9月30日、WRC世界ラリー選手権第11『ラリー・チリ・ビオビオ』の競技2日目が行われ、前日のデイ1でトップに立ったMスポーツ・フォードWRTのオット・タナク/マルティン・ヤルヴェオヤ組(フォード・プーマ・ラリー1)が首位をキープしつつ、後続とのギャップを大きく拡げた。日本人ラリードライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合6番手につけている。
サービスパークの南側エリアに設定された3本のステージで争われたラリー・チリ・ビオビオの競技2日目。前日と同様に晴天に恵まれたデイ2は、SS7~12計6本のステージの合計距離が154.0kmと大会最長の一日となった。
ロバンペラ「ソフトタイヤの選択は明らかに楽観的すぎた」/2023年WRCチリ デイ2後コメント
終日ラリーリーダーに立ち続けたタナクは、昨夜の時点で4.2秒差の総合2番手につけていたテーム・スニネン(ヒョンデi20 Nラリー1)を大きく引き離すことに成功した。Mスポーツのエースは、前日のステージから一変してツイスティかつタイヤへの攻撃性が高いグラベル(未舗装路)ステージでライバルたちが苦労するなか、ハードタイヤを効果的に用いてSS8とSS9で連続ベストを記録。午前中のループだけで後続に47.8秒のリードを築いてみせる。
午後の一本目となったSS10では、トップタイムを記録したカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)から14.5秒の後れを取ったが、続くSS11ではふたたびのステージウインを飾り、一日の最後のステージでも最速タイムを刻んだ。この結果、引き続き2番手につけるスニネンとのギャップを58.3秒へと拡げ、最終日デイ3へと駒を進めた。
「とても良い一日だった」とデイ2を振り返ったタナク。
「(コンディションは)僕らに有利に働いたし、悪いステージではスピードを抑える余裕もあった。また、必要なときにはスピードを上げることができた。とはいえ、まだ戦いは終わっていないから、明日もこの調子をキープする必要がある」
総合2番手スニネンの後方には僚友のティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)がつけている。ヒョンデのエースは、この日のオープニングでスローパンクチャーに見舞われロバンペラに総合4番手の順位を奪われたが、3番手タイムを刻んだSS8ですぐさま逆転。SS9では2番手タイムをマークし総合3番手に順位を上げた。
■トヨタ勢が表彰台圏内から姿を消す
一方、総合3番手でデイ2をスタートしたエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)は一時2番手に浮上するも、最終的にはポジションをひとつ下げることに。トヨタ勢は午前中のループでソフトタイヤを選択していたが、これが失敗。
オープニングのSS7こそロバンペラがステージウイン、エバンスが3番手と効果的に作用したものの、SS8ではロバンペラが約20秒ロスし総合4番手のポジションを失った。さらに、続くSS9では勝田を含めた3台のGRヤリス・ラリー1全車にタイヤトラブルが発生。いずれのクルーも大きくタイムを失うこととなってしまった。
最終的にエバンスは総合3番手のヌービルから10.7秒差の同4番手に。そこから39.3秒後れて日曜日に23歳の誕生日を迎える現王者が続き総合5番手。勝田は総合6番手をキープしている。
総合7番手はWRC2クラス首位に浮上したオリバー・ソルベルグ(シュコダ・ファビアRSラリー2)だ。これに続くのはガス・グリーンスミス(シュコダ・ファビアRSラリー2)で、この両名はクラス首位でSS12に入ったサミ・パヤリ(シュコダ・ファビアRSラリー2)が失速したことで順位を上げている。
今大会でラリー1デビューを飾ったグレゴワール・ミュンスター(フォード・プーマ・ラリー1)はSS12での右側2輪のパンクによって大幅にタイムを失い、総合16番手に後退。地元のスタードライバーであるアルベルト・ヘラー(フォード・プーマ・ラリー1)も、ステアリングアームにダメージを負うアクシデントに見舞われたことで総合18番手に順位を下げているが、最高峰クラス初参戦初完走が懸かる最終日に向け、生き残りに成功している。
SS13~16が行われる10月1日(日)のデイ3は、サービスパークの東側エリアに設定された2本の新ステージが戦いの舞台に。選手たちはこのふたつのステージをミッドデイサービスを挟んで2回ずつ走行していく。この内、SS14の再走ステージとなる最終SS16は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスポイントが付与される“パワーステージ”に指定されている。
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