はじめに
BMWを、i4の投入を急ぎすぎたと責めるひとはいないだろう。2010年には、すでにミニの電動化バージョンの一般向け販売を実験的に行なっており、日常使いのデータを可能な限り集めている。その成果を活かしたのがプロジェクトiで、これはプレミアムクラスのライバルに対抗するサステイナブルなモビリティの野心的な試みだ。
2014年にスタートすると、このプロジェクトは一定の成功を収めた。魅力益なコンセプトモデルの数々に続き、完全電動ハッチバックのi3と、プラグインハイブリッドクーペのi8を発売。これら洗練されたモデルは、動かし難い未来的な高級車像を提示したが、既存のBMWユーザーをも、ミュンヘンの期待通りに取り込んだ。
それから7年ほどでX3の電動版を発売し、SUVとEVとのベン図の中央に、BMWは地歩を築いた。しかし、その成功があっても、われわれは別の電動BMWを待ち望み続けた。それこそ、美的にも運動性においてもエバーグリーンといえるクルマ、人気抜群の傑作、3シリーズの電動版だ。
ついにそれが叶った。それこそがi4だ。これこそ、誰もが適切な電動BMWだと認めるであろうはじめてのクルマで、それゆえブランドにとっても非常に大きな意味を持つものとなりうるモデルである。これまで時間を重ねてきた甲斐があったと、たしかに思えるものが登場したわけだ。
このセダンは、不足する半導体の割り当てをほかのモデルより優先してまでして発売したほど重要視されている。先行するライバルに対してみると、テスラであればモデルSより10年、モデル3より5年の遅れ、ポルシェ・タイカンにも2年先行されているのだ。
言い換えるなら、実用的な航続距離と魅力的なハンドリング、洗練性といったものを持ち合わせた、高級スポーツセダンオーナーを満足させるクルマを生み出せる可能性は、他社がすでに実証済みだといえる。
しかも、BMWは後発ながら、まだまだこのジャンルは歴史が浅い。パフォーマンスや実用性、クオリティや運動性、そしてプライスがみごとにバランスしたクルマのマーケットには、まだまだ食い込む余地が十分にある。
実際、もしも現行3シリーズの魅力をそのままに電動化したら、そういうクルマになるはずだが、おそらくこのi4はそれに当たると言っていいものになっているはずだ。もちろん、i4が3シリーズと同じプラットフォームを用いて、パワートレインを変更したものだとはいえ、それが期待通りの仕上がりになるとは限らない。BMWのお手並み拝見といこうではないか。
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
今のところ、i4にはふたつの仕様がある。今回テストするのは、よりパワフルな2モーターのM50だ。前後1基ずつの電気モーターは、合計544ps/81.0kg-mと、M3コンペティションすら凌ぐスペックを実現している。
もうひとつ、エントリーモデルのi4 eドライブ40は、340ps/43.8kg-mを発生するリアモーターのみを搭載。ただし、どちらも駆動用バッテリーは83.9kWhの内製品を採用。エネルギー密度は、i3に対して20%ほど高められた。
第5世代のeドライブテクノロジーは、BMW最速の205kW急速充電に対応するが、これは蓄電量が少ない場合のみ。容量が中間ほどに達すると、100kWほどでチャージすることになる。
プラットフォームは、3/4シリーズと同じCLARを使用。ボディサイズはそれらとほぼ同等だが、ホイールベースは5mm長く、トレッドはわずかに広い。そのルックスは、シルエットもプロポーションもおおむね4シリーズ・グランクーペに近い。
バッテリーパックは、22本のボルトでフロアパンに固定され、プラットフォームのねじり剛性向上に寄与しているが、550kgの重量増加も呼んでいる。これこそ、i4 M50の0−100km/h加速が、M3コンペティションに0.5秒ほど後れる理由だ。
どちらのi4も、フロントのストラット周辺の補強ブレースと、サブフレーム下のアルミシアーパネルを追加しているが、M50にはさらにストラットタワーバーが装着されている。ただし、F80型M3のようなカーボンの軽量品ではなく、シンプルなアルミシャフトで、普段は黒くおもしろみのないカバーに覆われていて見えない。
バッテリーパック以外に、i4が3シリーズと大きく異なるのは、リアにエアサスペンションを装備する点だ。また、トラクションコントロールシステムはモーター制御系に統合され、それゆえDSCのための長い信号経路が排除され、従来のICEモデルのレイアウトより最大10倍早く作動する。
内装 ★★★★★★★★☆☆
i4のインテリアは実質的に、4シリーズ・グランクーペの流用だ。EVならではの変更点は、トランスミッショントンネル上に追加されたスイッチ類くらい。もっとも、そのトンネル内にトランスミッションは収まっていないのだが。
インフォテインメントシステムは、最新のiDrive8で、デジタル画面のメーターパネルと連携する。光り輝くディスプレイに魅力を感じているなら、すばらしく見栄えがいいと感じるだろう。しかし、フローティングタイプのマウントにより、助手席からの視認性は下がり、画面を支えるあまりエレガントではない支柱が必要になってしまう。
それ以外は、概ねよくできている。質感はきわめて高く、運転関連のエルゴノミクスはクラス最高。ステアリングコラムとシートの調整幅は十分にある。乗り込んでみると気付くのは、3/4シリーズより座面がやや高いということ。これは、床下にバッテリーパックを配置したことによるものだ。
BMWが、ICEモデルの低いポジションを維持しなかったことに、そこまで文句はない。しかしながら、リアシート中央の盛り上がりをなくす方法は、どうにかして見つけられたはずだ。後席はヘッドルームが制限されているが、不要なプロペラシャフトのハウジングにより、さらにスペースはタイトになっている。
後席のスペースは、テスラ・モデル3にまったく敵わない。しかし、荷室容量はクラストップだ。後席使用時でも470Lというサイズは、モデル3はもちろん、タイカンや、フォードのSUVタイプであるマスタング・マッハEすら上回るのである。
走り ★★★★★★★★☆☆
EVの爆発的な加速にも、最近ではすっかり慣れてしまった。それでもi4 M50のそれには、思わず息を呑む。スロットルペダルを深く踏み込めば、いついかなるときでも驚きを覚えるはずだ。
数字的に見ても、その加速性能はみごとなものだ。0−97km/hのタイムは、湿った路面でも4.1秒をマークした。64−97km/hについては1.5秒で、これはランボルギーニ・アヴェンタドールSVJのコンマ2秒落ちにすぎない。
しかし、数字以上に印象的なのが、パフォーマンスの特性だ。とくに、中回転域でそれが顕著となる。1万7000rpm回るモーターのレスポンスは瞬間的と言ってもいいもので、さらにスポーツブースト機能を使うと、544ps/81.0kg-mを最大10秒間フルに引き出せる。
パワートレインを全開にすると、リアが一瞬震え、フロントタイヤがホイールスピンするが、かなりの早さと巧みさでトラクションコントロールが抑え込み、猛然と前方へ突き進んでゆく。いま手に入る本格スーパーカーすべてと同じように、このクルマのポテンシャルをフルに試すなら、冴えた頭脳と時と場合をわきまえた判断力が必要だ。
当然ながら、加速時には内燃エンジンのようなリアルな機械音が発生しない。カムの唸りや吸気の叫び、エグゾーストの方向に代わるのが、映画音楽の大家であるハンス・ジマーの力を借りて作り上げた合成音だ。しかし、テスター陣の感想は、このサイバーなサウンドには深みがないというもの。また、かなりのスピードが出ていながら、音が盛り上がらないというのは、やる気が削がれるところもある。それはいまだ克服されていない、速いEVの弱点だ。
当然ながら、i4 M50のパフォーマンスは猛烈な側面だけではない。楽に走れるペースや正確さこそ、もっとも説得力のある性質だろう。加速はリニアでレスポンスに優れ、2点間移動をゆったり直感的に行おうとする限りは、穏やかすぎるかもしれない。
いつでもワープするようなスピードでのオーバーテイクを可能にするパフォーマンスを引き出せるが、パワートレインのストレートで、地味に力強いドライバビリティこそが、このクルマを日常使いしやすいものにしている要因だ。とはいうものの、その点でいえば、340psのi4 eドライブ40でもほぼ同じことができる。
ブレーキングについては、おおむね机上論でセッティングされている。BMWの考えは、アダプティブ回生ブレーキのプログラムによって、制動の90%は摩擦ブレーキなしに済ませるというもの。たしかに、日頃の運転がほぼブレーキを踏まずに終わるだろうことは、われわれが保証する。
ところが、緊急ブレーキについては、満足できるとはいいがたい。113km/hからの完全停止には61.4mを要し、レーンからにじり出てしまった。同じ日に同じコンディションでテストしたタイカンは、矢のようにまっすぐな軌跡で速度を落とし、54mジャストでストップした。
この違いは、タイヤによるところが大きそうだ。BMWはピレリPゼロ・エレクトを履かせていたが、ポルシェはミシュラン・パイロットスポーツ4を装着していた。
使い勝手 ★★★★★★★★★☆
インフォテインメント
メルセデスの影響を受けたのか、BMWはi4に反射防止加工をした曲面ディスプレイに、12.3インチのデジタルメーターと14.9インチのインフォテインメントディスプレイを統合した。賛否両論あるだろうが、オレンジに染まった円形メーターがお決まりだった頃のシンプルなBMWとの違いが、もっとも顕著にみられるのはここだ。
iDriveのソフトウェアは第8世代。グラフィックは超鮮明だが、常に多くの情報やアイコンが表示されているので、これはありがたい。また、幸いにも、ここしばらくBMWではおなじみとなっているダイヤル式コントローラーがこのクルマにも備わっているので、マップやマルチメディアなどのメニューや表示する情報の切り換えが素早くできる。使い方を覚えるのは容易で、iDrive8はすぐに、クラス最高のスムースに操作できるインフォテインメントシステムになる。
しかしながら、Apple CarPlayやAndroid Autoを使ってスマートフォンと連携するという選択肢も用意されている。どちらもシステムとの協調はうまくいっていて、携帯デバイスから送った情報はディスプレイ全面に表示でき、ナビゲーションの方向指示はヘッドアップディスプレイに表示することも可能だ。
燈火類
テスト車は、レーザーライトことBMWのアダプティブヘッドライトが標準装備。今の新車市場を見回してもベストといえるもので、レスポンスも鮮明さもすばらしい。
ステアリングとペダル
ドライビングポジションは、BMWの例に漏れずうまく仕立てられている。調整機能も良好。ただし、床下のバッテリーの影響で、あまり低いポジションは取れない。
操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆
i4 M50の重心高は、3シリーズより34mmほど低い。そのことと、それにより高まった安定感には、乗ればきっと気づくはずだ。
もちろん、プラットフォームを共有するICEモデルに対して、数百kg増している重量も感じるに違いない。それは駐車場内のような極低速域にあっても、B級道路の完全な直線を走っていてもだ。
ほかのEVもそうであるように、フロア下にバッテリーパックを積んだことには功罪ともにある。しかしi4 M50は、それがとりわけはっきりしているクルマではないだろうか。
おそらくそれは、このクルマの基本的なフィールが、M440iグランクーペを思わせるものだからだろう。その点は、BMWの仕事ぶりがみごとだったといえる。というのも、4ドアの4シリーズはそのクラスにおけるハンドリングのベンチマークとなるクルマだからだ。
その俊敏なステアリングは、EVになってもそのままで、挙動やバランスも同質。ただし、元来のアジリティは、かなりスタビリティと置き換わっている。
フロントがコイルスプリング、リアがエアスプリングとなるアダプティブサスペンションにより、ボディコントロールも一級品。3/4シリーズのMスポーツからi4 M50へ乗り換えたなら、ピッチやロールがやや失われたことを残念に思うかもしれない。グリップレベルを知るのに役立ち、さらには、運転に自信をもたらす疾走感を得る上でも需要な要素だからだ。
ステアリングのクオリティも、バッテリー重量の影響を受けている。CLARプラットフォームに内燃エンジンを積んだBMWに比べて、活発さでは見劣りする。しかし、競合するEVに比べれば、ゆるぎない精密さやフィールを感じさせる。無論、タイカンを別にすればだが。
M50のシャシーが本領を発揮しはじめたなら、好ましい印象は続く。推進力はリアモーターのみとなるが、グリップやトラクションの限界を迎えるとフロントも始動。2基の間の調整は、ほぼシームレスだ。
ハンドリングのバランスは、リア優勢のニュートラルさを見せるが、これはBMWのxドライブと同じスタイル。しかもi4 M50は、ずっと速く楽にオーバーステアへ持ち込める。DSCをより甘いセッティングにすると、瞬間的に立ち上がるトルクとリア優勢のバランスを、エンターテインメント方面に活用できる。クルマはわずかなヨーを伴って気持ちよくコーナーを飛び出すが、加速はまだまだ激しいままだ。
M3コンペティションほどの満足感は得られないかもしれない。比べてしまうと深みという点ではやや届かず、アンダーステアも出やすい。それでも、期待したレベルの楽しみは得られる。それも、安全にだ。
後輪駆動のi4 eドライブ40については、できれば触れたくないところだ。ステアリングのギア比は遅くなり、フロントの補強ブレースも減るので、M50のように精確で運動性重視のハンドリングは得られない。ただし、合法的な速度域であればよりなめらかで、長距離も心地よく走れる。
こちらのほうがよりグリップに優れると感じられる場合も多い。いずれのモデルもパワートレインのエモーショナルさが限定的であることを考えれば、eドライブ40ではなくM50を選びたくなるモチベーションは、M340iに対するM3コンペティションの場合より弱い。
快適性/静粛性 ★★★★★★★★★☆
7シリーズに期待するような静謐さを、i4 M50は見せてくれるときもある。乗り心地にスポーティな性質がないということは絶対ないのだが、低速での減衰は20インチホイール装着車としては特筆ものの優秀さだ。また、電動パワートレインの静粛性や歯切れよく優れたレスポンスによって、市街地を気兼ねなく流すことができる。
速度が上がるにつれ、遮音性という強みが際立ってくる。ただし、高速道路を巡航していると、このサイズのセダンとしてはトップレベルだが、大型の高級サルーン並みというわけにはいかない。
そうはいっても、このクルマのパフォーマンス面のポテンシャルを考えれば、長距離走行で見せるマナーのよさはずば抜けたものを感じる。113km/hでの室内騒音は65dbAで、M8コンペティションなどに比べればかなり静かなのだ。
出来のいい、サポート性の高いシートや、直観的に操作できるレイアウト、全方位とも良好な視認性なども、快適な運転に貢献してくれる。テールゲート越しの後方視界は、もう少し広いほうがうれしいが、それも大きな減点要素にはならない。
フロントシートの掛け心地はGTカーらしいものだが、その手のクルマに欠けている開放感にも不足はない。アダプティブブレーキのプログラムはジャンクションや渋滞などを感知して回生ブレーキを自動調整するが、慣れてしまえば自然とそれに任せてしまうくらい、うまくしつけられていている。
残念だったのは、小回りに関する部分だ。回転直径は12.5mで、11.3mだったM440iグランクーペよりも方向転換に広いスペースを必要とする。タイトな場所では、毎回それを思い知らされることになるだろう。
購入と維持 ★★★★★★★★☆☆
i4の価格は、eドライブ40スポーツの5万1905ポンド(約805万円)からの設定で、Mスポーツ仕様になると5万3405ポンド(約828万円)となる。テストしたM50は、6万3850ポンド(約990万円)だ。これに有償ペイントやいくつかの追加トリム、オプションパッケージを載せれば、7万ポンド(約1085万円)をすぐに超えてしまう。テスト車は7万6715ポンド(約1189万円だった。
同等装備の4シリーズ・グランクーペと比べれば、およそ1万ポンド(約155万円)ほど高い。それでも、BMWにとって利幅が大きいのは、EVよりICEモデルだ。そのため、i4 M50は高額に思えるが、BMWとしてはやむをえない値付けなのだろう。
SUVタイプのEVの中には、このM50並みの速さとシャープなルックスを備え、価格はかなり下回るものもある。とはいえ、それらには期待できない運動性能面の魅力や、GT的な魅力を、このBMWは持ち合わせている。
エントリーレベルのタイカンはすばらしいドライバーズカーだが、M50よりやや遅く、しかも価格はオプション抜きで7万3000ポンド(約1132万円)もする。つまり、M50と同じ価格帯で、これほど全方位的な魅力を発揮できるクルマはないのだ。
もちろん、そうではないという声もあるだろう。最大の競合モデルとなるであろうテスラ・モデル3パフォーマンスと乗り比べて、慎重にチューンされた、地味に満足できるダイナミクスに価値を見出したなら、違う意見を持つかもしれない。
今回の寒い中でのテストでの電費は平均3.7km/kWhで、バッテリー容量から割り出される航続距離は299kmに達する。高速道路では4.7km/kWhとなり、航続距離は370kmを超える計算だ。
スペック
レイアウト
i4の基本構造は3シリーズとシェアしているが、フロア下には高さ11cmの駆動用バッテリー、リアにはエアサスペンションが追加されている。
結果、実測2284kgとかなり重いクルマになったが、重心高は低く、前後重量配分(テスト車で48:52)も良好。サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット、リアがマルチリンクだ。
パワーユニット
駆動方式:フロント/リア横置き四輪駆動
形式:同期電動機
駆動用バッテリー:水冷式リチウムイオンバッテリー、83.9kWh(グロス値)/80.7kWh(ネット値)
最高出力:544ps/8000~17000rpm
最大トルク:81.0kg-m/0~5000rpm
許容回転数:17000rpm
馬力荷重比:245ps/t
トルク荷重比:36.6kg-m/t
ボディ/シャシー
全長:4783mm
ホイールベース:2856mm
オーバーハング(前):862mm
オーバーハング(後):1065mm
全幅(ミラー含む):2085mm
全幅(両ドア開き):3680mm
全高:1448mm
全高:(テールゲート開き):2270mm
足元長さ(前):最大1140mm
足元長さ(後):最大720mm
座面~天井(前):最大1030mm
座面~天井(後):最大870mm
積載容量:470~1290L
構造:スティール/アルミモノコック
車両重量:2215kg(公称値)/2284kg(実測値)
抗力係数:0.25
ホイール前/後:8.5Jx20/10.0Jx20
タイヤ前/後:255/35 R20/285/30R20
ピレリPゼロ・エレクト
スペアタイヤ:なし(パンク修理キット)
変速機
形式:1速リダクションギア
ギア比
最終減速比:-
リダクション比・前/後:8.8:1/9.4:1
1000rpm時車速:−km/h
電力消費率
AUTOCAR実測値:消費率
総平均:3.7km/kWh
ツーリング:4.7km/kWh
動力性能計測時:2.1km/kWh
メーカー公表値:消費率
混合:4.5~5.6km/kWh
公称航続距離:415~521km
テスト時平均航続距離:299km
CO2排出量:0g/km
サスペンション
前:マクファーソンストラット/コイルスプリング、スタビライザー
後:マルチリンク/エアスプリング、スタビライザー
ステアリング
形式:電動、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.2回転
最小回転直径:12.5m
ブレーキ
前:374mm通気冷却式ディスク
後:通気冷却式ディスク(サイズ非公表)
制御装置:ABS
ハンドブレーキ:電気式・自動(センターコンソールにスイッチ配置)
静粛性
アイドリング:-dBA
全開走行時(145km/h):71dBA
48km/h走行時:56dBA
80km/h走行時:62dBA
113km/h走行時:65dBA
安全装備
ABS/DSC/ATC/DTC/ARB/DCD/HDC
Euro N CAP:テスト未実施
乗員保護性能:成人-%/子供-%
交通弱者保護性能:-%
安全補助装置性能:-%
発進加速
テスト条件:湿潤路面/気温5℃
0-30マイル/時(48km/h)2.0秒
0-40(64):2.7秒
0-50(80):3.4秒
0-60(97):4.1秒
0-70(113):5.1秒
0-80(129):6.2秒
0-90(145):7.6秒
0-100(161):9.1秒
0-110(177):11.0秒
0-120(193):13.2秒
0-130(209):16.2秒
0-402m発進加速:12.5秒(到達速度:188.1km/h)
0-1000m発進加速:-秒(到達速度:-km/h)
ライバルの発進加速ライバルの発進加速
ポルシェ・タイカン・パフォーマンスパックプラス(2021年)
テスト条件:湿潤路面/気温5℃
0-30マイル/時(48km/h):2.5秒
0-40(64):3.3秒
0-50(80):4.2秒
0-60(97):5.1秒
0-70(113):6.1秒
0-80(129):7.4秒
0-90(145):9.1秒
0-100(161):10.9秒
0-110(177):12.7秒
0-120(193):14.9秒
0-130(209):17.5秒
0-402m発進加速:13.4秒(到達速度:182.2km/h)
0-1000m発進加速:23.5秒(到達速度:231.3km/h)
キックダウン加速
20-40mph(32-64km/h):1.4秒
30-50(48-80):1.4秒
40-60(64-97):1.5秒
50-70(80-113):1.8秒
60-80(97-129):2.1秒
70-90(113-145):2.5秒
80-100(129-161):3.0秒
90-110(145-177):3.4秒
100-120(161-193):4.0秒
110-130(177-209):5.2秒
制動距離
テスト条件:湿潤路面/気温5℃
30-0マイル/時(48km/h):10.8m
50-0マイル/時(64km/h):30.1m
70-0マイル/時(80km/h):61.4m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:3.48秒
ライバルの制動距離ポルシェ・タイカン・パフォーマンスパックプラス(2021年)
テスト条件:湿潤路面/気温5℃
30-0マイル/時(48km/h):9.9m
50-0マイル/時(64km/h):27.2m
70-0マイル/時(80km/h):54.0m
結論 ★★★★★★★★☆☆
メルセデスやフォルクスワーゲン、はたまたボルボと違って、BMWはここまで、全面電動化を表明していない。それだけに彼らが、少なくとも日常使いにおいてはいまのところもっとも万人受けしそうな基幹EVといえるi4を生み出したことが、かえって印象的に思える。
その最上位モデルで、ポルシェ・タイカンすら打ち負かしそうなM50を今回テストしたわけだが、これはラインナップ最高のグレードではないかもしれない。ベストチョイスは、もっと低価格で気楽に運転でき、航続距離も長いeドライブ40だろう。
そうはいっても、ライバルたちに比べれば洗練性やパフォーマンス、ハンドリングの安心感や使い勝手において、ささやかながらも勝っている。SUVではないプレミアムEVを探しているユーザーにとっては、間違いなく最有力候補の登場だ。
真剣に購入を検討するとなれば、モデル3やタイカンを排除して一択、というわけにはいかないだろう。テスラのスーパーチャージングネットワークや、ポルシェの秀逸なハンドリングは無視できないだけに、目移りしてしまうかもしれない。
もう少し軽くて、フィールがあって、航続距離も長ければ、3シリーズ・セダンや4シリーズ・グランクーペの上級グレードと比較検討する対象になれたかもしれない。とはいえ、それも時間の問題ではないかと思われる。少なくとも現時点では、それを目指すBMWの意思表明だと思っておこう。
担当テスターのアドバイス
リチャード・レーン本格量販EVに着手するにあたり、4ドアを選ぶことには意味を見出せる。とはいえ、4ドア・グランクーペのボディで造ることができるなら、2ドアクーペにもできるはずだ。そうなれば、本当に商品力の高い電動GTが完成するだろう。
マット・ソーンダースBMWはおみごとだ。どことはいわないが、ICE用プラットフォームをEV化して、あらゆる妥協に屈しているメーカーもある。ところがi4は、それらよりずっとEVとしての独自性があって、完成度も高い。
オプション追加のアドバイス
そもそも、M50が必要かどうか熟考する必要がある。事実、eドライブ40はもっとバランスに優れ、イージーに走らせられるドライバーズカーだ。装備面では、コンフォートパックとMスポーツ・フロントシートがおすすめだ。
改善してほしいポイント
・リア周りの視覚的なボリューム感を、多少削ぎ落としてほしい。フロントについては、もっとエレガントにできる余地が十分にある。
・OEMタイヤの選択は、再考の余地あり。現在のタイヤは、ウェットブレーキングで食いつきが足りない。
・スロットルペダルの踏みしろをもう少しだけ増やしたら、ロードカーとしてよりよいものになるはずだ。
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みんなのコメント
加速性能に比例した凄みのあるデザインは好みが別れると所だがこれはこれでイイんじゃね