ランボルギーニと手を組んだBMW
歴史好きのクルマ好きにとって、1978年のBMW M1は忘れることのできない名車だろう。特徴のひとつひとつに、語れるような物語がある。ミドシップされたエンジンだけ見ても、レーシングカー仕様と同じ名機、3.5L 直列6気筒M88型ユニットなのだから。
【画像】公道を走るレーシングカー BMW M1 ミドシップのi8 Mの原点といえるCSLも 全119枚
BMW M1は、ツーリングカー・レースで戦うために開発が進められた。ターボで過給しグループ5カテゴリーで暴れまわる、ポルシェへ対抗するために。ドイツ初となる、量産のミドシップ・スーパーカーでもあった。
しかし、1970年代後半のBMWにはミドシップ・シャシーの開発が難しく、手を結んだのはイタリアのランボルギーニ。BMWがエンジンを供給するカタチが取られたが、生産に手間取り、最終的にはドイツのバウア社へ製造が任された。
職人の手で組み上げられた直列6気筒DOHCエンジンは、見事なシンフォニーを奏でた。右足へ力を込めれば、自然吸気らしく激しい空気の唸りが車内へ響いた。
最高出力は公道仕様で277psを発揮し、0-100km/h加速時間は5.8秒。最高速度は257km/hがうたわれた。このM88型ユニットは改良を受け、後にE28型BMW M5とM635CSiへも搭載されている。
エンジンは扱いやすく、BMW M1は当時としては稀有な普段使いできるスーパーカーでもあった。チーターへ手綱を付けて、散歩させるようなものだったかもしれないが。
ジウジアーロによる見事なスタイリング
インテリアは文化的。デザインが凝りすぎることはなく、それでいて特別感を醸し出す個性も備わる。シートはツイード張りで、ダッシュボードのスイッチにはドイツ語で機能が振られていた。
ドアは重厚な音を立ててしっかり閉まった。一般的なモデルから乗り換えても、違和感の小さいキャビンだといえる。
ロードマナーも優秀。路面が荒れていても、乗り心地に我慢する必要はなし。サスペンションは煮詰められ、高速域でもひたひたと路面を掴み続けた。
トランスミッションは、ドッグレッグ・パターンの5速マニュアル。ステアリングホイールへは路面やタイヤの情報が豊かに伝わり、シャシーとのコミュニケーションは取りやすかった。
この素晴らしいパッケージングを包み込んだのが、ジョルジェット・ジウジアーロ氏による見事なスタイリング。空力特性に優れ、エアインテークが最低限に開けられ、カンパニョーロ・ホイールが足元を引き締めた。
BMW M1と聞くと、ホワイトのボディを思い浮かべる読者も多いかと思うが、オレンジやレッドも良く似合う。比較的落ち着いた雰囲気のインテリアと、好対照を生み出す。
スタイリングはラテン系で、確かにドイツ車というよりイタリア車のような雰囲気を持つ。だが、それも魅力だろう。リアのバットレス後端に並ぶBMWのエンブレムで、ランボルギーニに誤解されることを防いでいる。
マニア垂涎の公道を走るレーシングカー
レース前提で生まれたBMW M1ではあったが、倹約的な直列6気筒エンジンは信頼性に難があり、どちらかといえばサーキットより公道の方が相性は良かった。しかし燃費が優れるわけではなく、修理部品は高額でもあった。
生産期間は3年と短く、477台に留まった。一時は多くの人の記憶から消えたスーパーカーになったが、近年は再び注目が高まり、少ない台数と相まって価値は確実に上昇中。公道を走るレーシングカーとして、マニア垂涎の1台になっている。
現在は修理部品の入手が非常に難しく、維持自体が難しい状態にある。しかし、一度は運転してみたい特別なBMWだといえる。
新車時代のAUTOCARの評価は
BMW M1は、ドライバーとマシンとが一体になった、特別な感覚を与えてくれる。レース前提の設計が施されつつ、偶然にも素晴らしいロードカーが誕生したようだ。過去最高のミドシップ・モデルといってもいい。(1980年9月13日)
購入時に気をつけたいポイント
メンテナンス間隔
現在残っているBMW M1は、2台として同じものはないと考えていい。専門ガレージによる、完璧な整備記録が残っていることを確かめたい。過去に生じた不具合も、一式精査するべきだろう。
修理部品の入手は難しく、別注での制作が必要なアイテムも多い。維持自体が難しい。
エンジン
コレクターズカーとして、殆ど乗られていない例が少なくない。そのため、不具合が出るような距離を重ねていないことも一般的。長期間エンジンを掛けないで過ごしてきた場合は、安易に始動しない方がいいだろう。内部を傷つけてしまう。
ステアリング
BMW初となる、ラック&ピニオン式のステアリングラックを装備している。特に低速域では、滑らかにステアリングホイールを回せるのが正常。違和感があるなら、整備不良を疑いたい。
ボディとシャシー
既に40年前のモデルなだけに、各部のサビは想定内。ハーネス類の状態もチェックポイント。ボディトリムや部品をバラす場合は、割れないように慎重に行いたい。
ロゴ
BMW M1では、ロゴの一部で品質に問題があった。トリカラーのストライプの間隔が不揃いで、Mの文字の位置も狂っていることがある。事前にチェックしておきたい。
専門家の意見を聞いてみる
ケビン バード氏:バーズBMW社テクニカルディレクター
「BMWが作ったフェラーリといえるクルマです。運が良ければ、BMW水準の信頼性で楽しめますが、基本的には当時のフェラーリに近いと思います」
「近年の価格は、カーコレクターによる投資目的の値動きです。安くはないので、事前に詳細な状態と履歴を確認することが不可欠ですね」
知っておくべきこと
BMWは倉庫整理のためにM1のスペアパーツを所有しておらず、製造もしていない。現在、多くの部品はドイツか中国の委託工場から調達することになる。古いBMWを扱う専門店では、すべての状態を確かめるために車両を1度バラすこともあるという。
M1を日常的に運転するなら、メンテナンス費用として年間5000ポンド(約83万円)ほどの予算立てをしておきたい。可能ならダイアグノーシスを用意し、頼れる整備工場も見つけておきたいところ。
英国ではいくら払うべき?
30万ポンド(約4980万円)~49万ポンド(約8299万円)
8万kmから16万kmほどの走行距離を持つ、レストアされたM1を英国では探せる価格帯。ボディキットやスポイラーが前オーナーの好みで追加された例もある。ある程度の整備も前提となる。
50万ポンド(約8300万円)~59万ポンド(約9959万円)
走行距離の8万km以下のM1が出てくる。執筆時には4200kmという例もあった。多くがレストアを過去に受けており、仕様は様々。オリジナル状態のものも発見できた。
60万ポンド(約9960万円)以上
オリジナル状態のM1を探せる価格帯だが、殆ど流通していない。ガレージで保管されてきた例が多い。走行距離が長い場合は、価格を釣り上げていると疑いたい。
英国で掘り出し物を発見
BMW M1(英国仕様) 登録:1979年 走行距離:7万800km 価格:54万9439ポンド(約9120万円)
M1としては平均的な走行距離。適度な頻度で走行してきたと考えられ、状態は良いはず。過去の整備記録をさかのぼり、不具合の履歴はしっかり確認したい。
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
トヨタ本気の「小さな高級車」に驚きの声! めちゃ豪華な「本革×本木目」内装を採用! 小型車に「クラウン品質」取り入れた“直列6気筒エンジン”搭載モデルに反響あり!
「娘友達を乗せたらベルト未着用で捕まりました。ママ達は笑うだけで謝りません。不快です」投稿に回答殺到!?「感じ悪い」「でも貴女は命を預かってる」大激論に…悪いのは誰なのか
「日本一大きい交差点」立体化完成いよいよ“秒読み段階”へ!? 「合計40車線」で“大渋滞エリア”の仙台バイパスに悲願の高架道路
トヨタ『ランドクルーザー』リコール…ドライブシャフト不良、走行不可能になる恐れ
約100万円! トヨタ最新「軽トラック」は使い勝手サイコー! 斬新モデル「エクストラ」は“豪華装備”がすごい! めちゃ「過酷な環境」で愛用される“超タフ軽トラ”の魅力とは!
「娘友達を乗せたらベルト未着用で捕まりました。ママ達は笑うだけで謝りません。不快です」投稿に回答殺到!?「感じ悪い」「でも貴女は命を預かってる」大激論に…悪いのは誰なのか
ミツオカの新型「M55」が808万5000円で申込受付開始! 2025年モデルは100台限定で6MTのみ…全国のミツオカ販売拠点へ急げ!
「狭い道で『歩道に乗り上げることをマナー』だと勘違いしている人がいます」 そもそも歩行者からは邪魔です。 交通違反で取り締まりを受けないのですか。
6速MTあり! 660ccの新型「軽量スポーツモデル」初公開! 超パワフルな「81馬力」エンジン搭載した「2シーター仕様」が発表! 爆速の「新型タイガースポーツ660」来年2月に発売へ!
日産『エルグランド』、15年目の大変身へ! 燃費倍増も、BEV化はおあずけ?
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
なかなか難しかったようで 当初はランボルギーニで?設計とか
させてたのでしたっけ?
直6をミッドに積むのも大変でしたでしょうしね
基本設計はフォード40GTを設計した人でしたでしょうか?