今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代の輸入車ニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「サーブ 9-5エステート」だ。
サーブ 9-5エステート(2003年)
新型が日本デビューを果たした9-3セダンに続き、サーブは9-3カブリオレと9-5シリーズの2003年モデルを発表した。
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ジュネーブ モーターショーで新型が発表された9-3カブリオレはモデル末期なので大きな変更はない。9-5では、5速ATにマニュアルモードの「セントロニック」が備わり、ドアミラーは電動格納式(しかもたたんだまま走り出すと車速が30km/hを超えると元に戻る)になり、安全装備もより充実された。そしてもっとも大きなポイントは、エステートにエントリーモデルの「9-5 Linear(リニア)2.0t」が追加されたことだろう。
今までの9-5シリーズのエンジンは、セダン/ワゴンとも2.3Lの直4と3LのV6(ともにターボ付き)が搭載されていたが、この2.0tは車名のとおり2Lの直4にロープレッシャーターボを装着する。パワースペックは150ps/24.5kgmと、9-3セダンのリニア1.8tのものとほぼ同じ。
アッパーミドルクラスのワゴンながら、気になる車両価格は399万円! サイズ的には1クラス下のメルセデス・ベンツ CクラスのワゴンやBMW 3シリーズのツーリングより安い。プラス20万円でスペシャルパッケージを装着すれば、ヒーター内蔵の本革シートと16インチのアルミホイールに55偏平タイヤも備わる。スペシャルパッケージ装着車と装備はほぼ同じ2.3Lのリニア2.3tが460万円だから、この2.0tはきわめてお買い得感の高いモデルといえるだろう。
試乗車はスペシャルパッケージ装着車。室内に乗り込むと、インパネのウッドパネルが省略された以外、上級グレードとの違いはほとんどない。サーブの伝統でATセレクター後ろのキーを捻ってイグニッションをONにし、スタートする。
セントロニックは、セレクターをDとLの間のMに入れるとマニュアルモードになり、ステアリングスポーク根元のスイッチ(右がアップ、左がダウン)で変速する。速度が足りないとアップスイッチを押してもシフトアップせず、また速度が落ちると自動的にシフトダウンし、停止すれば1速まで落ちる。
1660kgの車重に150psでは・・・と試乗前には思ったが、市街地でも高速でも流れに乗って走る限り不満はない。2000rpm以下(クルージング時のエンジン回転数はこれくらい)からスパッと加速しようとすると少しタルい感じはあるが、十分なレベルにはある。乗り心地もいいし、静粛性も悪くない。トップグレードのエアロ2.3TS(ハイプレッシャーターボで250ps)にも乗ってみたが、高速を飛ばさない限りその差はあまり感じない。
カーゴルームのスライディングフロアはオプションになったが、フル乗車でも890Lという広いスペースは健在。カッコではなく実質でワゴンを使いたいなら、サイズ的にこのクラスは必要。しかもサーブというプレミアムブランドのワゴンがこの価格で買えるのだから、オススメできる1台だ。(編集部註:2020年現在、サーブ オートモービルはNEVS社に買収され、サーブ ブランドは廃止されています)
■サーブ 9-5エステート リニア2.0t 主要諸元
●全長×全幅×全高:4840×1795×1495mm
●ホイールベース:2705mm
●車両重量:1660kg
●エンジン形式:直4・DOHCターボ・横置きFF
●排気量:1984cc
●最高出力:110kW(150ps)/5500rpm
●最大トルク:240Nm(24.5kgm)/1800rpm
●トランスミッション:電子制御5速AT(マニュアルモード付き)
●タイヤ:205/65R15(スペシャルパッケージは215/55R16)
●車両価格(当時):399万円(スペシャルパッケージは+20万円)
[ アルバム : サーブ 9-5エステート はオリジナルサイトでご覧ください ]
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