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やはりフォード陣営強し。元王者サットンが連勝、BMWのターキントンも今季初優勝/BTCC第2戦

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やはりフォード陣営強し。元王者サットンが連勝、BMWのターキントンも今季初優勝/BTCC第2戦

 5月6~7日にブランズハッチのショート版、インディ・サーキットで争われた2023年BTCCイギリス・ツーリングカー選手権第2戦は、開幕ラウンドに続きフォード陣営の古豪モーターベース・パフォーマンスが席巻した。

前戦ドニントンパークで連勝発進を決めたダン・カミッシュが今季初ポールポジションを奪取すると、決勝では僚友の元王者アシュリー・サットンが今季最初の勝利から連勝を飾るなど、NAPAレーシングUKのフォード・フォーカスSTが速さを誇示する展開に。同じく名門ウエスト・サリー・レーシング(WSR)の大エース、選手権4冠のコリン・ターキントン(チームBMW/BMW 330e Mスポーツ)も、得意のブランズでシーズン初優勝を手にしている。

フォード陣営NAPAレーシングUKが席巻。ヒョンデのトム・チルトンも4年ぶり勝利/BTCC開幕戦

 開幕前唯一の公式プレシーズンテスト、そしてドニントンパークでの第1戦と、イギリスらしい雨絡みのセッションが続いてきたBTCCは、このブランズハッチ初日の走り出しでも無情の雨に祟られた。

 雨量が絶えず変化する難しいコンディションのなか、まずは昨季のタイトルコンテンダーだったジェイク・ヒル(レーザー・ツール・レーシング・ウィズ・MBモータースポーツ/BMW 330e Mスポーツ)がFP1で最速。続くFP2は、今季より名門チューナーのニール・ブラウン・エンジニアリングが手掛けたトヨタ製ユニットを搭載するトヨタ・カローラGRスポーツのロリー・ブッチャーが、背後のサットンと0.005秒差、トップ10圏内が0.311秒という僅差の勝負を制し、TOYOTA GAZOO Racing UKことスピードワークス・モータースポーツ(SWM)にとって今季最初の公式セッション首位をもたらした。

 この時点ではまだ週末のスリックタイヤ走行量が見通せない状況ではあったものの、この第2戦よりグッドイヤーの“オプション”タイヤがひさびさに復活。新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックや製造コストの上昇、そして昨季2022年の共通ハイブリッド機構導入の影響などで長らく採用が見送られていたが、レースに新たな戦略的要素をもたらすべく、2019年以来のBTCC再導入が決まった。

 これによりドライバーにはレース当日に選択権が与えられ、ミディアムコンパウンドを2回、ソフトを1回使用する義務が発生。どちらを装着するかの事前申請は必要なく、路面状況やグリッド位置、周囲の顔ぶれや獲得ポイントなど、自身が置かれた条件により判断の自由度がもたらされる。

「週末を通じてさまざまなタイヤ戦略がどのように展開するかを見るのは素晴らしいことだ」と語るのは、引き続きBTCCにワンメイクタイヤを供給するグッドイヤーのマイケル・バトラー。

「オプションのソフトが使用されるのは2019年以来で、これによりチャンピオンシップに新たな戦略が加わり、ファンや観客にとってはさらに見応えが出てくる。ドライバーとチームの支持を得て、我々は今後ほとんどのラウンドで2種類のコンパウンドを再導入することになる」と続けたバトラー。

「レース序盤ではオプションタイヤのランナーに顕著なアドバンテージが見られると予想しているが、レースが進むにつれミディアムコンパウンドが効いてくることになるだろう。ドライバーは向上したパフォーマンスを重要な場面で活用するため、戦略的に考える必要が出てくるね」

■多重クラッシュが発生。1時間近くに及ぶ赤旗中断に

 続く予選でもQ1から3度の赤旗が発生するトリッキーなセッションとなるなか、フォード・フォーカスSTが“トップ10ショーダウン”で躍動。最終チェッカーラップで奮闘し、ベストを更新したカミッシュが、ターキントン、ヒルのBMW艦隊を抑えて陣営2戦連続の予選最速グリッドを獲得した。

「タフなセッションだった。まずQ1ではサーキットがつねに変化していたし、どこでカットオフになるか分からなかったから、決して安全だとは思えなかったよ」と、まずは波乱のQ1を無事に乗り切った安堵を語るカミッシュ。

「赤旗は役に立たず、僕らはプッシュし続けなければならなかった。最後にフロントタイヤを交換するという選択をしたのは正しい決断だったが、これは勇気が必要だった。でも、そのおかげで最後の1周を決めることができた。グリップが上がっていくのが感じられ、大事なところでラップを刻めたんだ」と、チームとの戦略面でも成功を収めたポールシッター。

「サーキットの再舗装作業も、最初のセクターではグリップがより高かったからトリッキーなものになったが、続く“サーティス”と“クリアウェイズ”は古い舗装路のままで、そこは氷のようだった。明日はウエットでもドライでも強いクルマを用意できると確信しているが、後ろに(FRの)BMWが2台いると……スタートは厳しいだろうね」

 その予言は現実のものとなり、ドライに転換したレース1はスタートでターキントンが最高のダッシュを決め首位に躍り出ると、4番手発進だったサットンがヒルのBMWをアウトサイドから、僚友カミッシュをインサイドから抜き去り、一気に2番手へ浮上してくる。

 しかしオープニングラップの最終コーナーで多重クラッシュが発生し、破損車両の回収やピットウォール沿いの損傷したバリアを交換するため、ここでレースは1時間近くも赤旗中断を強いられる。

 グリッドはリスタートに向け元の予選順位に再配置されるも、後輪駆動のトラクションを活かしたターキントンがふたたび首位を奪取。背後ではヒルとサットンの順でターン1に飛び込むと、続くラップのパドック・ヒル・ベントでフォードがBMWを捉えて2番手へ。僚友カミッシュもこれに続き、2台のフォーカスSTが首位BMWの追撃態勢に入る。しかしこの2台を寄せ付けないペースを披露したWSRの元王者が、18周を走破して今季最初のトップチェッカーを受けた。

「勝利数でジェイソン(・プラト)に追いつくとは思わないが、これは素晴らしい成果であり、シーズン初勝利を得る良い方法だね!」と、引退した大ベテランを引き合いに喜びを表現したターキントン。

「レースは本当に計画どおりに進み、前に誰もいなかったので、落ち着いて、できるだけ速く走ることができた」と、ここでオプションタイヤを履いていたことも明かした4冠王者。「4周目、5周目、6周目でアッシュ(サットンの愛称)が近づいてきているのが分かったが、その後はまた引き離すことができた」

「これまでBMWはとくにブランズのインディで非常に強かったから、これはチームBMWにとっても良い報酬だよ」

■首位走行のカローラGRスポーツに無情のペナルティ

 続くレース2は、2番手発進となったサットンが前を行くターキントンに逆襲する展開となり、スタートからテール・トゥ・ノーズでBMWを追尾すると、続く“ドルイド”でインサイドへダイブ。ここで早くもリードを確保したサットンが、驚異的なスタートで這い上がってきたディフェンディングチャンピオン、トム・イングラム(ブリストル・ストリート・モータース・ウィズ・エクセラー8/ヒョンデi30ファストバック Nパフォーマンス)やターキントンらを抑え切り、まずは2023年最初の勝利をマークする。

 そして週末最後のレース3では“グリッド・ドロー”で11番手から発進した前戦ウイナーが、ここでオプションタイヤを装着してオープニングで一気に5番手まで躍進すると、すぐさまリバースで首位を行くリッキー・コラード(TOYOTA GAZOO Racing UK/トヨタ・カローラGRスポーツ)の背後に迫る。

 残り数周、サットンが今にも飛び掛りそうなところで、コラードはトラックリミットを超えたとしてタイムペナルティを科せられ万事休す。これで勝利はサットンのものとなり、2番手発進だったボビー・トンプソン(オートブライトダイレクト・ウィズ・ミラーズオイル/クプラ・レオンBTCC)が殊勲の2位、さらにイングラムが連続表彰台に続く結果となった。

「(勝利の輪に)戻って来れて良かった。レース1と2の間にいくつかの変更を加えたところ、クルマは飛躍的に向上した。トム(・イングラム)が迫ってくる瞬間もあったが、僕らはただタイヤとギャップを管理した。最後に(ソフト側の)タイヤが残っていることは分かっていたから、それを使わなければなかったが、最高の展開になったね!」と、今季初勝利からの連勝を挙げる格好となったサットン。

「NAPAレーシングUKはこのクルマで素晴らしい仕事をしてくれた。シャシーを調整して改善を加えたばかりで、問題なく動作していることは誰の目にも明らかだ。連勝なんて、これ以上の週末は望めない。次のスネッタートンも楽しみにしているよ」

 手応え上々のサットンがそう語った第3戦は、5月20~21日の週末に開催される。

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