現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 韓国最大メーカー「ヒョンデ」の戦略!! 釜山モーターショーで見えた狙いと特徴

ここから本文です

韓国最大メーカー「ヒョンデ」の戦略!! 釜山モーターショーで見えた狙いと特徴

掲載 34
韓国最大メーカー「ヒョンデ」の戦略!! 釜山モーターショーで見えた狙いと特徴

 韓国第二の都市釜山(プサン)で開催された「釜山インターナショナルモーターショー」は2022年7月中旬の7日間、市内のBEXCというメッセ会場で行なわれた。以下、現地を取材した石川真禧照氏によるレポートをお届けします。

文、写真/石川真禧照、ヒョンデ

韓国最大メーカー「ヒョンデ」の戦略!! 釜山モーターショーで見えた狙いと特徴

■チェスと将棋の駒のカタチの違い

「釜山インターナショナルモーターショー2022」の会場は、6つの催し物会場で構成されていた。期間中にはオフロードコースや市販車試乗会、クラシックカー走行会、オートバイ試乗会などが行なわれ、来場者は実体験でクルマの楽しさを味わえるイベントに仕上がっていた。

写真はヒュンデ(現代自動車)ジェネシスG70 シューティングブレイク。全長4685×全幅1850×全高1400mm。2Lと3.3Lガソリン使用があり、価格は4310万ウォン(約430万円)から

 クルマの展示は1、2ホール。会場内に入ってみると新車メーカーのほかにEV専用メーカー、チューニングカーメーカー、クラシックカー販売業者などがブースを構えていた。規模は違うが東京モーターショーとオートサロンとオートモビルカウンシルが一体となったモーターショーという印象だ。ただし規模感は日本のショーの1/4ぐらい。会場はじっくり見学しても3時間もかからない。

 とくに自動車メーカーは、ヒョンデグループとBMWグループが展示スペースを確保しているだけ。実際に、韓国では自国資本の自動車メーカーは(現在は)ヒョンデだけ。ブランドでいうとヒョンデ、ジェネシス、キアの3ブランドなのだ。

 今回のショーではBMWグループがBMWのほかにMINIとロールスロイスの3ブランドを別のスペースに展示していた。BMWは韓国市場にも力を入れているということだ。

 会場は入口を入ると左右にヒョンデとキア、奥にBMW/ミニとジェネシスが大きく陣取るというレイアウト。ちなみにジェネシスというのはヒョンデの高級ブランド。トヨタのレクサスのような存在。キアはファミリー向け大衆車ブランド、日産のダットサンのような位置付けと思えばよいだろう。

 日本ではほとんど知られていないが、ヒョンデ、ジェネシス、キアともにセダン、SUVなどを販売している。サイズも日本の軽自動車のような軽車(排気量1.0L以下)にはじまり、小型車(排気量1.0L~1.5L)、準中型車(同1.5~2.0L)、中型車(同1.5~2.5L)、準大型車(同2.4~3.5L)、大型車(同2.5~5.0L)と幅広い車種が生産されている。ただし、クーペやコンバーチブル、スポーツカーは生産していない。韓国のモータリゼーションがそこまで成熟していないからだ。

 近年では電気自動車にも力が入っているようで、ショー会場では既存モデルのEV車やEVのショーモデルも展示され、話題になっていた。

 筆者にとって大半のクルマが初対面だったが、ボディデザインはかなり斬新であったり、工作精度もしっかりとした感じのクルマが多い。とくにボディデザインに関しては、日本車よりも個性を生かすようなデザインが多く見られた。かつては日本車的なデザインのクルマも多かったが、最近の韓国車は、ドイツやアメリカ車とは違う方向性のデザインを取得したような気がする。

キア「スポルテージHEV」。フロントマスクが特徴的

 ヒョンデは2000年代後半にアウディやBMWからチーフデザイナークラスを引き抜き、デザイン部門の責任者にしている。その効果が、市販車に表れている。
 デザインに関しては、今回の取材のなかで、ヒョンデの車に関して、最近のヒョンデ車のフロントマスクは、全車に同じイメージの形を揃えるのではなく、それぞれの性格に合ったフロントマスクをつくる、という旨の発言をしている。

 それは例えていうと、チェスはそれぞれの駒が異なる形をしており、それで全体を構成しているのと同じだ。一方、日本の将棋の駒はすべて同じ形をして、それぞれの役目を持っている。グリルが共通というヨーロッパ的な考えから距離を保った考え方と言える。日本車もどちらかというと、全車同じ方向性のグリルで統一しようとしている。独自の表現で進んで行こうというのが、ヒョンデの最近のデザインテイストに関しての日本車との違いだ。

 そのことを如実に表したのが、アイオニックシリーズだ。

■日本でヒットを狙うが「強力なセールスポイント」が必要

 最新のヒョンデのクルマで「アイオニック」という名前を持つシリーズは、すなわちEVのことを表している。

 日本でも販売を開始したアイオニック5がその第1号だ。

 今回の釜山インターナショナルモーターショーの目玉のひとつに、アイオニックシリーズ第2弾のワールドプレミアがあった。世界で初めて新型車を公開するということだ。

 発表は午前11時。ショー会場のヒョンデブースには10時ごろから韓国メディアが多く会場に陣取っていた。

 ハデなステージ演出の中でクルマが登場。ヒョンデモーターカンパニーの社長が自らハンドルを握って、舞台に走り出して来た。「アイオニック6」の登場だ。

 この新EVは4ドアのセダン形状をしていた。全体のフォルムは、曲面を多用した、どちらかといえば、卵型のセダンだ。

釜山モーターショーで世界初公開された、ヒョンデ初のEVセダン「アイオニック6」

 直線を主体としたアイオニック5とはまったく異なるデザインをしている。これがヒョンデのいうチェスのような車種体系なのだろう。

 ショー見学の前日、ナムヤンにあるR&Dセンターを訪問したとき、デザインスタジオで、何台かのプロトタイプモデルが並べられてあった。そのなかには、今後、日本への展開も考えているモデルもあり、日本向けへのアドバイスも求められた。 

 なかには魅力的なモデルもあったが、日本車との競合となると、強力なセールスポイントが不可欠。現時点ではそれがどこのあるのか、見出すのがむずかしい。

 確かにアイオニック5はクルマのクオリティも高いし、EVとしての性能も、同じカテゴリーのトヨタbZ4Xやスバルソルテラよりも上だ。スタイリングも室内のデザインも個性的だし、先進技術も新しい。価格も国産EVと十分に競争できる。

 でもいい車が売れるとは限らない。ユーザーが購入する動機がポイントになる。オンライン購入した後のサービスやメンテナンス、さらにリセールなど気になることはいくつかある。こうしたことを解決するのは時間かPRへのお金の掛け方だろう。

 果たしてヒョンデは日本市場でEV先駆者のテスラを上回ることができるか。7月には中国の自動車メーカー大手のBYDもEVでの日本市場参入を2023年から行なうことを発表した。日本市場でのEV戦争は激しさを増していきそうだ。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

メルセデスベンツ、新型EVバス『eIntouro』発表…欧州初の無線更新可能なバスに
メルセデスベンツ、新型EVバス『eIntouro』発表…欧州初の無線更新可能なバスに
レスポンス
ホンダ新型「N-BOX」登場! 史上初「映える」凄い“オシャ内装”採用! めちゃ便利な「画期的な機能」も搭載! リラックスできて“テラス気分”な「軽バン」とは?
ホンダ新型「N-BOX」登場! 史上初「映える」凄い“オシャ内装”採用! めちゃ便利な「画期的な機能」も搭載! リラックスできて“テラス気分”な「軽バン」とは?
くるまのニュース
ダイハツ、タフトを一部改良 法規対応で安全装備を追加 価格は6%値上げ
ダイハツ、タフトを一部改良 法規対応で安全装備を追加 価格は6%値上げ
日刊自動車新聞
「中古車を買いに来たら『支払総額表示』で売ってくれませんでした、詐欺ですよね?」 「別途費用が必要」と言われることも…! 苦情絶えないトラブル、どんな内容?
「中古車を買いに来たら『支払総額表示』で売ってくれませんでした、詐欺ですよね?」 「別途費用が必要」と言われることも…! 苦情絶えないトラブル、どんな内容?
くるまのニュース
どんな違いがあるのか!? 通常モデルとは違う仕様が用意されている中型バイク3選
どんな違いがあるのか!? 通常モデルとは違う仕様が用意されている中型バイク3選
バイクのニュース
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
レスポンス
写真で見るニューモデル 光岡「M55ゼロエディション」
写真で見るニューモデル 光岡「M55ゼロエディション」
日刊自動車新聞
旧ビッグモーター、車両の修理不正もビッグに8万件、補償総額数十億円も[新聞ウォッチ]
旧ビッグモーター、車両の修理不正もビッグに8万件、補償総額数十億円も[新聞ウォッチ]
レスポンス
フェルスタッペンとのタイトル争いは“敗北濃厚”も……今季の戦いで自信深めたノリス「優勝争いに必要なものを持っていると言えるようになった」
フェルスタッペンとのタイトル争いは“敗北濃厚”も……今季の戦いで自信深めたノリス「優勝争いに必要なものを持っていると言えるようになった」
motorsport.com 日本版
フェラーリ『ローマ』後継の新型スーパーカー、車名は『アマルフィ』が最有力!
フェラーリ『ローマ』後継の新型スーパーカー、車名は『アマルフィ』が最有力!
レスポンス
注目が集まる角田裕毅の2025年シート「僕はレッドブルの一員なのでここにいます。ホンダとは話をしていません」
注目が集まる角田裕毅の2025年シート「僕はレッドブルの一員なのでここにいます。ホンダとは話をしていません」
motorsport.com 日本版
次の「黄バイ」はBMW? 首都高専用パトロールバイク「F900XR」がカッコ良すぎる!
次の「黄バイ」はBMW? 首都高専用パトロールバイク「F900XR」がカッコ良すぎる!
くるくら
まさかの「RAV4“軽トラ”」登場!? ド迫力の“真っ黒顔”がスゴすぎる! オフロード感強調の「SPIEGELカスタム」どんなモデル?
まさかの「RAV4“軽トラ”」登場!? ド迫力の“真っ黒顔”がスゴすぎる! オフロード感強調の「SPIEGELカスタム」どんなモデル?
くるまのニュース
これはクセスゴ!!  オーナー自作多数のホンダ「CT125・ハンターカブ」カスタム発見!!
これはクセスゴ!! オーナー自作多数のホンダ「CT125・ハンターカブ」カスタム発見!!
バイクのニュース
[15秒でわかる]アキュラ『ADX』新型…内外装はスポーティかつ高級な印象に
[15秒でわかる]アキュラ『ADX』新型…内外装はスポーティかつ高級な印象に
レスポンス
アルピーヌは東京オートサロン2025で3台のA110を披露
アルピーヌは東京オートサロン2025で3台のA110を披露
カー・アンド・ドライバー
WRCラリージャパン2024が開幕、4日間の熱い戦い トヨタ逆転優勝なるか
WRCラリージャパン2024が開幕、4日間の熱い戦い トヨタ逆転優勝なるか
日刊自動車新聞
【スクープ!】AMG製電動スーパーSUVデビュー間近!メルセデスAMGが新型電動SUVを開発中!
【スクープ!】AMG製電動スーパーSUVデビュー間近!メルセデスAMGが新型電動SUVを開発中!
AutoBild Japan

みんなのコメント

34件
  • 欠陥車として既に脱落してますけど
  • >韓国最大メーカー「ヒョンデ」

    最大と言ってもヒョンデしかないでしょう。
    事故を起こしたら3分で炎に包まれる危険な車であることも記事にすべきでしょう
    っていうか日本人には全く興味がないメーカーでしょう。

※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村