9月1日、アメリカ・ウィスコンシン州のミルウォーキー・マイルにて、2024年NTTインディカー・シリーズの第16戦『ハイヴィー・ミルウォーキー・マイル250』レース2の決勝が行われ、チーム・ペンスキーのスコット・マクラフランが優勝を飾った。
9年ぶりにシーズン復帰した全長約1マイル(1.609km)のショートオーバル、ミルウォーキー・マイルで行われている第15/16戦。前日の第15戦では、パト・オワード(アロウ・マクラーレン)が6番手から見事な逆転優勝をあげている。
【順位結果】2024年インディカー第16戦ミルウォーキー 決勝
迎えた第16戦、土曜日昼に行われた予選ではジョセフ・ニューガーデンとスコット・マクラフラン(ともにチーム・ペンスキー)がワン・ツーを獲得した。以下、3番手はマーカス・アームストロング(チップ・ガナッシ・レーシング)、4番手ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)、5番手リヌス・ルンドクヴィスト(チップ・ガナッシ・レーシング)というトップ5のオーダーとなり、選手権リーダーのアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)は10番手から決勝を戦う。
現地時間14時50分、気温は23度、路面温度39度のコンディションのもと、250周の決勝レースはスタート進行が開始。各車コースインを行いフォーメーションラップが進むなか、ここでパロウのマシンが突然停止するトラブルが発生してしまった。
レースはスタート前にフルコースコーション導入となり、ピットロード出口に停まったパロウは牽引されてピットへ。隊列はセーフティーカー(SC)の先導で周回を進める一方、チップ・ガナッシ・レーシングはパロウのマシンの起動に着手する。
なんとかスターターで始動したパロウは、スタート直前のコースへ向かう。ちょうどこのタイミングでSCは隊列は離れ、いよいよスタートを迎える頃であったが、パロウのマシンはそこに水を差すかたちで再度力尽きてしまう。
その結果、コントロールラインに迫る隊列はグリーンフラッグの寸前でノースタートのコールを受けた。しかし、減速が間に合わないドライバーもおり、5番手のルンドクヴィストが前のアームストロングに追突。そのあおりでポールシッターのニューガーデンにも玉突きが起き、イン側のウォールにクラッシュを喫してしまった。
これで2度目のフルコースコーションが導入となり、停止したパロウや破損したニューガーデンのマシンを回収後、隊列は17周目にスタートを切った。
ニューガーデンに代わって、マクラフランがホールショットを決め、パワー、ルンドクヴィスト、ロッシと続いていく。なお、先ほど追突のきっかけとなっていたルンドクヴィストにはドライブスルーペナルティが課されている。
約20周が経過すると次第にバックマーカーも現れ始め、首位マクラフランと2番手パワーが接近する。周回遅れをパスしながらのバトルは約10周ほど続き、44周目にパワーがインからオーバーテイクを決めレースの主導権を握る。
53周目には、3番手のロッシが一足先にピットへ向かいアンダーカットを狙う。2周後にはパワーとマクラフランも同時にピットインを行い、パワーは首位を守ったものの、マクラフランはロッシにポジションを奪われた。
第2スティントに入ってから約10周が経過したころ、メインストレッチでデイビッド・マルーカス(メイヤー・シャンク・レーシング)がウォールに接触しスロー走行。3度目のフルコースコーションが導入された。
72周目にレースはリスタートが切られた。パワーがトップをキープし、マクラフランがロッシにリベンジをかけて2番手にアップする。さらに4番手には勢い著しいサンティノ・フェルッチ(A.J.フォイト・エンタープライゼス)も上がってきた。
97周目には、さきほどもアンダーカットを狙ったロッシがふたたび先んじるピットインを実行する。しかし、次周にはパワー、マクラフランも反応し、ポジションキープのままで折り返しの第3スティントへ。
113周目、スティング・レイ・ロブが最終コーナー付近で突如ストップしてしまうアクシデントが起きた。レースは4度目のSCとなり、この間にコースアウト側に溜まったタイヤカスも清掃が行われる。
イエロー中にパワー、マクラフラン、フェルッチらはピットへ向かう。この作業でもトップ争いは白熱し、マクラフランがパワーよりも先にコースへ向かってポジション奪取に成功した。一方、ロッシとスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)はステイアウトし、リードグループの先頭となる。
125周目にリスタートが切られるも、グラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン)がクリスチャン・ラスムッセン(エド・カーペンター・レーシング)と接触し、クラッシュを喫したために5度目のフルコースコーションが導入。
132周目にふたたびグリーンフラッグが振られたが、ここでパワーがまさかの単独スピン。ノーズがウォールに軽くヒットし、パワーはすぐにピットへ向かってタイヤチェンジ。辛うじてリードラップの11番手で復帰するも、その後すぐに再ピットしてフロントノーズを交換し、ラップダウンの13番手にダウンしてしまった。
リスタートを迎えたのは138周目。ロッシを先頭に、ディクソン、マクラフランと続き、157周目にはマクラフランがディクソンをパス。1度ピットタイミングをスルーしているディクソンはペースダウンが大きいようで、コルトン・ハータ(アンドレッティ・グローバル)とフェルッチにも前を奪われた。
耐えかねたディクソンは162周目にピットへ。次周にロッシがピットへ向かい、165周目にはマクラフラン、167周目にフェルッチも反応。しかし、フェルッチと4番手を争っていたハータはここでスルーを選択する。
結局188周目までハータは引っ張り、彼が早めのラストピットを終えた時点で、マクラフラン、ロッシ、フェルッチ、ディクソン、エリクソン、ハータというトップ6のオーダーだ。
ハータ以外の面々は200周を前にピットタイミングを迎え、196周目にフェルッチが動く。それを皮切りに続々とラストピットを終え、203周目にはハータがふたたびトップに浮上した。
しかし7秒後方にはマクラフランがつけ、ハータは我慢の展開に。その差はみるみる縮まり、214周目には1秒以内に接近し、ロッシ、フェルッチ、ディクソンも僅差で続く。
216周目に2台は差し合うバトルに発展し、217周目にマクラフランが抜き去って決着。残り30周でレースリーダーに返り咲いた。
しかし、残り22周でロブが今度はウォールにぶつかって再び停止し、フルコースコーション。先頭集団は軒並みピットインし、ハータは作業に時間がかかったか4番手にダウンしてしまった。
マクラフラン、ロッシ、ディクソン、ハータ、フェルッチというオーダーで残り11周にリスタートが切られると、マクラフラン先頭は先頭をキープし、ディクソンとハータはロッシに迫ってオーバーテイクを決めた。
その後、2番手ディクソンは首位と1秒以内に続き、じりじりと差を縮めていくもののマクラフランもペースを上げて反応。ディクソンを寄せつけないレースリードを見せるマクラフランは、そのままギャップをコントロールしてトップでチェッカーを受けた。これでマクラフランは自身2度目のオーバルレース制覇を飾り、2位ディクソン、3位ハータという表彰台となった。
ポイントランキングでは、首位パロウが19位(11ポイント)、2位パワーが10位フィニッシュ(20ポイント)となり、ふたりは33ポイント差となった。1大会の最大獲得ポイント数は54ポイントのため、50点差の3位マクラフランまでがタイトル獲得の可能性を残している。
これで、2024年インディカー・シリーズも残すところはあと一戦となった。最終戦『ビッグ・マシン・ミュージック・シティ・グランプリ』は、9月13日から15日にかけてアメリカ・テネシー州のナッシュビル・スーパースピードウェイにて行われる予定だ。
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