日産キューブ
単なるキャビンというよりも、ラウンジとでも表現すべきインテリアを与えられた日産キューブで優先されていたのは、動力性能よりも車内での快適性だった。
全高を高くとるとともに、大きなウインドウエリアを確保することで、インテリアに解放感を与え、ラウンドした1枚物のリアクォーターガラスは、実用性よりもこのクルマの創造性を表現していた。
まるでソファのような見た目と座り心地のシートは快適で、日産ではそのルックスについて、ジャグジーをモチーフにしたとしており、波打つダッシュボードや波紋模様が描かれたヘッドライニングは、この大胆なコンセプトに則ったものだった。
さらに、このクルマのシートには、21世紀のモデルというよりも、1970年代を思わせる毛足の長いカーペットのような素材が使われており、こうしたすべてが、キューブを他とは一線を画す存在にしていた。
シトロエンDS
慣習に囚われることのないシトロエンでは、1956年デビューの大型サルーン、DSでもありきたりなウッドとレザーのインテリアをよしとせず、その代わりに、このクルマのオーナーが目にしたのは、シングルスポークのステアリングホイールをはじめとした、モダニズムの洗礼だった。
この特徴的なステアリングホイールの奥に設置されていたのは、円形ではなく、バー式のスピードメーターであり、さらなる独自性を発揮すべく、シフトレバーはダッシュボードから生えていた。
フロントフットウェル中央には、この前輪駆動のDSでも縦置きしたエンジンを、十分後退した位置に設置するための、大きなふくらみまで存在していた。
さらに、本来ブレーキペダルがあるべき場所にはボタンが設置され、滑らかなラインの実現と低重心を目的として、そのルーフにはグラスファイバーが使用されていた。
すべてが驚くべきモデルだが、いまでは希少なコレクターズアイテムとなっている。
マクラーレンF1
マクラーレンF1のキャビンを他とは違う空間にしているのは、そのドライバーが車体中央に座る3シーターのセントラルドライビングポジションであり、ドライバーをセンターに配置したのは、究極のスポーツカーを創り出したいというゴードン・マーレーの情熱であり、3シーターとしたのは、スペースを有効に活用するためだった。
だが、そのインテリアの特徴はシートライアウトだけに留まらず、バックミラーは通常の位置ではドライバーの視線の妨げとなるため、キャビン両サイドに設置されていた。
さらにF1のインテリアを特徴的なものにしていたのが、ポジション調整可能なペダル類だったが、調整はマクラーレンの工場でしか行えず、まさにこのクルマはオーナー専用だった。
ドライバーズシート両側に設置されたコンソールでは、エアコンとオーディオの操作が可能だったが、この場所が選ばれたのは、他に適当な場所がなかったからだ。
こうしたすべてが、この驚くべきスーパーカーを他とはまったく違う存在にしていた。
オースチン・マエストロ
後からオースチン・マエストロを馬鹿にするなど簡単だが、このクルマはフォルクスワーゲン・ゴルフとフォード・エスコートを追撃しようとする、真っ当だが、少し間の抜けた試みだったのだ。
多くがバンデン・プラ版の合成音声で警告や情報を伝えるダッシュボードを思い出すだろうが、マエストロのキャビンの特徴はそれ以上のものだった。
例えば、上級グレードには、当時アウディ・クワトロといった高級モデルでしか採用されていなかったデジタル式速度計が与えられており、さらには、シートベルトもショルダーバックルの位置で高さ調整が可能であるとともに、リアシートは60対40の分割可倒式となっていた。
現在では当たり前に見えるかも知れないが、当時としてはマエストロのインテリアは十分に時代を先取りしていた。
ポルシェ911
初期の911とそのキャビンを見れば、その時代を感じないわけにはいかないが、その後30年という時間が経過したにもかかわらず、ポルシェは同じインテリアデザインとレイアウトを守り続け、911は他のモデルとは一線を画す存在であり続けていた。
奇妙に思うかも知れないが、このインテリアが911の伝統として、ひとびとがこのクルマに期待するものでもあったのであり、それは1994年デビューの993世代まで続いている。
ダッシュボードには5つのメーターが整然と並び、空調やラジオなどはキャビンいっぱいに広がるコンソールに横一列に配置されており、シフトレバー前に設置されたパワーウインドウ用スイッチだけが、唯一現代性を感じさせた
ランチア・ストラトス
コンペティションモデルとして設計されたランチア・ストラトスでは、つねに機能性が優先されていた。
純粋な公道用モデルでもあっても、豪華さなどとはまったく無縁であり、もとはコンペティションモデルとして重量増を嫌ったこのクルマでは、サイドウインドウの開閉も完全なマニュアル式だった。
さらに、このクルマのラリーモデルとしての出自は、装着する必要がない場合にヘルメットを収納するのに最適な、そのドアポケットにも表れていた。
非常に幅広いサイドシルを持つこのクルマのキャビンへ乗り降りするには、慣れが必要だったが、モータースポーツに起源を持つすべてのクルマがそうであるように、ストラトスのインテリアの奇妙さなど、そのフェラーリ製エンジンが咆哮を上げれば、すぐに忘れ去ることができた。
マセラティ・クアトロポルテIII
エクステリアデザインはあまり特徴のないものだが、マセラティンはクアトロポルテIIIにそれを補って余りあるキャビンを与えている。
マセラティ製4ドアサルーンの3代目となるこのモデルでは、1970年代製のソファよりも多くのフリルが付いたレザーと、ダイニングテーブルほどの広さを持つトランスミッショントンネルが与えられていた。
さらに、当時のマセラティとしては当然ながら、エルゴノミクスなどまったく考慮されておらず、その曲線を描くインストゥルメントパネルは、ほとんどの時間帯で太陽光を反射し、表示内容はほとんど読み取れなかった。
クアトロポルテのインテリアを代表するのがロイヤルと呼ばれたモデルであり、ミニバーとリアにピクニックシートを備え、さらには、4つのシート全てが電動調整式となっていたが、このモデルを選ぶドライバーはほとんどいなかったために、その生産台数はわずか53台に留まる。
TVRサーブラウ
インテリアを含め、サーブラフのすべてでTVR流が貫かれている。このクルマは2シーターではなく4シーターだとされていたものの、そのふたつ用意されたリアシートはポルシェ911ほどのサイズしかなかった。
ダッシュボードには曲線が多用されるとともに、ステアリングコラム下にメーターを設置するため、ステアリングホイールは2本スポークとされており、エアベントの位置も、そこしか場所がなかったからという理由で決められている。
さらに、当時のTVRの流儀に則り、サーブラウもキャビン内でドアハンドルを探し出すのが簡単なモデルではなかった。
他のモデルのように、トランスミッショントンネルに設置された滑り止め加工付きアルミニウム製ハンドルでもなく、サーブラウでは、センターコンソールにあるボタンを押すことで、電磁弁がドアを開ける方式が採用されていた。
上手く機能している間は素晴らしいアイデアだが、暑い日に壊れてしまえば、そんなことも言っていられないだろう。
サーブ9000ジョイスティック・プロトタイプ
つねにサーブは地上を走行するモデルに対しても、その航空機との繋がりを感じさせるクルマ作りを行ってきたが、9000ジョイスティック・プロトタイプははるかにその先を行っていた。
このクルマはプロメテウス計画の一環として登場しており、ステアリングホイールの替わりに、センターコンソールから伸びる航空機の操縦桿のようなスティックで操作を行う必要があった。
本来ステアリングホイールがあるべき場所には、巨大なフロントエアバッグが設置され、さらにはサイドエアバッグとニーエアバッグまで搭載されていたが、このアイデアは、衝突時にドライバーに危険をもたらすステアリングを撤去することで安全性を向上させるとともに、エアバッグ容量を増大させようという考えから産み出されたものだった。
このクルマを試乗した人間によれば、ジョイスティックの操作は簡単だったとのことだが、このアイデアは頓挫し、プロトタイプが1台制作されたのみとなっている。
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