BMWが誇るDセグメントのベンチマークモデル、3シリーズと4シリーズ。その新型4シリーズ日本初導入モデルと、3シリーズの新ベーシックモデル、どちらも気になる2台でさっそく走り出して、その印象を確かめてみた。(Motor Magazine2021年1月号より)
2ドアクーペから新世代へと生まれ変わった4シリーズ
かつての3シリーズクーペのポジションを受け継ぐ形で、4シリーズという新たなネーミングとともに初代がデビューしたのは2013年。その後の4シリーズはカブリオレ、そしてグランクーペとサブネームが当てられた4ドアクーペとボディバリエーションを拡充。そして2020年になって、改めて2ドアクーペから世代交代を開始したのが、ここに紹介する新型4シリーズだ。
●【くるま問答】ガソリンの給油口、はて? 右か左か、車内からでも一発で見分ける方法教えます(2020.01.21)
日本に上陸した2代目モデルを前に、誰もがまず目を奪われるに違いないのは大胆なデザインのフロントマスクだろう。これまで横長形状が当たり前だったキドニーグリルは、縦長となった上で巨大化。まさに「賛否両論、真っぷたつ」となることが避けられないインパクトの強いデザインへと変貌を遂げたからである。
もっとも、キドニー(Kidney)なる言葉が英語で「腎臓」を示し、それが左右で一対となる「豆形」をした臓器のことだと知れば、縦長のデザインも決して突飛だとは思えないはず。
そもそも歴史を遡れば、BMW車であることを象徴するキドニーグリルは、航空機のエンジン製造会社であったBMWが1930年代に自身による4輪車製造を手掛け始めた際、フロントマスクに採用したのが起源である。そして、当初のデザインは幅方向よりも高さ方向の寸法がはるかに大きいという「超縦長」であったヒストリーも存在するからだ。
インパクトあるグリルと流麗なファストバックデザイン
とはいえ、時の流れとともにボディフロント部のデザインが扁平化すると当然、キドニーグリルも横長デザインへと姿を変えることになっていった。それが、グリルが縦長となる必然性がない今の時代に突如「復活」したことで、大きなインパクト(と、一部の人に対しての強烈な違和感)を抱かせることになったのが、2代目4シリーズの縦型キドニーグリルでもあるということだ。
そうしたフロントマスクに対する印象はまた別として、新型4シリーズクーペを目の当たりにしてのもうひとつの第一印象は「思ったよりも、はるかに大きなクルマだな」というものだった。実際、4775mmという全長は、5LのV8エンジンまで搭載する日本屈指のビッグクーペであるレクサスLCをも凌ぐ大きさ。一方、1850mmという全幅はLCよりも狭いのだから、相対的にそのプロポーションがグンとスリークに見えるのも当然なのだ。
この2代目4シリーズクーペのバリエーションで、先陣を切って日本に上陸したのは「M440i xDrive」。BMWファンであればそのパワーユニットは、すでに日本で登場しているツインスクロール式ターボを備えた3L直列6気筒エンジンと8速ATを4WDシャシと組み合わせる3シリーズセダン/ツーリングのM340i xDriveと同様のものであることが読み解けるはず。ちなみに日本導入モデルが搭載するこのパワーユニットは、欧州市場向けのものとは一部のスペックが異なっている。
日本向けには、欧州市場向けモデルに組み合わされている48V式スタータージェネレーターを用いたマイルドハイブリッドシステムが採用されず、同時に最高出力値は日本仕様の方が上を行くという違いがある。BMWジャパンによれば、前者は「日本での使用条件を考えるとシステムを採用しても燃費面などで<費用対効果>が得にくく」、後者は「欧州仕様車のみ、ガソリンエンジン用の排気微粒子フィルターを装着していること」がスペックの異なる要因だという。エンジンそのものがB58型であることに違いはないそうだ。
フル4シーターのパッケージ。いかにもスポーティなテイスト
エクステリアは典型的なファストバックのプロポーションを採用するクーペルックの持ち主だが、インテリアは最新BMW車に共通の文法でまとめられている。従来型に対して全長が135mm、ホイールベースが40mm伸びた影響で、リアシートの足もとには思いのほか大きなゆとりがある。
定員は4人なので、もちろん3シリーズセダン/ツーリングには及ばないものの、後席でも大人がそれなりの余裕を持って長い時間を過ごせる空間が確保されている。独立したリッドを備えるトランクスペースも、奥行き/深さとも外観から察する以上のボリュームがある。結果として、新型4シリーズクーペは抵抗なく「フル4シーター」と呼べるパッケージングを備えていると表現できる。
1740kgと、絶対的には軽いとは言えない重量ながら、前述のようにボディが大型化されたことに加え4WDシャシの持ち主であることを考えれば、同じ3Lの直列6気筒ターボエンジンをFRシャシと組み合わせた先代440i Mスポーツに対して60kg増しというスペックは「よく健闘した」と受け取るべきかもしれない。
実際、最高出力が以上も向上し、最大トルク値も50Nm上乗せされたこともあって、その動力性能は「これ以上、何が必要か」と思える強靭さだ。もちろん「BMW謹製」の直6ユニットの搭載に加え、変速がすこぶる滑らかでありながらタイトなトルクの伝達感を生み出す8速ATを組み合わせることも、好印象の実現に繋がっている。絶対的な加速力に加え、そのフィーリング面でも文句のつけようのない動力性能でもあるのだ。
4WDシャシの持ち主ながら、「明らかに後輪駆動がベース」と感じさせるダイナミックなハンドリング感覚の実現も、いかにもBMWの製品らしい仕上がりだ。路面によっては、ランフラットタイヤならではの硬質さを意識させられる場面も存在するが、良路ではしなやかさもイメージできる乗り味が基本になる。
ダンパー減衰力を電子制御する「アダプティブMサスペンション」やリアデフの差動を電子制御する「Mスポーツディファレンシャル」などは標準採用。やはり電子制御が行われる4WDシステム「xDrive」と相まって、前述した強靭なパワーが無駄なく、そして無理なく路面へと伝えられていることを実感させられる。
ペダルタッチが剛性感に富み、減速Gの立ち上がりもシャープである一方、サーボアシストは控えめで「きっちり踏めば、カッチリ効く」という印象のブレーキのチューニングも、いかにもスポーティなテイストだ。
3シリーズに新しいグレード。2Lエンジン搭載の318i
ところで、そうしたM440i xDriveクーペと同様に、日本へ上陸したての新着モデルがある。それが、従来の320iに変わってシリーズを支える形となる「318i」という3シリーズの新しいベーシックグレードだ。今回は、そのセダンを同時に連れ出して、テストドライブを行った。
318iに搭載されるエンジンは2Lで、その直列4気筒ターボエンジンが発する最高出力は156ps、最大トルクは250Nm。320iに搭載される2L直4ターボエンジンの184ps/300Nmに比べると数字的に見劣りするが、日常シーンで不足を感じさせられる場面は皆無であった。
特別にパワフルとは言えないものの、ストレスを感じさせないスムーズなフィーリングが高回転域まで続く。組み合わされる8速ATの仕上がりがこちらも素晴らしいことも、そんな好印象に拍車を掛けてくれることとなった。
充実したベーシックモデル。購買意欲を刺激する存在
渋滞した高速道路上でのハンズオフ機能など、3眼カメラを駆使した高機能な運転支援システムや、直前に走行した最大50mの距離をバックで正確にトレースする「リバースアシスト」の機能などは、上級グレード車と同様に標準装備だ。
ただし、路面変化に対してランフラットタイヤが過敏に反応し、時に揺すられ感がかなり強く現れるのは気になった。これは、現行3シリーズの全モデルに共通するウイークポイントだ。
それでも、320i比で49万円引き下げられて、500万円の大台を大きく割り込んだ489万円というプライスは、新たに購買意欲を掻き立てる起爆剤となってくれるに違いない。(文:河村康彦)
■BMW M440i xDriveクーペ主要諸元
●全長×全幅×全高=4775×1850×1395mm
●ホイールベース=2850mm
●車両重量=1740kg
●エンジン= 直6DOHCターボ
●総排気量=2997cc
●最高出力=387ps/5800rpm
●最大トルク=500Nm/18000-5000rpm
●駆動方式=4WD
●トランスミッション=8速AT
●車両価格(税込)=1025万円
■BMW 318iセダン主要諸元
●全長×全幅×全高=4715×1825×1440mm
●ホイールベース=2850mm
●車両重量=1540kg
●エンジン= 直4DOHCターボ
●総排気量=1998cc
●最高出力=156ps/4500rpm
●最大トルク=250Nm/1350-4000rpm
●駆動方式=FR
●トランスミッション=8速AT
●車両価格(税込)=489万円
[ アルバム : BMW M440i xDriveクーペ/318iセダン はオリジナルサイトでご覧ください ]
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みんなのコメント
ポエムみたいな表現での自動車レビュー、勘弁してほしい
セダン318は、デチューンの320を更にデチューンした、アホみたいなモデル
クーペ340は、ゲテモノ顔+度を越したジャパンプレミアム価格