メカニズムのネットワーク化
text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
8代目フォルクスワーゲン・ゴルフGTIの開発でも、出発点となっているのは、多目的なMQBプラットフォーム。このクラスでは最高水準の剛性を備えた、スグレモノだ。
新しいゴルフでは、先代ではスチール製だったフロントのサブルームを、アルミニウム製としている。以前のゴルフGTIクラブスポーツS用に開発されたものに似ている。
3kgの軽量化だけでなく、電動パワーステアリングや、マクファーソンストラット式のフロントサスペンションの取り付け剛性を高める役割を持つ。
ステアリングは、予想通り可変レシオが標準。ダイレクト感は増すそうで、センター付近でのレシオは14.1:1。2回転でロックトゥロックとなる。新しいソフトウェアを採用し、ステアリングレスポンスを向上。セルフセンタリングもより素早い動きを得ている。
もう1つの開発の鍵となっているのが、ビークル・ダイナミクス・マネージャー(VDM)と呼ばれるシステム。ステアリングやスロットル、トランスミッション、アダプティブダンパーなどをネットワーク化し、集中管理する。
このシステムで、4本のダンパー調整をより高速化し、姿勢制御を向上させ、乗り心地も改善。高速走行時でも明らかだったように、クルマ全体の安定感が高まっている。
アダプティブダンパーは、最新版のダイナミクス・シャシー・コントロール(DCC)の1つとして、オプション装備が可能となる。
動的性能のためにナーバスさは望まない
フォルクスワーゲンによれば、VDMへDCCを含める複数の情報を伝えることで、電子制御デフ、XDSの機能も強化されるという。「特にハードコーナリング中は、従来以上に効果的に機能します」 とシェブスダット。
「フロントタイヤ左右へ分配されるトルクは、従来以上に細かな制御が可能です。これまでにも増して、複数の要因を加味して制御されます」
ドライブ・モードには、コンフォートとエコ、スポーツ、インディビジュアルが用意される。デジタルスライダーを用いて設定変更は簡単になった。各モードの間には追加ステップが設けられ、ドライビング特性を広範囲に選べる。
リアサスペンションは、7代目同様にマルチリンク式。車高は通常の8代目ゴルフより15mm低い。もちろん設定もGTI専用となる。
ホイールは17インチが標準。オプションで18インチと19インチも選べる。プロトタイプには18インチのホイールに、ブリヂストン・ポテンザS005タイヤを履いていた。サイズは225/40だ。
フォルクスワーゲンが新しいGTIで目指していることの1つ。それは、複数のメカを、複数の電子制御システムと連携させ、より優れた統一感と漸進性、鋭さを備えたドライビング特性を獲得すること。
7代目のシステムをベースにしながら、ネットワークを強化し、精度や落ち着き、安定性といったフィーリングも引き上げている。「究極のパフォーマンスのために、ナーバスなクルマは望んでいません」
「新しいシステムは、考えられるあらゆる状況下で、ドライバーとクルマとの信頼関係を高めるものです」 シェブスダットは、自信を伺わせる。
執拗に路面を掴み続けるゴルフGTI
エーラ・レッシエン開発センターのハンドリングコースでは、シャシー・バランスや機敏な身のこなしなど、調和の取れた挙動を感じることができた。
スポーツ・モードを選んだGTIは、鮮明にコーナリングしていく。フロントタイヤのトラクションを保つべく、電子制御デフは巧みに処理を続ける。
タイヤのグリップ力は秀抜。路面に細かなうねりがあっても、フロントタイヤは衝撃に耐え、外へ膨らまずにラインをキープ。ドライバーは不安感なく、コーナーの頂点めがけて勢いよくクルマを向けていける。
特に細かなバンプが続く、タイトな円弧を描く厳しい区間へ侵入する。8代目GTIを運転するシェブスダットは、アクセルペダルを深く踏み込み続ける。ステアリングの角度を一定に保っているが、GTIは内側の白い白線から逸れることなく曲がっていく。
助手席の筆者は、進入時の鋭い喰らい付きから緩なる場面を伺う。だが、GTIは執拗に路面を掴み続ける。
サスペンションには横方向への遠心力だけでなく、路面からの垂直方向の複雑な力も加わっている。しかし、跳ねることもなく、アンダーステアの予兆すらない。
次のコーナーは、長く伸びる左カーブ。シェブスダットは高速で侵入し、突然アクセルペダルを戻すと、再び目一杯蹴飛ばす。リアタイヤの安定性に驚かされる。ドライバーの挑発を受けても、プロトタイプは動揺することなく先を急ぐ。
7代目から大きな進歩を遂げつつある
幅広いドライビング・モードでの、優れた姿勢制御も新しいゴルフGTIの強みの1つ。低速域でのコーナーではある程度のロールも見せるが、改良を受けたアダプティブ・ダンパーの力もあって、従来以上に穏やかで漸進的だ。
8代目ゴルフGTIのハンドリングで、全体的な落ち着きは重要視している特性。乗り心地の面でも有効となる。
確かに、予想通りの硬さがあるものの、オプションの18インチタイヤでも鋭さは感じられない。垂直方向の動きは良くコントロールされ、コンフォート・モードを選べば、印象的なほどのしなやかさがある。
大きなバンプを超えた直後の、振動の収まりの早さも注目に値するだろう。乗り心地を確かめているうちに、助手席での試乗時間は終了となった。
恐らくこのクラスでは最強でも、最速でもない。だが、8代目フォルクスワーゲン・ゴルフGTIは、7代目から大きな進歩を遂げたようだ。
伝統のゴルフGTIとして、ベストといえる俊敏性とレスポンスを獲得しているように感じた。安定感が強く、限界領域での落ち着きも明らかに高い。
筆者が実際にステアリングホイールを握れるのは、あと数ヶ月ほど先。しかし、既に素晴らしいホットハッチが完成していることは、間違いなさそうだ。
フォルクスワーゲン・ゴルフGTI プロトタイプのスペック
価格:2万9900ポンド(397万円)
全長:4284mm(標準ゴルフ)
全幅:1789mm(標準ゴルフ)
全高:1456mm(標準ゴルフ)
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:6.2秒(予想)
燃費:-
CO2排出量:-
乾燥重量:1370kg(予想)
パワートレイン:直列4気筒1984ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:245ps/4700-6200rpm
最大トルク:37.6kg-m/1600-4300rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック
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