この記事をまとめると
■4月に行われたイベントでランチアが新しいコンセプトカーを発表
挑戦失敗! 日本に正規輸入されるもあえなく撤退した輸入車ブランド4選
■「Pu+Ra HPE」と名付けられたBEVコンセプトカーとなっている
■各所に名車をオマージュしたようなデザインが散りばめられている
ランチアが久しぶりにコンセプトカーを発表
ステランティスグループのなかで唯一動向が不明だったランチアですが、4月に行われた「ミラノデザインウイーク」で、ついにブランド再生を示すコンセプトカーが発表されました。すでに多くの媒体で紹介されている同車ですが、あらためてデザイン的な見所をチェックしてみたいと思います。
最新のBEVらしいパッケージとプロポーション
「Pu+Ra HPE」と名付けられたBEVコンセプトカーの、Puはピュア、Raはラジカルを示します。ピュアはともかく、ラジカルには過激や急進的のほかに、根本的・徹底的といった意味もあり、個人的には「後者の意図も大きいのでは?」と感じています。
ランチア自身は、かつてのアウレリアやフラミニアのDNAを継承していると謳っていますが、たしかにクーペ的なフォルムは引き継いでいるものの、直接的にはやはりストラトスのオマージュであることは疑いようもありません。
たとえば、センターが突き出たフロントノーズや大きく張り出した前後のフェンダー、大きな円弧を描いたキャビンなど、マルチェロ・ガンディーニによる独特の佇まいを巧妙に引き継いでいるのです。これを基本に、ピュアでラジカルな表現でまとめています。
まず、全体のパッケージングでば、ストラトスのそれをより強調したショートノーズとロングキャビンや、極限まで削った前後のオーバーハングが見所です。これは最新のBEVとしての特性をコンセプトカーらしい大胆さに生かしたものでしょう。
随所に名車をオマージュしたデザインが光る
ストラトスの特徴を高次元で昇華させたデザイン
フロントを見ると、ノーズはより先鋭的にセンターを突き出すことでスポーティさと近未来感を演出し、そこへ細いメッキモールを置くことでイタリア車らしいエレガントさを同居させているのが「巧い!」と思わせるところです。
サイドでは、ストラトスの丸みを持ったドア面に対し、これをスパッと垂直でフラットな面とした点も大きな違いで、ここもまた最新のBEVとして空力性能を追求したものかと。ボンネットフードとともに、ブラックのラインが強いアクセントになっているのも見所です。
リヤでは丸いテールランプがストラトスに準じていますが、ウイング形状も含め、リヤパネル全体がより整理されたシンプルな造形に。ファッションの世界をインスパイアしたという新しいロゴは、流行の二次元的なグラフィックでなく、繊細さとモダンさを併せ持たしたところに感心します。
一方、「ホームフィーリング」のコンセプトでまとめられたインテリアは、インパネやセンターコンソールなど円形がモチーフになっており、これはコーヒーテーブルから着想したそう。ルーフにも応用したこの円形は、居心地のいい室内環境を目指したコンセプトにうまく沿っています。
また、カッシーナ社との協力によるシートは、同社のアームチェアからインスパイアされたもの。スポーティカーでありながら、従来のスポーツシートとはまったく異なる形状が新鮮で、もちろん鮮やかな黄色にも同じことが言えます。
直線と円形で新しいデザインテーマを作る
ボディカラーは「プログレッシブグリーン」が印象的ですが、この緑と内装の黄色の組み合わせは、ストラトスのストライプのグリーンとホイールのイエローを想起させるもので、ブランド再生としても巧いカラーリングだと思えます。
さて、こうしてエクステリアとインテリアをチェックしてみると、「Pu+Ra HPE」のデザイン的な見所は、シャープなラインと円形の組み合わせによる幾何学形のようなシンプルさにあるようです。
これは同じイタリア車でも、フィアットともアルファロメオとも異なるまったく新しいデザインテーマですが、初代イプシロンやテージスなど、個性的なクルマを輩出してきたランチアらしい発想とも言えます。このテーマを量産車にどう落とし込むか、まずは2024年登場予定の次期イプシロンに期待です。
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