インペリアル単位の心地よさとは?
ホイールベースの長さとボディ型式の違いをインチ表記、つまり英国式の帝国単位によって「90/110/130」と呼び分けるのは、ランドローバーの伝統。
【画像】ディフェンダー130の内装/デザインを見る【8人乗り仕様】 全23枚
とはいえ「ディフェンダー」というペットネームを名のることになった1991年以前は、「130」ではなく、むしろ「127」だった。
いわば127(=約3226mm)は、1980年代半ばに追加された積載量拡充用のラダーフレーム・シャシーで、ダブルキャブのピックアップトラックかユーティリティ・バンだった。
ようは1991年を境にキリよく四捨五入気味に「130」と呼ばれるようになったものの、それこそディフェンダー・ファミリーの中でもっともヘビーデューティな仕様だったのだ。
それが型式L663を与えられた現行世代ディフェンダーとして、先行する90と110に続いて昨年「130」を加わった訳だが、日本の路上で実車を目の前にすると、さすがに隔世の感がある。
試乗車はファーストエディションでカタログモデルでいうSE相当だが、130限定カラーというセドナレッドの塗装クオリティからしてユーティリティ・バンらしからぬ仕上げの高さ。それが全長5275mmの巨躯でもって眼前に迫ってくる。実用的なギアには違いないが、品質感にシャビーさが一切ないのだ。
モダナイズされたヘビーデューティ
それにしても、スパっと切り落としたようなリアエンドの処理は、スペアタイヤケースが無かったらほとんどコーダ・トロンカといえる。
L663型に共通の、Cピラーを隠しつつボディサイドで視覚的アクセントになる正方形からリアエンドまで、つまりブラックアウトかつスムース化されたクォーターウィンドウが90や110より極端に長い訳だが、このモジュール感というかレゴ・ブロックのような後付けっぽさが、ディフェンダーという元祖クロカンを、今ドキのギア感で仕立て上げられたポイントだと思う。
じつは130のホイールベース3020mmは、呼称からイメージされるものとは裏腹に110のそれと変わらず、4945mmからボディのリアオーバーハングを330mmストレッチすることで、3名が掛けられる3列目シートと、最大2291Lまで拡大可能なラゲッジスペースを確保している。
つまり8名乗りで、2列目シートも3列目シートも40/20/40分割可倒式なので、後席とラゲッジのモジュール性は相当に高い。ちなみに130には同じくロングボディながら、2列シートの5名定員というラゲッジ重視の仕様「OUTBOUND」も登場した。
ここにも元祖ランドローバーの味
インテリア目線でも、エボニーという温かみある濃厚グレー色のウィンザーレザーが用いられシート表皮は高級感を感じさせ、ナノイーXまで備えた空気清浄システムプラスはスマートフォンから遠隔操作も可能となっている。
標準装備というパノラミックガラスルーフは前列シートだけでなく、3列目にも2つ目が備わり、洞窟かトンネルのような室内空間ではない。90や110と同じく、11.4インチのタッチスクリーンによるインフォテイメントシステム「Pivi Pro」も、洗練ポイントだ。
一方、いい意味で簡素でスポーティなシート自体の薄さや、ドアパネルやセンターコンソールのウッドパネルがヘックスのビス留めになっている辺りは、ほどよい「武骨さミックス」といえる。
だから、広々としてラグジュアリー化されたインテリアとはいえ、元祖ランドローバーや旧来のディフェンダーがもっていた兵員輸送車かサファリ探索ツアーのような趣が、漂わないこともない。
スカウトかレンジャーのようにキャンプしたい家族や、グランピング好きのワイルドなパリピ仕様にもなるだろう。そこが、新型ランクル・プラド辺りと、ジャンルは似るもテイストが異なるであろうところだ。
MHEVディーゼル 洗練と武骨が同居
ドライバーズシートに落ち着くとさすが全高1970mm、周りを見渡すと視線位置は、国産のミドルサイズ・ミニバンの屋根とほぼ同じレベルにあるほど、高い。
センターコンソールというよりは、ダッシュボードに寄せられた8速スポーツモード付きATは、レバーもパターンもオーソドックス。そして走り出せば、変速も滑らかで巨躯に似合わぬクセの少ないドライバビリティゆえ、意外なほどに操り易い。回転半径が6.1mに及ぶことすら、忘れそうだ。
最大の要因は、従来のフレームボディから「D7x」と呼ばれるアルミニウムモノコックに一新され、3倍の強度を与えられたというアーキテクチャそのものにある。
確かに「iAWD」という前後車軸のトルク配分を最適化する独自のシステムや、電子制御エアサスにブレーキによるベクタリングも備えるが、フロントにダブルウィッシュボーン式、リアにインテグラルマルチリンク式という4輪独立懸架サスを採用し、とくにフロントは最大430mmものストローク量を確保している。ようは体幹ごと四肢ごと強靭そのもので、インテリジェント制御し甲斐のありそうな、メカニカルとしてたっぷりのキャパシティがあるということだ。
今回は市街地や首都高のみでの試乗だったが、正直、48Vのスターター・ジェネレーターによるMEHVの効きは、2540kgの車重を前にゼロではなかろうが強く体感できるものではなかった。むしろD300という直6ディーゼルの、誠実かつスムーズな働きっぷりの方が印象的だ。
都会で見つけたブレない力強さ
アクセルの踏み込みに対して一拍おいてから、ヌルヌルと息の長いトルクが湧き出してくるフィールは、オフロードで柔らかい路面を優しく、しかし先読みしながら掻き続ける際に、頼りになるはずだ。
そこにテレインレスポンスの路面モード選択をあれこれ変えていると、インストルメンタルパネル内に駆動配分やデフロックやトランスファーの状態、各輪の荷重まで、アット・ア・グランスで見られる。
積載重量を含め、平時の都会では明らかにもて余すキャパがあることは確かだ。だが「インテリジェンス(情報)」をドライバーに集めては、制御に駆使する構えを怠らない、もっといえば指揮されるためのスタンバイぶりが、さすがMI6とか007の国の、ヘビーデューティ・クロカンといえる。
ようは制御システムやプログラムが第一義では、インテリジェントな一台にはならない、そういうデジタル<アナログの感覚を、ギリギリ感じさせてくれる。
そんなアウトプットの方向性と世界観のブレ無さこそ、都会で退屈とスマートを極めた現代人に気持ちいいはずだ。
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