もくじ
ー 元英国国防省空軍基地の跡地
ー 北極圏から砂漠/サーキットへ
ー アストンの歴史 新たな分野を切り開く
ー ハイブリッド技術 メルセデスから
ー 黒字転換後初の新型車
ー 既存顧客のSUV需要も期待
『アストン マーティンDBXの量産前モデル』すべての画像をみる
元英国国防省空軍基地の跡地
アストン マーティンは、2019年内に発表が予定されているDBXの量産前モデルを、新しいセント・アサン工場で生産開始した。同社初となるSUVとして2020年上半期に発売される予定だ。
セント・アサン工場は、元英国防省の空軍基地だった90エーカーの敷地に、2016年から建設されていたアストン第2の生産拠点で、当面はDBXの専用工場となる。後に復活したラゴンダ・ブランドから登場する新型電気自動車もここで生産されることが既に明らかになっている。
今年後半の正式発表に先立ち、アストン マーティンはDBXの写真を新たに公開。新工場のあるウェールズをモチーフにしたカモフラージュを施している。現在、この量産前モデルを使って最終テストを実施している。なお、新工場は2020年第1四半期にフル稼働する予定だ。
北極圏から砂漠/サーキットへ
アストン マーティンが前回公開した写真と動画には、同社とパートナーシップを結んでいるタイヤ・メーカーのピレリがスウェーデンのFlurhedenに所有する試験場を使って、極寒の環境下でテストしているDBXが写っていた。
このテストについて、アストン マーティンでチーム・エンジニアを務めるマット・ベッカーは次のように語っている。「プロトタイプを寒冷な気候でテストすることによって、われわれはこのクルマの初期ダイナミクスを確認できます。そしてグリップの低い路面でも自信を持って走れる確かな足まわりに仕上げることができるのです」
「このクルマでアストン マーティンは新たなセグメントに進出します。エンジニア・チームは、今回の厳しいテストを通して、高級SUVによる上質な乗り味の開発に挑戦することを楽しんでいます。サーキットにおけるテストでも進歩を遂げました。お客様がアストン マーティンのSUVに期待される以上のものをお届けできると、自信を持って言えます」
DBXはこれまでアストンが評価を築き上げてきたオンロードのダイナミックなパフォーマンスに加え、オフロードにおける確実な走りも併せて求められる最初のアストン マーティンだ。それを実現するために、今までにない過酷なテストのプログラムが組まれている。テストは中東の砂漠地帯から、ドイツのアウトバーンやニュルブルクリンクにも及ぶ。
アストンの歴史 新たな分野を切り開く
DBXは英国の公道でもテストを行っている。この時は、AMGから供給を受ける4.0ℓV8ツインターボが搭載されていた。今年中に発表が予定されているDBXには、まずこのエンジンが搭載される見込みだ。その最高出力はDB11と同じ510psになると予想される。
スウェーデンで撮影された写真には、昨年アストン マーティンから発表された「公式スパイショット」と同じ形状の5ドアボディが写っている。DBXはこのスタイルのまま大きく変わることなく、量産に至るものと思われる。
2015年にコンセプトカーとして発表されたオリジナルのDBXは、流麗な3ドア・スタイルだった。しかし、市販モデルはこれと違い、より一般的な5ドア・レイアウトになるようだ。
DBXはアストン マーティンの歴史において、そしてアンディ・パーマーCEOが指揮する会社の方向転換計画における次の段階で、最も重要なモデルになるだろう。パーマーCEOの掲げる「第二の百年」計画の一部として、アストンでは既存モデル(DB11、ヴァンテージ、DBSスーパーレッジェーラ)の世代交代が進められている。直接的な先代モデルを持たないDBXは、新たな分野を切り開くことになる。
モデルライフの間に、DBXはアストン マーティンで初めてハイブリッド・テクノロジーが採用されることになる。また、このクルマはアストン マーティン・ブランドに女性の顧客を引き込むために重要な役割を果たすだろう。
ハイブリッド技術 メルセデスから
DBXのアーキテクチャは、アストンが計画中のラゴンダ・ブランドから登場するサルーンやSUVとも密接な関係がある。これらラゴンダの新型モデルは、DBXと共にウェールズで生産されることになっている。その開始は2021年になる予定だ。
ラゴンダの新型車には電動ドライブトレインが採用されるが、DBXはまず、ガソリン・エンジンを搭載して発売され、遅れて2020年代初めにメルセデスから供給を受けるハイブリッド・テクノロジーが投入される。DBXにはアストン マーティン自社製のV12エンジンと、メルセデス-AMG製をベースにしたV8エンジンが設定される見込みだが、同車に採用される電動化技術もメルセデスが供給する。
DBXは、ランボルギーニ・ウルスやベントレー・ベンテイガ、ロールス・ロイス・カリナン、そしてフェラーリから登場が噂されているSUVとも競合することになる。SUVの人気が高まっている中、幅広い顧客にアピールするDBXは、すぐにアストンで最も売れるモデルになるだろう。
カモフラージュで覆われたDBXのプロトタイプを初めて目にしたのは、ウェールズ・ラリーのグラベル・ステージを走っている写真だった。その時、われわれは初めて市販モデルのデザインについてヒントを得ることができた。クーペ風のシルエットなど、カモフラージュ姿のテスト車両にもコンセプトの面影がわずかに残されていたものの、2枚のドアが追加されていた。
シャープなボディのキャラクターラインや、張り出したショルダーラインによって、アストン史上最も車高が高い全体の視覚的な巨大さが抑えられて見える。新たに採用された一体型グリルのデザインも、車両フロント部分の重厚さを軽く見せる効果がある。
黒字転換後初の新型車
DBXはまた、アストン マーティンにとって株式公開後に、そして昨年黒字に転換した後に初めて発表するモデルとなる。
2014年にアンディ・パーマーがCEOに就任して以来、アストン マーティンは大きく変わってきた。彼は同社に財政的安定をもたらし、黒字に転換させた。
2017年、同社は2010年以来となる黒字を計上。2018年上半期には過去最高となる2070万ポンド(28.5億円)の税引き前利益を記録した。
パーマーは、彼が「第二の百年」と呼ぶ成長計画を支えてきた。この計画では、7年間に7台の新型車、つまり毎年1台ずつ新しいモデルを発表するとしている。そのいずれも7年間のモデルライフを予定しており、複数の派生モデルや特別仕様車の追加も計画されている。
ダイムラーはアストンにハイブリッド・テクノロジーを提供することになっているが、パーマーによれば、さらに完全電動ドライブトレインを供給する2社のうちの1つでもあるとのことだ。他の外部パートナーも現在探しているところだという。
アストンは、同社初の電気自動車として今年後半より限定生産する予定のラピードEに、800Vの高速充電システムを採用する。パーマーによれば、この800Vシステムと最新の化学技術を利用することが、今後アストンが手掛けるEVパワートレインでは鍵になるという。DBXにハイブリッド仕様が追加されるのはまだ先の話で、発売時にはメルセデスから供給を受ける4.0ℓV8と、アストン自社製の5.2ℓV12がエンジンの選択肢として用意される見込みだ。
既存顧客のSUV需要も期待
パーマーはDBXのライバルとしてベンテイガ、ウルス、カリナン、そしてフェラーリの新型SUVを挙げているが、どのモデルも超高級SUV市場ではそれぞれがまったく異なる役割を担っていると述べている。「美しさを重視する人はアストンに移ることになるでしょう」と彼は言う。
DBXで初めてアストンの顧客となる人々は、特に中国と北米で期待できるが、パーマーは既存のアストン・オーナーでもかなり多くの人が興味を持つだろうと語っている。「アストンのお客様は72%の方がSUVも所有しています。これはわたしにとって魅力的なデータです。中でも多いのはカイエンやレンジローバーです」と彼は語った。「初めてアストンに乗り換えていただくよりも、既にアストンをお持ちの方に、アストンのSUVを買っていただく方が簡単でしょう?」
DBXは年間5000台程度の販売が期待されている。すぐにアストンで最も人気の高いモデルになるだろう。昨年、同社は全モデル合計で6441台のクルマを販売した。長期的な目標は、ゲイドンとセント・アサンの両工場から7000台ずつ、合計1万4000台を売り上げることだ。さらに毎年2台ずつ予定されている特別な限定生産モデルがそこに加わる。
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