F1第7戦エミリア・ロマーニャGP初日のフリー走行で3番手だった好調な角田裕毅(RB)の走りは、2日目の土曜日も続いた。12時半からスタートしたフリー走行3回目、角田がコースインしたのはセッション開始から約20分後で、20人中最も遅かった。最後のフリー走行となるこのセッションは、セッション前半が金曜日から変更したセットアップの確認作業にあてられ、後半はソフトタイヤを履いて予選へ向けたタイムアタックの練習の場となる。
つまり、セッション前半をほとんどガレージで過ごしていた角田は、金曜日から大きくセットアップが変更していないことを意味していた。それでも、ミディアムタイヤを履いてコースインした角田は、トップ10内に入るタイムをマーク。依然として、競争力の高いマシンに仕上がっていた。
角田裕毅、今季ベストの予選7番手、Q2ではトップ3入り「マシンパフォーマンスは予想以上。自分自身には悔いが残る」
ただし、このフリー走行3回目で起きたハプニングによって、好調だった流れが少し変わってしまった。それはセッション後半にセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)がクラッシュし、赤旗が出されたことだ。ペレスがクラッシュしたのは残り10分を切って、全車ソフトタイヤを履いて最後のタイムアタックに入っていた午後1時24分だった。マシンはコースマーシャルの迅速な対応ですぐに撤去され、セッションは再開されたが、残り時間は2分間しかなかったため、角田は予選へ向けてのタイムアタックの練習をできないまま、13番手でセッションを終了することとなった。
それでも、この日の角田は予選に入ってもスピードが落ちることはなかった。Q1を4番手で通過した角田のスピードを見たチームは、Q2に向けてある戦略を立てた。それは、Q2の1回目のアタックでライバル勢のタイムを見てから、角田のアタックを1回にするか2回にするかを決めるというものだった。
予選開始前の段階で角田が使用できる新品のソフトタイヤは5セット。すでにQ1で2セット使用していたため、Q3に確実に進出するのならQ2で2セットのタイヤを使用すればいいが、そうなるとQ3では1セットしか残っていないため、上位進出は望めない。
しかしチームは、ライバル勢の1回目のタイムを見て、今日の角田なら、1セットのタイヤでQ2を突破できると判断したのだった。
その判断に角田も応え、角田は3番手でQ2を突破した。
これで角田は2セットの新品のソフトをQ3で使用できることとなった。角田の予選自己最高位は2023年の最終戦アブダビGPの6位。そのポジションを上回るチャンスは大いにあると感じられた。
ところが、1セット目のアタックでのタイムは1分15秒465と、Q2の自己ベストを上回れなかった。2セット目のタイムはQ2の自己ベストだけでなく、Q3の1セット目のタイムにも及ばず、1分15秒513にとどまり、7番手に終わった。
それでも、7番手は今シーズンの自己最高位。それでも、いまの角田はそれで満足できないほどのスピードがある。予選終了後、車検室の裏から角田が出てくると、そこで待っていたジョージ・ラッセル(メルセデス)が駆け寄り、この日の角田のアタックを讃えていた。ラッセルはQ3で角田を上回る予選6番手を獲得したが、Q2の角田のタイムを考えると、この日の角田は8番手のルイス・ハミルトン(メルセデス)だけでなく、メルセデス勢2台を上回っていても不思議ではなかった。
いまF1は、レッドブル、マクラーレン、フェラーリのトップの次に、RB、メルセデス、アストンマーティンというセカンドグルーブが形成されようとしている。そして、そのグループのリーダーに角田が立とうとしている。
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