポーツカーを思い浮かべる人も多いだろうが、こちらが三菱GTOの元祖モデルだ。
1970年に登場したコルトギャランGTOは当時アメリカで流行っていたマッスルカーのデザインテイストを取り入れ、トランクリッドを跳ね上げた「ダックテール」が特徴。
またインテリアの8眼式メーターなど個性的なデザインによって人気となったモデル。
排ガス規制によってわずか3年と生産期間は短いが三菱を代表する1台といえる。現在中古車は6台流通しており、1台が価格応談となっているが、中古車相場は約162万~約250万円となっており、まだ手が届く相場となっている。
いすゞベレットGTR
販売期間:1969~1973年
ボディサイズは全長4005×全幅1495×全高1335mmで車重は970kg。ベレットシリーズの最強モデルGTRの販売台数は1000台強と言われている
続いてはいすゞベレットGTR。
いすゞのクラシックカーといえば117クーペとベレットGT-Rが人気を二分している。
スタイリングや操縦性の高さから和製アルファロメオと言われたベレットGT。さらにスパルタンなモデルとして1600GTRが追加されたのは1969年9月。
117クーペ用のDOHCエンジンを搭載し、前後のサスペンションを強化するなど戦闘力の高いモデルだ。ベレットGTRの中古車もわずか1台しか流通しておらず、価格は約255万円となっている。
マツダコスモスポーツ
販売期間:1967~1972年
全長4140×全幅1595×全高1165mmで車重は940kg。超絶に低い車高が特徴的で、後期モデルはホイールベースが延長されている
そして最後に紹介するのがマツダコスモスポーツだ。
実用不可能といわれたロータリーエンジンを世界で初めて量産に成功したマツダがロータリーエンジン搭載第1号として販売したのが、コスモスポーツ。
帰ってきたウルトラマンの中で、隊員の乗るマットビハイクルとして活躍した。現在8台の中古車が流通しているが、そのうち7台が応談。唯一価格を表示しているクルマが約972万円。
デザインも未来的なコスモスポーツのインテリア。旧車の場合、外装パーツよりも内装パーツの欠品が多いので注意が必要だ
走行距離などから考えると、他のクルマの大半は1000万円超えの高額車となっているはず。
筆者に近い年齢のクルマがまだ購入できるということ自体凄いことだが、それなりの覚悟と資金そして駐車場をもっていないと国産クラシックカーには手は出せないのが現実だ。
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