現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > モデルチェンジしても存在感は変わらず! なぜベンツGクラスは鉄壁の人気を維持し続けられるのか!?

ここから本文です

モデルチェンジしても存在感は変わらず! なぜベンツGクラスは鉄壁の人気を維持し続けられるのか!?

掲載 29
モデルチェンジしても存在感は変わらず! なぜベンツGクラスは鉄壁の人気を維持し続けられるのか!?

 日本の輸入車販売でメルセデスベンツの勢いが止まらない。人気は定番のAクラスやCクラス? 実は意外なクルマも売れている。それがGクラスだ。軍用車を祖とする武骨な外観は、今流行りの都会に溶け込むSUVとは一線を画し浮いてしまうかもしれない。

 そんなGクラスに日本人が魅かれるのはなぜか? Gクラスの歴史を紐解きつつ日本人との関わりを見ていきたい。

モデルチェンジしても存在感は変わらず! なぜベンツGクラスは鉄壁の人気を維持し続けられるのか!?

文/石川真禧照、写真/メルセデスベンツ、AMG、ブラバス

■7年連続で輸入車販売1位のメルセデスベンツ中でも好調のGクラス

メルセデスベンツの日本での販売好調の牽引役がGクラスだ。こんなゴツいSUVが……と思うかもしれないが芸能人やスポーツ選手にも愛用者が多く、その影響で購入者が増えたのかもしれない

 日本自動車輸入組合(JAIA)が先日発売した2021年度(2021年4月~2022年3月)の輸入車販売台数は、1位がメルセデスベンツで5万551台。前年比では9.1%減だが、メルセデスは7年連続で1位の座を守った。ちなみに2位はVWで3万5011台、3位はBMWで3万3619台だったので、メルセデスベンツの圧勝だった。

 Aクラスを中心にした前輪駆動モデルのラインナップが増えたことや2021年6月から導入されたCクラスも好評。さらにSUV群も人気車種となったことが、7年連続首位の要因ともいえる。

 そのなかで特に注目したいのがGクラスだ。現行GクラスはG350d、G400d、G550、メルセデスAMG G63の4車種から形成されている。車両価格はエントリーモデルのG350dでも1251万円、最上級のAMGは2218万円だが、これが全車種、売れているという。

 高額な輸入車といえば、2021年度の統計では全体の販売台数が減少するなかで、1000万円以上の輸入車の販売台数は、JAIAが統計を取り始めた2003年以降で、過去最高になったそうだ。もちろん、そのなかにGクラスが入っているのは言うまでもない。

■お世辞にも上品とは言えないゴツい軍用上がりのSUVが日本でウケる訳とは?

 それにしても1000万円以上の高級車といえば、だいたいが最新モデルのGTカーやスーパーSUVが多い。そのなかで新型でもなく、スタイリングもお世辞にもスマートとはいえないGクラスがランクインしているのか、その理由を探ってみた。

 そもそもGクラスというクルマが誕生したのはいつ頃だか知っているだろうか? というよりもGクラスのGは開発時のコードネームで、のちにゲレンデヴァーゲンという車名になったことを知っている人も少ない。1926年、今から95年近くも前のことだったのだ。

 最初のGクラスは8気筒エンジンを搭載し、後輪が4輪+前輪2輪の6輪駆動車という軍用車だった。これは「G1」と呼ばれていた。その後、G1をベースに乗用車モデルやオープンツーリングモデルなどが1937年にかけて開発され、発売されている。

 1972年、当時のダイムラーベンツ社は、オーストリーの4WDメーカー、ジュタイヤー・ダイムラー・プフ社と共同で、1台のモデルの開発に取り組み始めた。それが完成したのが1979年。この時に現在のGクラスのルーツが発売されたのだ。といっても当時は、欧州の軍隊向けの需要が主だった。

■見た目と一致する実用性の高さと扱いやすさで日本でも徐々に市民権を得る

元はといえば軍用車。その民生版として1979年に誕生したのがGクラスだ。G=ゲレンデヴァーゲン(ドイツ語でオフローダーの意)の頭文字なので、名は体を表しているのだ

 日本に向けてのGクラスは1983年にショートホイールベースの3ドアとロングホイールベースの5ドアと、3ドアのキャンバストップが上陸したのが始まり。

 1980年代以降のGクラスだが、実用車として通用する内容のモデルに成長していた。

 個人的な話になるのだが、ボクは試乗用のクルマをテストする時は、必ずB5サイズのノート見開きで1車種の試乗データを書きこんでいる。ノート1冊で50車種のデータが記入されている。それを車種ごとにファイリングしている。

 そのデータによると、初めてGクラスに試乗したのは1987年1月。230GEだった。230GEは1986年に燃料コントロールが加わった三元触媒を採用したモデルだった。

 2.3Lのガソリンエンジンは5000回転までスムーズに上昇し、エンジン音も室内から遠くで聞こえる程度に抑えられていた。オフロードではハンドルとタイヤの感覚がよくわかり、とても扱いやすいことが記されている。ただし、アクセルペダルはかなり重く、このあたりに軍用車の名残が感じられた。

■本家も驚く日本での人気。「ライバル不在」は独自の存在感の賜物!?

 この230GE以来、これまでにかなりの歴代Gクラスに試乗してきた。クルマとしての評価は、Gクラスをどのように見るかでかなり変わってくる。

 今風のSUV感覚なら、2018年以前のモデルはトラックからの発展型なので、ドアは重く、乗り心地もハンドリングもかなりスパルタン。2018年以降のモデルはシャシーから見直しただけに、高級SUVとして通用する内容を備えているという評価ができる。

 しかし、Gクラスはそんな冷静な評価とは別世界で存在している。特に日本での人気の高さはドイツ本国も驚くほどなのだ。

 なぜ日本でGクラスの人気が高いのか。

 「ズバリ言って、競合車がないことです」(ディーラー店長)

 確かにGクラスと同じような高額SUVを捜しても、ライバルになりそうなクルマはいない。レンジローバーやBMW X7などは都会的すぎ、ワイルド感がない。アストンマーティンDBXやランボルギーニウルス、マセラティレヴァンテなどはスポーツカー的で、スタイリングもワイルド感がない。

 ジープ系もラングラーは武骨さ、ワイルドさはあるが、高級感という点に欠けている。

■21世紀に入り人気に。武骨な外装と高級感ある内装とのギャップが日本人にウケた!?

 では、いったいGクラスの人気はいつ頃から高くなったのだろう。

 「個人的には2002年にドアミラーウインカーが採用されたモデルが発売されてから。あのドアミラーウインカー仕様がおしゃれと言うことで、パーツを欲しがる人たちがいました」(中古車店店長)

 「2002年以降は新車だけでなく、中古車の人気もグングン高まってきた」(前出 ディーラー店長)

 「G500やAMG55が登場した2000年以降のモデルなら、すぐに買い手がつく」(前出 中古車店店長)

 さらに2013年にGクラスとしては23年ぶりにディーゼル車が発売されたことも人気上昇の要因になっている。

■オーナーに固定層がいないのも強み? 今後も時代の推移とともに変化するのか?

春先の話題だが、スケートボードメーカー「PALACE SKATEBOARDS」とのコラボモデルを世界限定1台で販売! 真正面から見ると普通の「AMGのG」だが……詳細はギャラリーを見て欲しい

 Gクラスのユーザーも独特だ。一般的に人気のクルマなら、一定の顧客層が見えてくる。しかし、Gクラスは異なる。

 「どのような人たちがGクラスを購入するのか見ていると、顧客像がない。年代も職業もバラバラ」(前出 ディーラー店長)

 さらに購入者の多くが現金払いなのだ。Gクラス取り扱いディーラーではもちろんファイナンスプランも用意しているが、それを利用する人は他車種にくらべて圧倒的に少ないという。なぜ現金払いが多いのか。

 「Gクラスは購入した価格で売れるので、金利がもったいない。それどころか購入した価格よりも高い価格で売れることもある」(元GクラスユーザーA氏)

 特にディーゼル車の場合、このケースが多いそうだ。

 およそ、おしゃれとかスマートという言葉とは無縁のようなGクラスだが、現実にはスキー場やキャンプ場よりも都会のド真ん中の銀座が似合う、と言われているほど、Gクラスは独自の道を歩んでいるクルマなのだ。

 一度はGクラスの生産中止を決めたメルセデスだったが、日本をはじめとした国からの強い要望で生産の延長を決めた。その結果、今では人気車種のひとつになっている。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
ベストカーWeb
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
AUTOSPORT web
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
ベストカーWeb
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
Auto Messe Web
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
AUTOCAR JAPAN
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
AUTOSPORT web
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
乗りものニュース
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
AUTOSPORT web
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
AUTOSPORT web
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
くるまのニュース
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
AUTOCAR JAPAN
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
AUTOCAR JAPAN
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
AUTOSPORT web
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
Auto Messe Web
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
乗りものニュース
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
レスポンス
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
AUTOSPORT web
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

29件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村