現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > 初モノづくしながら大躍進のダンロップ、開発のカギは“嗅覚”/第3戦鈴鹿GT500

ここから本文です

初モノづくしながら大躍進のダンロップ、開発のカギは“嗅覚”/第3戦鈴鹿GT500

掲載 更新
初モノづくしながら大躍進のダンロップ、開発のカギは“嗅覚”/第3戦鈴鹿GT500

 ダンロップはGT500では1台(Modulo NSX-GT)のみという圧倒的に不利な状態で戦っている。最大勢力のブリヂストンの9台に比べ、データ量は単純計算で1/9だ。

 そのうえ今季はマシンが新車になっただけでなく、MRからFRへと大きく変化。さらにドライバーはふたりとも初めてのダンロップだし、そもそもそのうちのひとりは新人だ。

クインタレッリの一撃とタイヤで“攻めた”モチュールGT-R。逆襲は続くか【第3戦GT500勝因分析】

 “初めて尽くし”のこの状況では、タイヤ戦争が世界一厳しいスーパーGTで結果を出すのに1年以上かかることも考えられる。ところがわずか3戦目にして、圧倒的な速さで予選を制した。

 ダンロップと言えば、17年の第6戦鈴鹿1000kmで優勝したときを思い出す。当時のタイヤと関連性はあるのだろうか。開発責任者である安田恵直氏は言う。

「多少はありますが、金型も構造も配合も変わっています」

「昨年から開発を進めてきたものが今年の開幕戦にようやく投入できて、さらに2戦を経て配合のバランスが取れた。また、我々は高荷重サーキットが得意なので、それらが噛み合った結果です」

 7月に行なわれた鈴鹿でのテストでは2番手タイムをマークし、手応えをつかんでいたという。

 決勝は残念ながらピックアップが発生してしまい、本来の実力は出し切れなかったが、スタート前は「ドライであるならば」ロングにも自信があった。

 これだけの躍進の原動力となったのが、ベテラン伊沢拓也の存在だ。彼と一緒に仕事をした人間は、みなその開発能力を絶賛する。

「ウチに来る前から評判は聞いていましたが、初めての走行であるセパンテストですぐその能力の高さを感じました。さまざまなタイヤの特性に合わせて、その良さを引き出そうとしてくれるので、今後の方向性を決めやすく、結果にも出やすいですね」

 伊沢のセンシング能力は細かく、マシンの各症状ごとに「これはクルマ」「これはタイヤ」と、どこに起因するのかを嗅ぎ分けることができる。その才能が機能したことも考えられる。

 ここからはこちらの推測だが、過去、ライバルと差をつけられた原因を、「ダンロップだから」で片づけられてしまったこともあったに違いない。

 ひと口にマシン開発と言っても、エンジン、車体、空力、タイヤなど各分野に分かれている。ライバルに遅れを取っている場合、何がどれだけ足りないのかを切り分けて考えることは難しい。じつはクルマの案件でも、「タイヤが原因」とされてしまうこともあったのではないか。それがはっきりすれば、開発もしやすくなるはずだ。

 車体側も、性能アップしたタイヤに合わせたセットで持ち込まれた。

 今季からModulo NSX-GTのトラックエンジニアに就任した加藤祐樹氏によれば、「低荷重域をケアしつつ、高荷重域は伸ばす」方向だ。唐突なグリップ変化をなくしてデグラデーションを防止し、レーキは意外だが富士よりつけていない。

 ダンロップは高荷重は得意だが、低荷重が苦手。富士ではセクター3区間が弱く、その対策としてハイレーキにしていたのだ。だが鈴鹿ではリヤグリップがなくなることから、控えめにしたという。

 今後、ダンロップが上位に食い込むためには、低荷重域でのパフォーマンスアップが必要だ。

 その代表でもあるもてぎは次戦の舞台。そこではニュースペックを投入する予定だそうだ。その結果次第で、今後のタイヤ戦争はますます激化していくことになる。


【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

CATACLEAN(キャタクリーン)のガソリン添加剤 「パワーショットバイク 4本セット」をファインピースが取り扱い開始!(動画あり)
CATACLEAN(キャタクリーン)のガソリン添加剤 「パワーショットバイク 4本セット」をファインピースが取り扱い開始!(動画あり)
バイクブロス
ナイトロンからホンダ CL250(’23-)用リアショックアブソーバーが発売!
ナイトロンからホンダ CL250(’23-)用リアショックアブソーバーが発売!
バイクブロス
痛車イベントで地域活性化へ、長野県中野市で「痛車おたのもしゃんすーフェス」 11月4日
痛車イベントで地域活性化へ、長野県中野市で「痛車おたのもしゃんすーフェス」 11月4日
レスポンス
スーパーフォーミュラ富士公式テストがスタート。猛暑のセッション1は牧野任祐が唯一の23秒台で最速
スーパーフォーミュラ富士公式テストがスタート。猛暑のセッション1は牧野任祐が唯一の23秒台で最速
AUTOSPORT web
「カレラGT」を上回る「911 GT2 RS」は約4930万円で落札! 500台限定のポルシェの価値が上がるのはこれからの予感…
「カレラGT」を上回る「911 GT2 RS」は約4930万円で落札! 500台限定のポルシェの価値が上がるのはこれからの予感…
Auto Messe Web
良いセットアップにはドライビングの“軸”が必要。SFテスト初日からひとりロングランに取り組んだルーキー木村偉織の論理的アプローチ
良いセットアップにはドライビングの“軸”が必要。SFテスト初日からひとりロングランに取り組んだルーキー木村偉織の論理的アプローチ
motorsport.com 日本版
東京 山梨の「裏ルート」が大変化!? 中央道の迂回路 激セマ峠道→長大トンネルからの“夢の続き”進行中
東京 山梨の「裏ルート」が大変化!? 中央道の迂回路 激セマ峠道→長大トンネルからの“夢の続き”進行中
乗りものニュース
三菱「新型トライトン」の“走行性能”高すぎ!? まさに新型「パジェロ」な「本格4WD」! “三菱ラリーアート仕様”の実力とは
三菱「新型トライトン」の“走行性能”高すぎ!? まさに新型「パジェロ」な「本格4WD」! “三菱ラリーアート仕様”の実力とは
くるまのニュース
坪井翔がトップタイムでテスト締め括り。山本尚貴、佐藤蓮のNAKAJIMA RACING勢が続く|スーパーフォーミュラ富士公式テスト:セッション4タイム結果
坪井翔がトップタイムでテスト締め括り。山本尚貴、佐藤蓮のNAKAJIMA RACING勢が続く|スーパーフォーミュラ富士公式テスト:セッション4タイム結果
motorsport.com 日本版
トヨタ「ハイエース」の足元は「シンプルでゴツい」が今流! 16本と8本スポークの推しホイール「マッコイズRV5」「マッドヴァンス08」に注目です
トヨタ「ハイエース」の足元は「シンプルでゴツい」が今流! 16本と8本スポークの推しホイール「マッコイズRV5」「マッドヴァンス08」に注目です
Auto Messe Web
新紙幣千円札の裏側に描かれた作品に迫る。特別展「北斎グレートウェーブ・インパクト ―神奈川沖浪裏の誕生と軌跡―」【新着ドライブスポット】
新紙幣千円札の裏側に描かれた作品に迫る。特別展「北斎グレートウェーブ・インパクト ―神奈川沖浪裏の誕生と軌跡―」【新着ドライブスポット】
くるくら
モンキー50/スーパーカブ50などに適合するシリンダーヘッド「ハイレボリューションキットタイプ3」がシフトアップから発売!
モンキー50/スーパーカブ50などに適合するシリンダーヘッド「ハイレボリューションキットタイプ3」がシフトアップから発売!
バイクブロス
ビックカメラ大宮西口そごう店にて特定小型原付「RICHIBIT CITY」の体験試乗会+先行予約受付イベントが7/14・15に開催!
ビックカメラ大宮西口そごう店にて特定小型原付「RICHIBIT CITY」の体験試乗会+先行予約受付イベントが7/14・15に開催!
バイクブロス
レッドブル&HRC密着:ペレスのスピン、フェルスタッペンのコースオフ。“コプス”で苦戦しQ1で勝負がついた予選
レッドブル&HRC密着:ペレスのスピン、フェルスタッペンのコースオフ。“コプス”で苦戦しQ1で勝負がついた予選
AUTOSPORT web
F1スターのアロンソが望んだものをアストンが製造 38台限定モデル「アストンマーティン ヴァリアント」登場!
F1スターのアロンソが望んだものをアストンが製造 38台限定モデル「アストンマーティン ヴァリアント」登場!
AutoBild Japan
【フランス国旗の配色】 特別仕様車 シトロエンC3エアクロスSUVトリコロール・エディション
【フランス国旗の配色】 特別仕様車 シトロエンC3エアクロスSUVトリコロール・エディション
AUTOCAR JAPAN
たっぷり2日間、マツダ「MAZDA FAN FESTA 2024」開催…富士スピードウェイで10月19-20日
たっぷり2日間、マツダ「MAZDA FAN FESTA 2024」開催…富士スピードウェイで10月19-20日
レスポンス
【角田裕毅F1第12戦展望】天候を理由に大幅変更を断念も「最終的にはいいセットアップ」で戦えた予選。最終盤にQ1突破
【角田裕毅F1第12戦展望】天候を理由に大幅変更を断念も「最終的にはいいセットアップ」で戦えた予選。最終盤にQ1突破
AUTOSPORT web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2420.02794.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

600.03880.0万円

中古車を検索
NSXの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2420.02794.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

600.03880.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村