東アフリカのケニアで開催されているWRC世界ラリー選手権第6戦ケニアは6月26日、競技3日目のデイ3に設定されたSS8~13が行われ、前日に総合首位に立ったティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)がポジションをキープ。自身初の表彰台獲得を狙う勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)も引き続き総合2番手につけている。
WRCイベントとして19年ぶりに復活した『サファリ・ラリー・ケニア』のデイ3は、、サービスパークの北に位置するエルメンテイタ湖の周辺に設定された、3つのステージで行われる計6本のSSが戦いの舞台となった。
前日に引き続きドライコンディションで開始された競技3日目、オープニングステージとなったSS8は総合首位に立っているヌービルが制し、勝田を含む後続へのギャップを拡げに掛かる。
午前のループを終えた段階でリードを10秒増やし28.1秒としたベルギー人ドライバーは、今季初優勝に向け、午後のループでも安定した走りを披露する。しかし、この日最後のステージにして全長31.04kmとデイ3最長のSS13“スリーピング・ウォリアー2”が進行されているなか、ラリーは突然の豪雨に見舞われた。
この雨の影響で乾いた砂の路面はまたたく間に泥地と化し、スタート順が後方の選手たち、すなわちヌービルを含む上位陣を不利にし彼らを苦しめた。
これによってラリーリーダーは、SS13のベストタイムを記録したダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)から35秒遅れとなる6番手でのフィニッシュすることになったが、総合でのポジションは変わらず。同ステージでさらに20秒遅れをとった勝田とのギャップを57.4秒に拡げ27日の最終日に駒を進めている。
「僕はあまり感情的にはならないしストレスを感じないが、今日は正直に言って、そのような状態だった」とヌービルは認めた。
「最後の2日間の戦いの後、僕はそのポジションを失いたくないと思い懸命に戦い続けた。最後には(ライバルたちを)リードすることができて安心した。その差がどれだけかは関係ない。トップに立ち続けることが一番大事だったんだ」
総合2番手で競技3日目をスタートした勝田は、同3番手につけるオット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)との間に設けた、37秒のアドバンテージを守ることがこの日の課題となった。
そんななかWRC最高峰クラスでの自身初表彰台を目指す彼は、午前中のループでステージ4番手、5番手、3番手とトップ選手たちと遜色のない走りを披露する。だが、2019年王者タナクのスピードがそれを上回り、SS12終了時点で両者の差は14.5秒にまで縮まった。
■ウインドウの曇りで視界が遮られたタナク
しかし、前述の強雨がタナクの追い上げに水を差した。彼のマシンはスクリーンヒーターが機能せず、走行中にフロントウインドウが曇ってしまうトラブルに悩まされる。そのため、タナクは度々クルマを止め、ウインドウの拭き取りと道順の確認を要することになった。
このトラブルによって2分ものタイムを失ったタナクは総合4番手にドロップ。この日、勝田を追うとともに表彰台圏内を争っていたセバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)に順位を明け渡している。
そのオジエは午前中のループでふたつのステージベストを記録するなど速さをみせ、午後のSS11でもステージ優勝を飾る。雨中のSS13では遅れをとるも、上位陣の中ではタイムロスを最小限とし、ヌービルより10秒早いタイムでステージ5番手に。これにタナクの後退が合わさったことで、7冠王者が最終日を前に総合3番手に順位を上げることとなった。2番手の順位を守った勝田とのタイム差は18.1秒だ。
Mスポーツ・フォードのガス・グリーンスミス(フォード・フィエスタWRC)とアドリアン・フルモー(フォード・フィエスタWRC)は総合5番手と同6番手の順位をキープした。これに前日最後のステージ(SS7)でスタックを喫しデイリタイアに追い込まれたカッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)が続き総合7番手に。
この他のデイリタイア組はロレンツォ・ベルテッリ(フォード・フィエスタWRC)が総合11番手、エルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)が総合12番手、ソルドは総合13番手とそれぞれ順位を上げている。
過酷なサファリ・ラリーの最終日となるデイ4は、ナイバシャ湖の周辺に設定された5本のステージを、日中のサービスを挟むことなく走破していくスケジュール。最終SS18“ヘルズゲート2”は、ステージトップ5タイムを記録したドライバーとマニュファクチャラーにボーナスポイントが与えられる“パワーステージ”となっている。
5本のSSの合計距離は今大会最短の53.49km、リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は238.57kmとなる。
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