「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、フォルクスワーゲン ゴルフ6 だ。
フォルクスワーゲン ゴルフ6(2012年:一部改良)
フォルクスワーゲン ゴルフ(編集部註:6代目)のエントリーグレードとなる、「トレンドライン」がアイドリングストップ機能やブレーキ回生システムなど「ブルーモーション テクノロジー」を採用して魅力を倍増した。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
思えば、「ダウンサイジングターボ」の世界的な火付け役となったのは、フォクルスワーゲン、それも日本市場においてはゴルフであるということは間違いないだろう。2003年にワールドプレミア(日本仕様は2004年に発売)された5代目ゴルフ(以下、ゴルフ5)は、2006年の一部改良でパワーユニットに1.4L+ツインチャージャー(ターボ+スーパーチャージャー)のダウンサイジングターボを採用。トランスミッションにはデュアルクラッチのDCT(DSG)を組み合わせ、低燃費と走りの楽しさを両立させた。
2008年に登場(日本仕様は2009年に発売)した現行型の6代目ゴルフ(以下、ゴルフ6)は、基本的にはゴルフ5の正常進化モデルだ。さらにダウンサイジング化は進み、エントリーグレードのTSIトレンドラインは、1.2Lの直4 SOHCにターボを組み合わせたパワーユニットを搭載した。
そして今回の一部改良で、エントリーグレードは「TSIトレンドライン ブルーモーションテクノロジー」と、ちょっと長いグレード名が与えられた。TSIトレンドラインをベースにしているが、スタート/ストップ システム(いわゆるアイドリングストップ機能)やブレーキエネルギー回生システム(走行中にアクセルペダルを戻したりブラー記をかけた際に発生するエネルギーをバッテリーに充電するシステム)を採用した「ブルーモーションテクノロジー」を、ゴルフとしては初めて標準装備した。
ゴルフ史上最高の低燃費を達成した
これにより、10・15モード燃費は従来型の17.4km/Lから18.4km/Lへと、約6%も向上した。この数値も、ゴルフ史上最高のものとなった。ちなみに車両価格(税込)は、ベースモデルの使用を一部見直すことによって1万円高におさえられており、またエコカー減税(75%減税)および新エコカー補助金(10万円)の対象モデルになる予定だ。
前置きが長くなってしまった。まず見た目は、いままでのTSIトレンドラインと大きく変わらない。ドアを開けて乗り込むと、そこは見慣れたゴルフ6のコクピットだ。ステアリングホイールは本革巻きだし、エントリーグレードとはいえ安っぽさを感じさせないのは、さすがフォルクスワーゲン。
1.2LのSOHCターボは従来モデルとパワースペックは変わっていないが、1.3トン足らずのボディに105psと175Nmというパワースペックは必要十分といったレベル。絶対的な加速は強くないものの、街中でも高速道路でもパワー不足を感じることはない。7速DSGのシフトも洗練されてきた。足まわりも熟成度が増しており、ボディ剛性の高さも相まって、乗り心地もいい。
アイドリングストップ機能は積極的にエンジンを止めるタイプで、信号待ちなどで意図的にステアリングホイールを動かしても再始動することはない。それでも、ブレーキペダルを踏んでいる力が弱いと再始動してしまうこともあるが。また、ゴーストップが多い日本でもバッテリーの電圧が低下しないように、電力フォロー装置も装着されている。
このブルーモーションテクノロジーは、今後ほかのフォルクスワーゲン車や、ゴルフの他グレードにも随時装着予定だという。アルファロメオ ジュリエッタやプジョー 308などのライバルが迫ってきたと思ったら、またしてもゴルフは突き放しに成功しそうだ。
フォルクスワーゲン ゴルフ TSIトレンドライン ブルーモーションテクノロジー 主要諸元
●全長×全幅×全高:4210×1790×1485mm
●ホイールベース:2575mm
●車両重量:1270kg
●エンジン:直4 SOHCターボ
●総排気量:1197cc
●最高出力:77kW(105ps)/5000rpm
●最大トルク:175Nm(17.8kgm)/1500-4100rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・55L
●10・15モード燃費:18.4km/L
●タイヤサイズ:195/65R15
●当時の車両価格(税込):264万円
[ アルバム : フォルクスワーゲン ゴルフ6 ブルーモーション はオリジナルサイトでご覧ください ]
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みんなのコメント
あとゴルフMk.6は電動パワステのフィーリングがかなり微妙だったり、Mk.5から後退した部分もけっこう見られました。割とすぐMk.7にモデルチェンジしたのも、最初からビッグマイチェン程度の感覚だったのでしょうね。