現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 快適性を犠牲にしたっていい! BMWが「フロントミッドシップ」にこだわる理由とメリット

ここから本文です

快適性を犠牲にしたっていい! BMWが「フロントミッドシップ」にこだわる理由とメリット

掲載 更新 52
快適性を犠牲にしたっていい! BMWが「フロントミッドシップ」にこだわる理由とメリット

BMWはシリンダー数よりもエンジン搭載位置が魅力

 BMWといえば、シルクのような滑らかな回転フィーリングからシルキー6と呼ばれる直6が代名詞だ。今では遠くなったバブル期に「六本木カローラ」と揶揄されたE30型3シリーズがそうであるし、後継のE36型やE46型でも直6エンジン搭載車が主流だった。

中古価格がジワジワ高騰中! 最後の自然吸気シルキー6「E46型M3」を今買わないと一生後悔するワケ

 ところがBMW=直6という常識を覆すモデルがあった。それがMT仕様でE36型に設定されたクーペの318iS(1.8L/後期型1.9L)やE46型の320iである。これには当然、BMWジャパンの戦略(どれが売れて利益を出せるのか)もあるのだと思うが、BMWの直4モデルには直6モデル以上の魅力があるのだ。それはエンジンの搭載位置に関係している。

 BMWには直4から直6、V8やV12まで幅広いエンジンをラインアップがあるが、基本的にエンジンの搭載位置は車体中央、室内側に張り出した位置に搭載されている。つまり直4であればフロントミッドシップでフロントサスペンションよりもキャビン側に収まるように搭載される。

重量物をより車体中央に積める直4はハンドリングに優れる!

 これは直6を積んでも前後重量配分が50:50になるための搭載方法なのだが、エンジン本体がコンパクトな直4なれば、フロントサスペンションよりも前にエンジンという重量物を置かなくて済むこと。このメリットは大きくクルマの前方に重量物があれば慣性の法則で運動性能が損なわれるからだ。

 もちろんFFであれば、前輪にトラクションがかかりやすくて直進性能が高まるといったメリットも出てくるだろうが、FRのBMWであればハンドリング面においてデメリットしか出てこない。つまりBMWの直4はできるだけ重たいものを車体中央に位置することで、優れたハンドリングを実現するための手段となるわけだ。

 それゆえにE36型ではローパワーの直4にスポーティな走りを楽しめるMTを設定したのであろう。こうした判断は正しく、確かにE36型の直4はMT仕様の人気も高かったし、後継モデルのE46型やE90型でも直4モデルのMT仕様が設定されていた。つまりBMWが考えるMTスポーツは、重量物が車体中央にあってこそのMTであることが伺える。

 極端なことを言えば、前後のバンパーに重りを積めば前後重量配分50:50は実現できる。しかしこの方式だと前述したとおり慣性の法則が働いて、スポーティな走りは叶わないだろう。それゆえ、BMWは車体中央に重量物を詰め込んだ50:50こそ、BMWスポーツの神髄だとラインアップを続けてきたワケだ。

 もちろんデメリットもある。同クラスのFF車と比べれば室内は狭くなる。同じFRでも、エンジンを車内側に近づけるほどトランスミッションが張り出し、室内は狭くなる。だがBNWは頑なだ。すでに過去のキャッチフレーズになってしまったが「駆け抜ける歓び」をアイコンとして発信し続けたBMWは、車体の前方や後方を軽くして重量物を車体中央に集めた重量バランスで、運動性に優れたスポーツサルーンを作り続けてきた。

フロントミッドへのこだわりがBMWの真髄

 BMWは一貫してこの法則を続けている。それは現在発売されているモデルにも通じるし、おそらくトヨタがスープラの共同開発にBMWを選んだ理由でもあるだろう。現在はEVやハイブリッドに注目が集まり、BMWもiシリーズやハイブリッドモデルもラインアップしている。だがそんななかでもスポーティなブランドイメージを確保し続けているのは、速さだけではなくドライブが楽しいと言えるドライバーの要求に応えているからだろう。

 これは余談だが、BMWはドイツの有名なサーキットであるニュルブルクリンクで開発テストを続けているが、なんとBMWはニュルのとあるコーナーをBMW車が走行してコーナーを立ち上がる際の姿勢を評価する役員がいるらしい(編集部注:諸説あり)。コーナーを駆け抜けるときのクルマの姿勢(見え方)にもこだわる。これが真実であれば、ブランドというのは本当に細部に宿るのだと感じさせてくれる。

文:Auto Messe Web 『Auto Messe Web編集部』
【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

ダイハツ販売会社で導入率50%突破、シンカの「カイクラ」…AI機能で顧客対応を効率化
ダイハツ販売会社で導入率50%突破、シンカの「カイクラ」…AI機能で顧客対応を効率化
レスポンス
「ツイーター」だけを追加 or 交換するのもアリ! さらには…?[お金をかけずにサウンドアップ]
「ツイーター」だけを追加 or 交換するのもアリ! さらには…?[お金をかけずにサウンドアップ]
レスポンス
まさかの「トヨタ再登板」自工会が次期体制を発表 トヨタ佐藤社長が会長へ…新7つの重点課題とは
まさかの「トヨタ再登板」自工会が次期体制を発表 トヨタ佐藤社長が会長へ…新7つの重点課題とは
ベストカーWeb
F1タイトル5連覇を逃したフェルスタッペン、2026年のパーソナルナンバーを決定。以前の『33』には戻さず……『69』の使用は断念したみたい
F1タイトル5連覇を逃したフェルスタッペン、2026年のパーソナルナンバーを決定。以前の『33』には戻さず……『69』の使用は断念したみたい
motorsport.com 日本版
建築家・田根剛が語るハンス・ウェグナーの美学──「織田コレクション ハンス・ウェグナー展」
建築家・田根剛が語るハンス・ウェグナーの美学──「織田コレクション ハンス・ウェグナー展」
GQ JAPAN
価格85万円! トライアンフ「“新”カフェレーサー」予約開始! レトロな丸目ヘッドライト&スポーティな低いハンドルを採用 「スラクストン400」登場
価格85万円! トライアンフ「“新”カフェレーサー」予約開始! レトロな丸目ヘッドライト&スポーティな低いハンドルを採用 「スラクストン400」登場
くるまのニュース
ジョルダン、デジタル庁の認証アプリ活用…住民・観光客の属性確認が可能なモバイルチケット開発
ジョルダン、デジタル庁の認証アプリ活用…住民・観光客の属性確認が可能なモバイルチケット開発
レスポンス
マンガ大好き! マーベル・コミックを愛するオコン、年内にも新しいプロジェクトを発表すると示唆「忘れずにチェックしておいて」
マンガ大好き! マーベル・コミックを愛するオコン、年内にも新しいプロジェクトを発表すると示唆「忘れずにチェックしておいて」
motorsport.com 日本版
「ブルーインパルス」のルーツはライト兄弟が作った!?「歴史上の偉人」が生んだ知られざる「初めて」(後編)
「ブルーインパルス」のルーツはライト兄弟が作った!?「歴史上の偉人」が生んだ知られざる「初めて」(後編)
乗りものニュース
トヨタ「8人乗りSUV」に注目! カクカクデザインדラダーフレーム”採用! 430馬力超えの高性能マシン! 上質インテリアがめちゃ快適な「最新セコイア」米国仕様がスゴい!
トヨタ「8人乗りSUV」に注目! カクカクデザインדラダーフレーム”採用! 430馬力超えの高性能マシン! 上質インテリアがめちゃ快適な「最新セコイア」米国仕様がスゴい!
くるまのニュース
トヨタ輸送、「カオナビ」のタレントマネジメントシステム導入…人材情報の一元管理を実現
トヨタ輸送、「カオナビ」のタレントマネジメントシステム導入…人材情報の一元管理を実現
レスポンス
JR東日本、新幹線予約とタクシー配車を連携…高崎駅で全国初の実証実験へ
JR東日本、新幹線予約とタクシー配車を連携…高崎駅で全国初の実証実験へ
レスポンス
キアの新世代商用EV『PV5カーゴ』、フル積載で航続693.38km達成…ギネス新記録
キアの新世代商用EV『PV5カーゴ』、フル積載で航続693.38km達成…ギネス新記録
レスポンス
ビームスから野村訓市氏を擁するトリップスターによる新作“紳士服のディッキーズ”が登場!
ビームスから野村訓市氏を擁するトリップスターによる新作“紳士服のディッキーズ”が登場!
GQ JAPAN
軽EVの本命対決!! 新登場のホンダ N-ONE e:は 元祖軽EVの日産 サクラに勝てる?
軽EVの本命対決!! 新登場のホンダ N-ONE e:は 元祖軽EVの日産 サクラに勝てる?
ベストカーWeb
大幅改良された三菱 デリカD:5を2026年1月に発売開始
大幅改良された三菱 デリカD:5を2026年1月に発売開始
Webモーターマガジン
2025年がもっとも輝いた夜──「GQ MEN OF THE YEAR 2025」授賞式&パーティをレポート
2025年がもっとも輝いた夜──「GQ MEN OF THE YEAR 2025」授賞式&パーティをレポート
GQ JAPAN
【限定】ホンダ新型「スーパーカブ110」登場! コンビブレーキと新色採用、さらに特別装備の「富士山エディション」も!【海外】
【限定】ホンダ新型「スーパーカブ110」登場! コンビブレーキと新色採用、さらに特別装備の「富士山エディション」も!【海外】
WEBヤングマシン

みんなのコメント

52件
  • クラッシャブルゾーンも稼げるしね。
    しかしターボ化がしっくり来な無かったなぁ水回りが特に弱い。
    NAストレート6だよなあ。
  • FRにはこだわって欲しかった。
    高出力に伴うAWD化はしょうがないにしてもFFにはガッカリ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村